誰もが何も言えずに、重い沈黙が滯留していた。

この狀況をどう理解していいのか、これからどうなるのかを思案していた時だった。

快が涙を右手で拭くと、何故か微笑みながら口を開いたのだ。

「優君の話は、ほぼ正解だけど・・・・

一つだけ違っていることがあるんだよ・・・」

その言葉に誰もが快の向に集中した。

そして、優も自分の答えの間違いを知りたいと快を睨みつけていた。

そんな視線を知り、快は皆の方に顔を上げると

「ゲストが屋敷に來てから、優君の言った通りに人間に戻るために模索しながら

皆を作していたけど、ゲストがここに來ることすら僕は知らなかったんだよ・・・・」

その言葉に恵吾は驚いた顔をした。

「えっ、どうい事や？快は裏切者ってことやけど・・・

でも、ゲストは勝手にここに來たってことか？」

誰も快の言葉を理解できずに困していた。

優の説明は筋が通っている。しかしゲストがここに來たのは誰もが偶然ではないと思っていた。

快の話は果たして本當なのだろうかと困しながらも、真実を知りたいと強く思い始めていたのだった。

そんな仲間を見つめながら、快は更に言葉を続けたのだ。

「優君の過去の話は確かに僕だよ・・・・

でも、ゲストが前の彼の生まれ変わりと知ったのはロザリオを見た時なんだ・・・・

それまで、僕は本當に何も知らなかった・・・

ロザリオを見た瞬間、神がチャンスをくれたと思ったんだ・・・・」

誰もの頭の中で衝撃と揺が走った。

快の話が本當であれば、この謎はどうなっているのか・・・

すると、歩夢は意識を失っているゲストを見つめながら

「じゃぁ、誰が彼を・・・まさか、この屋敷に偶然に來たのか・・・・」

歩夢には悲しかった。

彼の運命を自分たちのせいでこのようになってしまった事を・・・

どれだけ、自分たちは人間を不幸にするのだろ・・・・

神は自分たちをいたぶるのだろかと・・・・

「その話が本當やとすると、神の悪戯でゲストは來てしまったんかもな？」

零士は重くなっている空気をしでも明るくしたく、茶化すように言った。

だが、誰も笑う事は出來なかった。

そして、優は快の言葉を聞いて更に考え込み始めていたのだった。

すると、は意識を失っているゲストを覗き込みながら

「快のことは何となく分かった・・・

それより、先ずはゲストやろ？優、彼は助からんのか？」

意識のないゲストは今ではまで腐り始めていたのだ。この姿に吸鬼である彼らも嫌悪する狀態だった。

そんな彼を優は見つめると、突如口の端を上げると不敵に言ったのだ。

「それは大丈夫や！俺が牙に細工して腐っただけやから、ずっと上手く隠れている犯人をあぶり出したくってな！」

優の言葉に誰もが驚いた顔をしたが、直ぐに怒りに変わったのだ。

「お前の主義はどうにかしろよ!!!!!!!!

付き合う方は、どんな気持ちか考えろよ!!!!!!!!」

恵吾は怒りながら優に詰め寄って行った。

「いやいや、お客を腐らせてその笑顔は絶対に許せんわ!!!!!!!!」

青空は呆れていた。

「俺は監室にれられて、ゲストは腐らせて、どう考えても俺より勝手やんけ！」

をわに怒りだし、優に詰め寄る零士

「お願い、早く早く彼を助けて、もう息も途切れ途切れだよ・・・」

怒っている仲間に助けを求める歩夢

「助ける方法はあるから優はやったと思うで？だから、安心しろよ」

は笑いながら鼻をりながら優を信じ切っていた。

そんなに答えるために、目の前で怒りをわにしている仲間に優は冷たい口調で

「落ち著けって・・・・」

そう告げると自分のポケットから小瓶を取り出した。

「助かるなんて當たり前やろ？俺はゲストを殺す気はないからな！」

そう言うなり、ゲストに近寄ると優が傷をつけた部分に小瓶にっていた水をかけた。

すると、傷口から大きな蒸気が発せられると同時に強烈な痛みが襲いゲストは大聲をあげると目を覚ましたのだ。

そして、ゲストの周りを囲んでいる吸鬼たちを見て焦りながら

「えっ、な・・・なに？」

ゲストが言葉を発した事で吸鬼たちは安心した顔を見せると、今度は優が持っていた小瓶が気になったようで、青空が優に近づくと

「それ、なんやの？すごい特効薬やん！」

そう嬉しそうに言って、口の開いた小瓶をった時だった。優が急いで青空から取り上げ、腕を上げてらせないようにしながら

「るな！これは、聖水やぞ！」

優の一言で周りが凍り付いたのだ。

「アホ！これが俺らにしでもかかったら灰になるやろが！」

これには、普段はのんきなも許せずに大聲で怒鳴った。

そんな、の橫から零士が嬉しそうに顔を出しながら

「これで、分かったやろ？一番の悪者は、優君かもな？」

そう言いながら、日頃の恨みを晴らすかのようにニヤニヤしていた。

しかし、優はしも揺する事もなく

「俺らには毒でも、人間には消毒や・・・これでゲストも元通りやろ？」

その堂々とした態度と言葉に誰もが呆れていた。

優に何を言っても無駄だと悟ったからか、快はやっと立ち上がると

「僕は、どうなるの？裏切者の末路は・・・」

そう言って、仲間の顔一人一人をゆっくりと見つめた。

自分の生末は仲間が決めると理解していたからだ。

すると、優が快の前に立ちながら仲間の方に向くと

「さて、時は早いが３つの選択はどれにする？」

優の言葉で誰もが思い出したのだ。

1・ゲストを殺して吸鬼のままでいる

２・ゲストのを飲み自分たちは人間に戻る

３・吸鬼の力を使ってゲストを仲間にする

誰もがその言葉が反芻していた。

「選択の時間切れか・・・決めるには早い時間やけどな・・・」

は困ったように頭を掻きながら言った。

「えっ、今決めなアカンの？それ、ほんまに早くない？」

突然の展開に困る青空

「そんな急にはなぁ・・・・」

快の生末や仲間の事を考えると、ただただ困する恵吾

「申し訳ないが、俺には決められない・・・ただ、彼をこのまま帰してしい、お願いします・・・」

歩夢はそう言うと仲間に頭を深々と下げて頼んだのだ。

私は、今までの様子を何も言わずに見守っていた。

口を挾めるはずもなかったのも事実だった。

だが、私の心の中には先ほどまで見ていた夢が引っ掛かっていた。

彼の思い、寂しさ・・・・そして願い・・・

それが私のを熱くしていた・・・・

そんな事を考えている私の前に優がやって來ると。

私を冷たい瞳で見つめ、ゆっくりとのポケットから一つの箱を差し出してきたのだ。

「アンタにも選択の時間やで、この箱の中にはロザリオがってる・・・

それは、これで俺らを殺して逃げる事も可能や」

彼の言葉に私は生唾をゴクッと飲み込むと、彼の手から箱をけ取った。

優の言葉は更に続いた。

「そして、黙ってこのまま屋敷を後にする事もな・・・・」

それだけ言うと、私に背を向ける颯爽と歩き出すと、ソファーに腰掛け皆を意地悪気に見つめると

「さぁ、選択の時間や！」

そう大きな聲で告げたのだった。