《仏舎利塔と青い手毬花》第二話 星

唯の話に補足をれているユウキの言葉が余計に話を複雑にして大人たちを翻弄した。

どうせいつも通りだろうと、その場に居た者たちは唯とユウキの話を聞き流していた。

「遅くなってごめんなさい」

警察の取り調べが終わった鈴が丸大飯店にってきた。進が書いて置いた伝言を見て來たのだ。

「鈴。遅かったな」

「桜さん。”遅かったな”じゃないわよ。私に聞いたって何も知らないわよ」

鈴は話を聞くという取り調べをけていた。

桜が関係していないのは知っているのだが、當たりたくなる気持ちもわかる。

「そうだろうけど・・・。な」

「うー。いいわよ。同じ容を聞かれるだけだし、新しく思い出した報なんてないと伝えるだけだし、そもそも、思い出したくないわよ!」

「そうだな。進。良かったな。これで飲めるな」

桜が強引に、話の方向を変える。

鈴にも解ったのだろう。でも、不な會話を続けてもしょうがないと思って、桜の切り替えをありがたく思った。

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「桜さん。私が飲むから、進さんには勧めないで!」

「はい。はい」

「ママ!」

「どうしたの?唯?お話は終わったの?」

「ううん。あのね。あのね。肝試しをやったの!」

「肝試し?」

「うん!先生が怖い話を話して、星のお墓を1人ずつ回るの!」

唯の説明を聞いて、大人たちも思い出した。

仏舎利塔を回って手紙を渡す肝試しが昔から行われていた。伝統行事と言っても良いかも知れない。

「まだ続いていたのだな」

「そうだな。あの時には・・・」「進!」

唯とユウキは桜が聲を荒げたのでびっくりしてしまった。

それほど桜は大きな聲を出さない。和や克己や沙菜も子どもたちをあまり怒らない。怒る場合でも、聲を荒らげることなど無い。

「あっ・・・。すまん」

進は、桜の気持ちを考えて素直に謝罪した。

「いや、俺が悪かった」

大人たちの沈黙は、子供の沈黙を発してしまう。

雰囲気をじて、唯もユウキも黙ってしまった。

「ねぇ唯ちゃん。それで、星の周りをどうやって回ったの?」

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仏舎利塔や過去の話しは聞いているが、沙奈は直接関係していない。なので、仏舎利塔や紫花の話が出ても深く考える必要がないので話を聞けるのだ。

