《シグナル・オブ・デッド》第4章 9話 ウェスキンスとの対峙2

ロシア語表記に従って進み、やがて軽そうなスモークガラスの扉に辿り著いた。スモークガラスには『Комната босса』との刻文字。乃亜が直ちに日本語訳した

乃亜「『Комната боссаコンナタ ヴォッサ』…『ボスの部屋』…とうとうね」

湊音「よし…開けるぞ」

俺が思い切ってドアノブを捻った。5人それぞれが武を構えて部屋に

乃亜「Не двигайсяニー ディヴィーディッシュ!」

乃亜が銃を構えて言った。今の調子だと…『手を上げろ』だろうか。ウェスキンスが素直に手を上げた………と思ったら、口角をクッと上げて言った

ウェスキンス「Это слишком плохо, слишком поздно. Я вспыльчив, твой противник сегодня не я」

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斗哉「今度はなんて?」

乃亜「『殘念だ、遅すぎるんだよ。俺は短気なんでね、今日もお前達の相手は俺ではない』って」

乃亜が訳している間に、ウェスキンスはアメリカの時と同じく指をパチン!と鳴らす。すると、今度は俺達から向かって左側の部屋の壁がドオーン!という音と共に崩された。そこに居たのは、気持ち悪いほど筋質なゾンビ。心臓も筋に囲まれているようで、皮から浮き出ている。乃亜は何やらそのゾンビをじっと見つめている。俺達が呆気に取られている所に、魁人がソレの名前を口にした

魁人「た、タイラント…何で、コイツがここに…」

斗哉「魁人。それ、どういう意味だ?」

魁人「タイラントは、かつて中世ヨーロッパ(5世紀〜15世紀)で実際に存在していたとされるゾンビだ。その繁力は『驚異的』ならぬ『脅威的』で、近世(18世紀後半〜19世紀初期)になっても存在していたらしい。中世ヨーロッパ時代(11世紀〜14世紀)では、マインドコントロールの原理でその力を利用して施設などをかす街も存在した。けど、時代が過ぎる毎に民衆には『力があり過ぎる。危険だ』という聲が目立つようになった。その聲に応えて、20世紀中頃にアメリカの生學者、アーロン・ドゥグラ博士によって、タイラントに対する劇薬が作られてタイラント種は絶の道に追いやられた。以來、地球上どこを回っても『タイラント』の種は愚か、類似種さえも2019年現在では確認されてない」

魁人が一息に説明すると、乃亜が震えた聲で

乃亜「………待って。あの顔、どこかで見た覚えがある気がする」

斗哉「え?」

乃亜が尚も震えた聲で続けた

乃亜「去年末、親族の集まりでロシアに來たの。親戚のジャイルおじさんの家だから、ここよりもっと西に行った『レイトローンズ』っていう街。その夜、ジャイルおじさんの提案で『今夜、俺の家の庭でBBQパーティをやろう』っていう話になって、BBQパーティを開いたの。食べたり喋ったり、凄く楽しかった。けど、パーティが終わって全員集合させると、従兄弟のロイヤー兄さんだけが居なかったの。日が昇るまで近所をみんなで探したんだけど、何日探してもロイヤー兄さんは見つからなかった。警察も呼んだんだけど、全く捜索が進まなくて『突然失蹤』で片付けられたの」

そこで乃亜が言葉を切ると、衝撃の事を口にした

乃亜「そのロイヤー兄さんには、誰が見ても分かる特徴があるの。それは………このタイラントゾンビにもある、あの右腕の十字キズなの!」

涙聲になりながら、乃亜がタイラントの右腕を指差した。タイラントの右腕をよく見ると、確かに十字架を彷彿とさせるようなキズ跡がある

湊音「そ、そんなバカな!」

斗哉「けど、何が目的で…」

ウェスキンス「Ха ха ха! Это глупый мальчик. Если мой агент прогуливался в поисках предмета в эксперименте, он говорил мне, что я нашел мальчика с хорошей фигурой. Я получил отличный экспериментальный результат」

ウェスキンスが何か言ったのを聞くと、乃亜は涙を流しながら悲鳴をあげて、狂ったようにM134を撃ちまくった

乃亜「うあぁぁぁーーーーーーーーーー!」

その銃弾は虛しく、ウェスキンスには當たっていない

果萌「乃亜!落ち著いて!今、アイツ何て言ったの?」

すると、乃亜が怒りを帯びた聲で

乃亜「『愚かな年だ。俺の工作員が実験の被検を探して散歩をしていたら、丁度いい図年を見つけた、と連絡をくれてね。見事な実験結果が得られたよ』って…兄さんを…ロイヤー兄さんをよくも…」

ウェスキンス「Ну извини за сегодня. В лучшем случае с нетерпением жду последнего раза с твоим братом」

ウェスキンスは言うと、奧の扉に消えていった。乃亜はウェスキンスが言った言葉を聞くと、キッと目線を鋭くして

乃亜「みんな、殺るよ」

覚悟を決めたように、そう言った

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