《仏舎利塔と青い手毬花》第四章 復讐 第一話 赤い手毬花

(スズ。ありがとう)

「え?」

私は、掘り起こした場所を、”ぼぉー”と眺めている。

本當に、マホが見つかるとは・・・。違う。まだ、マホだと・・・。ううん。マホだ。私の記憶している服裝と同じだ。片方の靴が無いが、マホがよく履いていた靴だ。スカートも破れているが、マホが著ていたスカートと同じだ。

誰が・・・。いや、解っている。杉本だ。許せない。許せない。許せない。

許せなければどうしたらいい。

そうだ、簡単だ。

マホと同じ苦しみを味わえばいい!

そうだ、殺そう。

簡単だ。

立花を、西沢を、日野を・・・。

杉本を殺せば、許せる。

苦しめばいい。

マホを殺した、マホを放置した、マホを苦しめた。

奴らなんて死んで當然だ。死ねばいい。

私が殺してやる!

「鈴。鈴」

肩が痛い。何?

「え?」

克己さんが、私の前に座って・・・。え?

「鈴。いいか、杉本は、桜が対応する。いいか、お前はくな。いいな。絶対だぞ!進や唯を悲しませるな!お前がしなきゃならないのは、日常に戻る事だ。進や唯が待つ日常だ。お前が本來守るべき場所だ。間違えるな!間違えるのは・・・。一人・・・。いや、二人で十分だ!」

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真剣な目で克己さんは私を見る。

何を當たり前の・・・。言っているの?唯と進さんが大事にきま・・・。

え?

私、今・・・。何を考えていたの?

「・・・」

「鈴。いいか、間違えるな。マホの死に、お前は責任をじなくていい。殺した奴、埋めた奴らが報いをければいい。復讐するなら、マホや那由多がする。柚月だって考えているだろう。お前が考えることじゃない」

「・・・。うん。ありがとう」

克己さんが、私の肩に置いた手を離してから立ち上がった。

「(よかった)」

「え?」

「鈴のじが、彼らに似ていたからな」

「え?」

「もう。大丈夫だろう。鈴。いいか、マホが死んだことに、お前に責任はない。間違えるなよ。間違えると、お前の大事なを失うからな」

「うっうん」

克己さんが何を言いたいのか解った。

あの事件のことだろう。桜さんと克己さんの二人が解決した悲しい事件。

(そうだよ!スズ。あとは、私がやるから大丈夫!フフフ。やっと始められる。やっとだよ)

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「え?克己さん。何か言った?」

「俺か?何も?何かあったのか?」

「ううん。子供の様な聲が聞こえただけ」

「そうか、マホがお禮を言っているのかも知れないな」

「そうだね。あれ?そう言えば、沙奈さんと和さんは?」

和は、桜を呼び出すための手続きにった。沙奈は、和に著いていった。花を買いに行った。青い紫花・・・。青い手毬花ばかりじゃ寂しいだろう」

「そうだね・・・。紫花の花は綺麗だけど、しだけ怖い・・・」

「そうだな」

「ねぇ克己さん。手毬花って何?」

「ん?紫花の別名だ」

克己さんが持っていたスマホを作して私に見せてくれた。

『手毬花テマリバナ紫花の別名』

『手毬花テマリバナの花言葉:私は誓います、約束を守って、天國、華やかな

「え?紫花の花言葉と違うの?」

「さぁな。俺は詳しくないからな。でも、紫花の花言葉である『移り気』『浮気』『変節』よりは、手毬花の方がいいだろう?」

「そうね。天國に行っているかわからないけど、マホは約束を守ってくれる」

(うん!スズも約束を守ってくれたよ)

懐かしい聲が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。

克己さんが居ない?

どこに・・・。

「克己さん?」

「すまん。こっちだ」

青い紫花の向こう側に行っているようだ。

「どうして?」

「紫花がどのくらい花を付けるか知らないけど、鈴の話だと、鈴たちは紫花を植えていないのだろう?」

「うん。記憶では準備だけして植えなかった」

「俺たちは、元々植えてあった紫花の手前に植えた記憶があるが抜いた記憶はない」

「うん」

「そうなると、この紫花は鈴たちの前年に植えられたのだろう」

「そうですね」

「鈴。夢の中で、マホは”時計を投げつけられた”と言っていたよな?」

「え?あっ。そうです」

「それも、肝試しの最中だよな?」

「そうですね」

「投げた、腕時計を回収する時間が有ったと思うか?」

「え?後から拾いに來たのでは?」

「俺の記憶が正しければ、杉本はマホが行方不明になったと報告して、探しに行かなかった。その後で、責任を取って謹慎処分になった。それから、別の県に移になったと思うのだが?」

「全然覚えていない。ごめんなさい」

「いいよ。探しに來て、持って帰った可能もあるが、多分、探しに來ていないしと思う。翌年から、キャンプ自は殘ったけど、肝試しに仏舎利塔は使わなくなったと思うから・・・。どこかに壊れた腕時計が・・・」