「あのね。唯が鳴海ちゃんに手紙を渡したの!」

沙菜が唯の話を聞くようだ。ユウキは、鈴に一生懸命にタクミたちとご飯を作ったと自慢している。

「それじゃ唯ちゃんが最後まで待っていたの?」

「うん!」

「怖くなかった?」

「最初は、怖かったけど、町の明かりを見ていたら怖くなくなった。お家の明かりを教えてもらったの!」

沙菜は、常識で考えて、唯が待っている間に怖くないように、先生が適當な明かりをお家の明かりだと教えたと考えた。

「へぇー。そうだったのね。唯ちゃんも手紙を貰ったの?」

「うん。貰ったよ」

「良かったね」

沙菜は、友達が1人休んでいたことを知らない。

「楽しかったよ。菜々もお休みしなければよかったのにね」

「菜々ちゃんはお休みだったの?」

「うん。ね。ユウキ。菜々。お休みだったよね?」

「うん」

---

桜と進と鈴は、鈴の験を聞いていた。

テーブルの上の食べなくなっているが、ビールはコップに注がれた狀態から変わっていない。

「でね。桜さん」

「聞いているよ。詳細は回ってきていないけど、実現は不可能だという話だぞ?」

「だよね・・・」

「なぁ桜・・・。本當に、関係はないのか?」

進が桜に何をききたいのか解っている。

桜も、質問の容を確認しようとはしない。

「防犯カメラにも映っていない。本部は、街中の防犯カメラ映像を手して調べているけど、當日だけではなく數日前でも映っていない」

「・・・」

桜は捜査には加わっていない。関係者ではないが、捜査対象に、馴染や舊知の者が居る。そもそも、資料課には捜査本部に加わるタイミングなど無いのだ。

「大規模な捜査をしたようだが、二人を見たという話は出てきていない」

桜にも、獨自の報網があるのだが、匿されるような報が出てきていない。”何も解っていない”ことだけが”わかった”だけだ。

マスコミ各社も第一報を勢いよく放送したが、新しい報がない狀況では獨自の展開など出せるわけもなく窄みになっている。

「あれ?鈴も來たの?」

外で電話をしていた和が帰ってきた。

「うん。和さん?え?それじゃ克己さんとタクミの二人だけで?」

「そうだけど?」

和が不思議な者を見るような目で鈴を見る。

鈴が”おかしな”じになっているが、おかしいのは桜や和だ。克己とタクミは、桜の母親に呼び出されているのだ。

「鈴さん。この人たちに常識を期待してもダメだと思うわよ」

子供の相手をしていた。沙菜が振り返って鈴に忠告をする。

鈴も解っているのだが、やはりどこかで突っ込みたくなってしまったのだろう。

「沙菜さんだけですよ」

「沙菜ママ!それでね。タクミに手紙を渡したの!」

「そう。よかったね」

「うん!5人だけど楽しかったよ!ハルちゃんも鳴海ちゃんも頑張ったよ!」

「そうだよ。私も、沢山我慢したよ!ママ!手紙も貰ったよ!」

唯は嬉しそうに鈴に報告をする。

「ん?」

「ねぇ唯は、最初に手紙を渡したのだよね?」

「そうだよ!私が最初!」

「それで手紙を貰ったの?」

「うん!」

鈴は、おかしな事実に気がついた・・・。

「ユウキちゃんは、誰から手紙を貰ったの?」

「僕?僕は、ハルちゃんから貰って、タクミに渡したよ?」

「晴海君は、鳴海ちゃんからけ取ったのかな?」

「うん。唯は、鳴海ちゃんに渡したよ」「うん!私は、鳴海ちゃんに渡したよ」

唯は、誰から手紙を貰ったのか覚えていない。け取った事実は間違いないのだが、誰からけ取ったのか覚えていない・・・。マホの名前を思い出せなかったのだ。

「ねぇ唯。唯は、誰から手紙をけ取ったの?」

「え?」

「手紙をけ取ったのだよね?」

「うん!そう!け取ったから、先生の所に戻ったの!」

鈴は、唯のテンションが高いのも不思議に思えた。普段は、もうしだけ靜かなじなのに、今日はテンションが高い。

何か必死に隠している雰囲気はじない。

「どうした?なんだ?」

鈴の様子がおかしいので、進が心配そうに聲をかける。

「沙菜さん。和さん。すまん。し、鈴を連れて外に出てくる」

子供たちに聞こえないように進は聲を抑えて鈴と桜を外に連れ出そうとした。

「ママ?どうしたの?」

唯も鈴の様子がいつもと違っていると思って心配になったのだ。

「なんでも無いよ。ママ。車の中に荷を忘れたから取りに行ってくるだけだよ」

「ふーん」

「ねぇ唯ちゃん。それで、タクミはどんな料理を作ったの?」

沙菜が気を利かせて唯の気をそらす。和がユウキと話始める。

進は鈴と桜を外に連れ出した。

「桜?」

進は、桜が何か考えているとじて桜も一緒に連れ出したのだ。

あんな事件があってから鈴の心が疲れているのではないかと思ったのだ。子供の前で泣き出すわけにはいかないので、連れ出しただけだが、桜が素直について來ているので、”何か”有るのではないかと思っているのだ。

「進」

「なんだよ?」

「お前、仏舎利塔は知っているよな?」

「あぁ」

「形を覚えているか?」

「星型だよな?」

「そうだ。星型だが、肝試しで使う仏舎利塔は・・・」

「進さん。仏舎利塔は、”ダビデの星”・・・」

「鈴の言うとおりだな。さっきの唯とユウキの話でも奧にある仏舎利塔だと言っているし、手紙をおける場所があるのは、ダビデの星になっている仏舎利塔だけだ」

「だからそれがどうした?」

進は、桜と鈴が気にしている仏舎利塔は解っているが、だから何だと思っているのだ。

「進。お泊り會の唯たちの班は1人休んだのだろう?」

「菜々ちゃんだったか?休んだみたいだな」

「肝試しは、仏舎利塔の頂點から頂點に歩くよな?」

「そうだな」

「唯が最初なら、唯は先生から手紙を渡されるよな?」

「え?だったら先生からけ取った・・・。のでは・・・。ないのか?」

「進さん。唯は、先生から手紙をけ取っていないわよ。だって、唯はさっき・・・”先・生・の・所・に・戻・っ・た・の・”と言っていたわよ」

「進。それに、”ダビデの星”の頂點は6つだ。1人休んで5人になった子供たちに先生がプラスされても、唯が手紙をけ取れない」

「ちょっと待て!桜。唯は誰から手紙をけ取ったのだ?」

「・・・」「・・・」

1人足り無い狀況だ。ダビデの星の周りを回るだけの肝試しが・・・。

唯が手紙をけ取った事実が確かなら、あの時、あの場所に、子供が6人居たことになる。

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