《フェンリル》始末書は隊長持ち

先の戦闘が終わり、疲れているはずの志禮はエースダック隊員の証言を元に、國防軍が優位にたつためのヒントが過去にあると仮定した。

普通ならそれが正解だったとしても過去に行くことは出來ない。しかし、今のフェンリルフォースにはアメリカンAA社から強奪したホワールウィンドがあった。

過去に行くことの出來る唯一の手段だった。

そして志禮はその手段を決行しようとしていた。

九十九「本當にやるの?」

志禮「別にいいだろ?俺が武將首をあげるチャンスなんだよ。」

ホワールウィンドが保管されている建で志禮と九十九は言い合いをしていた。

九十九「こんなの隊長の命令もなく作したら謹慎処分じゃ済まないわよ。」

志禮「だったら俺の単獨行ってことにしてりゃいいだろ。」

火虎「やかましいな、志禮。黙って出ていったと思ったらここに居やがったのか。」

重い扉を開いて隊長がって來た。

隊長は相変わらずタバコを吸っている。

火虎「九十九、行かせてやれよ。」

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九十九「た、隊長が言うなら私は構いませんが。」

火虎「で?お前は何処に行く気だ?」

火虎はタバコの灰を指でトントンっと弾いて落とした。

志禮「飛騨です。」

火虎「飛騨ぁ!?それって森山町か?」

志禮「そうです。」

火虎「あんな焼け野原に行って何しようってんだ。」

志禮「俺の行く森山町は焼け野原なんかじゃないんですよ。」

火虎「おい、それってまさか…」

火虎は吸っていたタバコを捨てて志禮の肩を摑んだ。

火虎「アレを使う気か?」

志禮「ええ、その通りです。」

火虎「一応言っておく、アレの安全は保証されてる。一番の問題はお前があの飛騨の森山町に行くってことだ。それも過去の。」

九十九は二人の會話が理解出來なかった。

何故なら九十九は飛騨で何があったかも知らなかったからだ。

火虎「戦爭派の連中は新薬の調合をミスして化學反応を起こしたと言っていたがあれは間違いなく核だ。」

火虎がいつもメモ帳代わりに使っている端末を志禮に投げて渡した。

志禮「……森山町の調査で放線濃度が通常の40倍以上に高いことが証明さた。

森山町を焼き盡くした炎の威力と比べても、これは小規模な核による被害であり、斷じて新型通常薬の化學反応ではない。これが國防軍の出した結論ですか。」

火虎「この被害には一部の戦爭派の人間も怪しく思って調査していた。しかし、満場一致で核弾という結論にたどり著いた。」

志禮は靜かにバックパックにサバイバル用の準備を詰め込み始めた。

火虎「もしこれが正式な任務だとしても難易度が高すぎる。柱の太い科學プラントを限られた炸薬で破壊するのより、偽札で造幣局を騙すのよりも難しい。」

志禮「だが、功すれば奴らの計畫が公に見し、我々の優位が高まる。」

志禮は全ての準備を終えた。

火虎「……だが、お前の命が危険にさらされる。俺はフェンリルフォースの隊長を任せられているんだ。部下は死なせたくないんだ。」

志禮「貴方は俺が死ぬと思ってるんですか?俺は隊から二丁の拳銃だけで生き延びてきたんですよ?」

そう言いながら志禮はホワールウィンドの前に立った。

志禮「俺が功すればこの馬鹿げた戦も我々の勝利というベストな結果で終わらせられる。賭けてみる価値はあるはずです。」

火虎は志禮の目を見てし考えた。

志禮の目には何となく考えがあるように見えた。

國防軍を勝利に導くための案が志禮の中に存在しているようだった。

火虎「わかった、行ってこい。」

九十九「本當にやるんですか?」

火虎「今のこいつは何を言っても言いくるめられちまう、それなら思うようにやらせてやった方が結果が出るはずだ。」

火虎はホワールウィンドの電源裝置のスイッチをれた。

火虎「行き先はあの日の前日だな。起點の中心は森山町役場から東に500メートル程の所にある平屋の民家だ。行ってみれば分かるはずだ。」

志禮「わかりました。」

火虎「それと、自衛隊やつらは恐らく森山町にはっていない。別の組織の行という可能の方が高い。自衛隊がいないからって目立ちすぎる行は控えろ。」

志禮「わかってます。」

火虎はホワールウィンドの端末に場所と時間を力した。

火虎「幸いにもお前が行く3年前は國防軍が設立して數カ月だ。國防軍の存在はまだ大きく認知されていない。その面では活しやすいはずだ。」

志禮「ありがとうございます。」

火虎はついに裝置を起した。

火虎「始末書は俺持ちだ。功を祈る。」

そして志禮はそのドーナツ狀の裝置の中でに包まれて姿を消した。

火虎「あいつにあそこまでこの軍を思う気持ちがあったんだな。」

九十九「こんな軽いノリで良かったんですか?」

火虎「ああ、俺から直々に枝吉參謀長に言っておくよ。」

???「言う必要はないよ。」

火虎の後ろから聲が聞こえた。

老人のような聲だ。

九十九「あ、あ……貴方は!!」

火虎「見ておられましたか、枝吉參謀長殿。」

火虎の言っていた枝吉參謀長はその一部始終を見ていた。

火虎「なぜここにおられるのです?通常軍務であれば今は神戸におられるはずでは?」

枝吉「君がドーナツを鹵獲したと言うから直々に見に來たのだよ。実に面白いものを見せてもらった。こんなファンタジーのような兵を既に実用化できるほどの技が彼らにあったとはね。」

火虎「同です。」

枝吉「それと、君のこれからの件についてだが…」

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