《スターティング・ブルー〜蒼を宿す青年〜》十七章 ─ 思

タオカカを吹っ飛ばした人形。

見てすぐに事象兵アークエネミーだと分かったのはいいが、ってる本人が居ない。自立稼働じゃない筈なんだが…

「……ニルヴァーナ、か」

「知ってるのか、リツカちゃん」

「えぇ。事象兵が存在しているのは周知の事実ですし、全部の名も知ってます」

「それで、ニルヴァーナっつったか。人形だよな?だったらってる奴が居る筈だが…」

二人で辺りを探すが、見つからない。何処か遠くでってるのか。確かニルヴァーナはる本人が近くに居ないと稼働しない筈だ。そう思い、探していると、小さい人形が足元に來ていた。眺めているとその人形が槍を放ってきた。間一髪で躱し、遠くを見據えると…シルクハットを被った金髪の年がニルヴァーナに向かって歩いてくる。

「よりによってお前かよ…」

「おや、誰かと思えば…」

カルル=クローバー。最高ランクの咎追いだ。そう言えば此奴がってるのがニルヴァーナだと知ったのはつい最近だった。何せカルルはあまり人前に出ないから変な噂も立たなかった奴だ。人形師なのは知っていたが…

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「カグラさん、あの子は私が相手しますのでタオカカの方を頼みます」

「お、おう?なんか因縁でもあるのか?」

「まぁ、多?」

「……無理はするなよ」

カグラにタオカカを任せ、その場から離させた所でやっと俺の出番だ。フィオには一旦引っ込んで貰い、悠人としての自分を出す。

「久々、と言えばいいか?」

「えぇ、お久しぶりです。桐生悠人さん」

「全く面倒な事になったもんだな…」

「それはこっちの臺詞ですよ…っ!!」

ニルヴァーナがノーモーションで腕をばして攻撃してくる。躱して大剣の衝撃波を放ち、同時に接近。そのまま毆るが、カルルを守るかのようにニルヴァーナが拳を防いでいた。

「やっぱ厄介だな、それ」

「僕の自慢の姉さんですから當然です」

「あーはいはい。面倒なのは変わらんし、速攻でケリ付ける」

蒼の力を発、無い腕を黒いで代用してを確かめる。初めてやったが上々らしい。それを見たカルルは目を見開いていた。

「……蒼、ですか」

「…意外だ。コレ、知ってるのか」

「目的が変わりました。それ、力ずくでもいただきます」

「奪えるなら奪ってみろ」

わざと挑発した所で呼び出したハートネイズを変形させて槍狀にする。構えた時、何かが橫切った。何事かと思って見たら、ラグナとノエルの二人だった。その先には、カグツチで闘ったジンが居る。

「(おいおい…)」

冷や汗が伝うのが分かる。

「いたた…」

「大丈夫か、ノエル…」

「あ、はい。すみません…」

かなり吹っ飛ばされたらしく、ラグナがして守ってくれなかったら傷だらけだった。辺りを見回すと、悠人ともう一人…カルルが居た。どうやら二人も刃をえてたらしい。

「ノエル?!」

「あはは…ごめん、悠人」

「……ちと向こう行ってくる」

そう言いながらキサラギ佐の方に走っていった悠人。もしかしたら、カグツチの続きをするのだろうか。それはいいんだけど、問題はこっちだ。まさかカルル君がイカルガに居るとは思いもしなかった。

「あれ…ノエル先輩じゃないですか。お久しぶりです。それと、ラグナ=ザ=ブラッドエッジ。貴方が先輩と共に居るとは、予想外でした」

「出來ればこんな形で會いたくなかったよ、カルル君…」

「けっ、あん時の鬼かよ。言っとくが、蒼の魔道書コイツは渡さねぇからな」

カルル君は既に臨戦態勢だ。それもそのはず、さっきまで悠人と戦っていたから當たり前だろう。武を構えて臨戦態勢を取る。そうしないとこっちのが危険だ。

まさかジンまでこっちに居るとは思わなかった。だが、向こうにとってコレは好都合だろう。このまま俺が出會えば、カグツチの借りを何倍にもしてこちらに返す事が出來るからだ。

「よぉ、キサラギ佐殿?」

「桐生、悠人」

「……長したのは俺だけじゃないって事か。殺気がここまで伝わってくるな…」

「この僕に苦を飲ませた事、後悔しながら散れ」

「長生きしたいんだけどなぁ…俺。まぁいいや、存分に楽しもうぜ?」

それぞれが自分の得を構え、ぶつかった時だ。時の巻き戻しが起こり、気づいたらイカルガの地下に居た。俺だけじゃなく、ノエルとラグナもだ。ジンとカルルは此処に居ない。そもそも、この場が何処なのかすらわからない。

功っと。今殺り合られたらこっちが困るんですよねぇ」

悠人達を転移させた張本人、ハザマはそう呟きながらパネルを作する。そのパネルに映し出されているものは、あの…第十三素ニューのデータだった。どうやら同じ素である悠人とノエルの力をデータとして殘し、ニューの戦闘力向上を計っているらしい。

「にしても…上々ですよね、コレ。あの二人だけが扱える力…例えるなら"増幅回路ブースター"でしょうか?実に興味深い…」

研究者じゃないのにあたかも研究者らしい臺詞を吐くハザマ。その頭の中で考えている事と言えば…

「さて、第十三素を稼働させるまでもうすぐといったじでしょうか?私…いえ、俺様の目的、"滅日"まで

もうしで始められる…待ってろよ、アマテラス。ヒヒッ」

滅日が何を指すかは、彼と彼が仕える者のみが知る事。悠人達が知る事になるのはまだまだ先だろう。

「「「何処?!」」」

三人揃ってぶ。それもそのはず、さっきまで戦っていたのに急に此処へ來たからだ。なんの前れもなく突然に。

「とりあえず、ノエルは俺の隣に來い。ちと嫌な予がする…」

「う、うん」

「なんだよ、その予って」

「見ればわかると思う…あの時じた嫌な気配だ」

その予は當たる事になる。外れてくれと願ったが、神様(どうせ居ないが)はバカ正直に當てたという事だ。遠くに居るだけなのに足が竦む程の威圧、白いお面、得であろう野太刀。間違いない。

「……六英雄、ハクメン」

「は?!六英雄ってまだ生きてんのか?!」

「それは俺が知りたいっての!!大ラグナの師匠の獣兵衛さんだって六英雄だろが!」

「ま、まぁ…そうか。でもよ、師匠は兎も角彼奴も長生きって訳じゃねぇだろ?」

「普通ならな。"向こう側に落とされた"なら別だ」

「向こう側…か?」

「それは後だ。今は奴をなんとかしねぇと…」

ハクメンは徐々に近づいてくる。無意識にノエルと手を繋ぎ、戦闘態勢に移行。ラグナも蒼の魔道書ブレイブルーの発準備にった。

「……行くか」

「嗚呼…行こう、二人共」

「うん。悠人…私も頑張る」

対するハクメンは無言のままだ。それが逆に怖さを増しているが、そんなのは気にしていられない。目的は変わってない筈だから、確実に殺りに來たと捉えていいだろう。最初っから本気で行かないとこっちが甚大な被害を被る事になる。それほどまでに六英雄というのは脅威な存在だ。

「……來い。黒き者達よ」

その言葉を合図に、一斉に走る。又もや戦いの火蓋が切って落とされた。

では又次でお會いしましょう(。・д・。)ノシ"

々謎が増えましたが、それらはちゃんと伏線ですので後から回収されます。

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