《Fog HOTEL》第六章 選択の時間 ~2~

あれから、どれだけの時間が過ぎたのだろか、誰も口を聞かずに頭を掻きむしったり壁の方を向いて考え込んだりと、それぞれの結論を出すために自分と向き合いつづけていた。

そんな中、恵吾が大きな溜息を吐くと覚悟を決めた表で、ゆっくり優の前に行き

「悪い、俺にはどれだけ考えても決める事はできへんわ・・・」

そう優に告げると、悲しそうな表で皆の決斷を待っている快に視線を送った。

優は黙ったまま恵吾を見つめていた。

「俺にとっては、歩夢も快も今回の理由を知っても大切な仲間であり、大事な家族であるのは変わらないから誰かが傷つく選択をする事は出來ん」

恵吾は自分の思いを伝えると、快にし微笑むと部屋から黙って出て行ってしまったのだ。

すると、今度は青空がゆっくりと優の前に歩み出ると

「恵吾君の言う通りやと思うわ、俺も誰も幸せにならへん選択は出來ないし、俺にとっては皆で一緒に居れたらええって思うから・・・」

青空もそれだけを告げると、恵吾の後を追うように部屋を出て行ってしまった。

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それを聞いていた零士も突然大きな溜息をつくと、何故か快の前に立ったのだ。

そして、快に向かって告げた。

「もぉ、俺たちの過去の事なんてどうでもええわ!俺は、腹が減るのだけは勘弁や、二度と渇きなんて味わいたくないだけや!」

そう吐き捨てながら、快の肩を軽く叩くと部屋を出て行ったのだ。

快は混していた。なぜ誰もが自分を責めないのだろか・・・・・

自然に自分の目から涙が溢れてくるのをじていたが、どうしても止める事が出來なかった。

「・・・・何故、許してくれるの・・・こんな僕を・・・何故・・・」

仲間の思いは、ずっと暗い闇の中でもがき苦しみながら、ようやくれた溫かさのようにじていた。

すると、歩夢が泣いている快にハンカチを差し出しながら

「それは、俺たちが仲間であり家族だからだよ・・・」

そう言うと優しく微笑んで快の心を癒そうとしたのだ。

その様子を優は何かを考えるようにソファーに座りながら瞼を閉じていた。

するとが優へ意地悪気に伝えたのだ。

「俺には、お前は最初から結論がでていた気がするんやけどな・・・・

皆に結論を出させなくってもな・・・」

そう言いながら小さく笑うと、優は目を開け

「・・・・・本當に救いの道はあるのかな・・・」

そう悲しい聲で呟いたのだ。

優は考えていたのだ、誰もが幸せになれる道を・・・

自分の家族を守るために自分の出來る事を・・・

統制を取るためには罰は必要だ・・・・

だが、それが本當に正解なのだろか・・・

あと、人間をこのまま屋敷から帰して、自分たちのが大丈夫なのだろか・・・

もし、誰かに話せば自分たちは生きていけない・・・

だが、彼を手に掛ければ家族では居れなくなる・・

まだ、優は迷っていたのだった。

そんな事を思案していた時だった、突如歩夢が優の前に立つと

「俺の選択は、みんなを敵に回しても今度こそ、彼を守ってみせる」

そう歩夢は告げると、自分の決意を現すようにゲストの手を握ったのだ。

突然歩夢に左手を握られた私は我に返った。右手にはロザリオがっている箱を持っている。

そう、このロザリオで吸鬼達から逃げられる・・・

自然に右手に力がる。

しかし、そうすると歩夢と二度と會う事は出來なくなる・・・

そう考えると自然に力がって行くのだった・・・

また、會えない時間が二人に生まれてしまうのだ・・・・

その時、私の中では一つの答えが生まれた。

「みなさんは、人間に戻りたいのですか?それとも、このまま吸鬼のままでいたいのですか?」

私の質問には鼻をりながら

「まぁ、人間に戻っても、後何年生きられるんやろなぁ?そう考えると俺はこのままでもええと思ってまうなぁ、お前らが一緒ならな・・・」

そう言いながら優、歩夢、快を見て笑ったのだ。

すると、快はに答えるようにし微笑むと恐々と口を開いた。

「ぼ、僕は・・・・もう一人になりたくない・・・・永遠の時を一人で歩くのは辛いから・・・」

快はそう言うと辛そうに顔を下に向けた。

そんな仲間の気持ちを聞いて、優はため息をつくと

「貴の申し出は有難いが我々は誇り高い吸鬼だ、もう人間ではないのだよ」

優の言葉は、今まで幾多の困難を仲間で乗り越えてきたからこそ出てくる自信なのだろ。

彼らは、今自分たちの置かれた狀況から逃げることなく、立ち向かう道を選んでいくのだろ。

その強さを持っている人なのだと確信した瞬間、私は決意が固まったのだ。

「分かりました・・・・私も決めました」

そう告げると、その部屋にある暖爐に歩み寄ると右手に持っていたロザリオを箱ごと火の中に掘り投げた。

そして、吸鬼たちの方に向きなおすと

「これが、私の答えです!」

凜とした私の姿と行に優すら驚いた顔をしていた。

そして、歩夢も焦った表をしていたが、これが私の答えだった。

いや、私と彼の答えだったのだ。

もう、誰に振り回されることなく、自分で進む道を決めたのだった。

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