「克己さん。そんなに必死にならなくても・・・。マホだって・・・」

「そうだな。でも、和の探しものに來たのだから周りを探しておかないとおかしいだろう?それに・・・」

「それに?」

「マホだって証明できるがないからな」

「だって・・・。私・・・」

「そうだ、夢の話だけだ。骨だけだ」

(大丈夫。お兄が居るよ)

「克己さん。那由多さんなら」

「そうだな。でも、那由多は記憶を無くして、別人になって生活している。頼めると思うか?マスコミが集ってくるぞ?」

「あっそれなら・・・」

「歯型とかいろいろ考えられるけど、マホが歯醫者に行っていなければ無理だし、歯醫者が潰れているだろう?殘っているとは思えない」

たしかに、あれから街にあった歯醫者は潰れてしまった。

新しく歯醫者ができたが、カルテやレントゲンが引き継がれているとは思えない。

そういいながらも、克己さんは紫花の元や離れた場所を掘り返している。

「そう言えば、克己さん。なんで、青い紫花の手前を掘ったのですか?」

「ん?周りは、ピンクの紫花だろう?」

「はい」

「マホが居るなら、青い紫花の場所だと思ったからだぞ」

「だから、なんで、獣道のすぐ脇で、紫花の手前を掘ったのですか?」

「酸とアルカリの話を覚えているか?」

「はい」

「仏舎利塔から流れ出た雨水が土壌を変えているのなら、仏舎利塔と青い紫花を結ぶ直線上にあると思うのが妥當だろう?それに、鈴の記憶では、居なくなったと騒いだ奴らがいたのだろう?それほど遠くに埋めるのは無理だろう?靴やスカートの一部が見つかっているから余計に・・・。な」

(お兄の友達ってすごい)

誰かまた何か言っているようだけど・・・。

「おっ戻ってきたな。これからは、桜の仕事だな」

遠くから、私と克己さんを呼ぶ聲が聞こえる。和さんと沙奈さんが帰ってきたのだろう。

和。桜は?」

「一時間くらいで來るよ。鑑識を手配するから、”もうこれ以上何もするな”と言っていたよ」

「了解。花を手向けたら、駐車場に戻るか」

そういいながらも、まだ地面を掘り返している。

「克己さん。桜さんから、”和の忘れは、覚えていた場所が間違いで仏舎利塔の反対側から見つかる”そうですよ」

「わかった。それなら、もう探す必要はないな。駐車場で待っていよう。案は、俺と沙奈でやるから、狀況の説明は和と鈴で頼むな」

それから、打ち合わせと稱した雑談を行った。マホには悪いとは思ったが、もうしだけ待ってもらう。

45分後に、桜さんを先頭に警察が6人やってきた。

私と和さんは、桜さん相手に説明を始めた。完全に茶番なのは本人たちが解っているが、桜さんと一緒に來た警察に説明しなければならない。捜査一課の人だと教えられた。桜さんが信頼する數ない警察関係者だと言っていた。

私が、首かり同窓會事件の時に現場に居たのを桜さんが説明して無理やり連れ出したのだと言っていた。

マホだとわかれば、事件がく可能が有るためだ。実際に、マホなのだ。そうなると、あの事件は誰がやったのだろう?ぼんやりと考えている間に、和さんによる狀況説明が終わった。

克己さんと沙奈さんは、鑑識と桜さんの部下と挨拶したの警察を連れて、マホの所に移した。

「警部。白骨が出ました。年齢は、10歳前後だと思われます。確実ではありませんが全です。服も見つかっています。ものです」

「桜。ここからは、捜査一課の仕事だ。資料課は遠慮してくれ」

「解っています。後でお茶菓子を持って伺います」

「そうだな。2日・・・。いや、3日後にしてくれ、お茶菓子と一緒に、10歳前後の児の行方不明リストも頼む」

「わかりました」

警部が仏舎利塔に向けて走っていった。

れ替わるようにして、克己さんと沙奈さんがと戻ってきた。

「さて、克己。沙奈。鈴。悪いけど、もうし付き合ってもらうぞ」

マホが見つかったら、事聴取は必須だから帰るのが遅くなると言われていた。進さんにも連絡はれてもらっているので大丈夫なので、桜さんの問いかけにうなずく。

先日は、容疑者の1人のような扱いだったが、今日は和さんが居るので、扱いが違う。

それに、白骨化した死を見つけたのだ、今の段階では扱いが違っていて當然だ。聞かれる容も、事前に桜さんから教えられているので、スラスラではないが答えられる。それに、今日は応接室みたいな場所で、克己さんや沙奈さんも一緒だから気分的にも楽なのだ。

それでも、2時間くらいはいろいろ聞かれた。

警察署を出る時には、すでに暗くなってしまっていた。

進さんに連絡したら、もう夕ご飯も食べ終わっていると言われたので、克己さんと和さんと沙奈さんにわれて、丸大飯店にご飯を食べに行った。

「鈴」

「はい?」

「マホの髪のとか持っていないよな?」

「えぇ・・・。無いと思う・・・」

「そうだよな・・・」

「どうして?」

「マホだと証明するために、マホの髪のがあればと思っただけ・・・」

「あ・・・。そうね」

(スズ。なつみの家にお泊りした時に、みんなで・・・)

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