【2034年、飛騨、森山町8:30】

志禮「はぁよく寢た。」

志禮は時雨の家になんだかんだで泊めてもらっていた。

そして朝がきたため志禮は家を出ていこうとしていた。

志禮「お世話になりました。」

時雨母「いえいえ、これからの任務も頑張ってくださいね。」

一通りの挨拶を終えて志禮は家から出て行った。

長居しても迷になるだけだと思ったから早めに家から出て行った。

志禮「昨日の晩飯は最高だった…」

時雨「でしょ？」

志禮「！？」

志禮の後ろには時雨が居た。

何故か家からついてきたようだ。

志禮「人に懐いた野良貓みたいについてくるなよ。」

時雨「別にいいでしょ？どうせ貴方しばらくここにいるんでしょ？」

志禮「まぁ、そうだけど。」

時雨「それならいいじゃない？だってここは私の住んでる町よ？私がいた方がなにか分かるかもしれないじゃない。」

時雨の言葉を聞いて志禮は一瞬だけ思った、何故志禮が何かを探していることを知っているのかと。

志禮「なんで俺がこの町で何かを探していることを知っている？」

時雨「だって昨日しれっと言ってたじゃない。」

志禮「あっそう。」

【2037年、北海道基地】

黒崎「そう言えば隊長たちはどこに行ったんでしょうか。姿が見えませんが。」

倉須「隊長たちは非番だから朝からお酒でも飲みに行ってるんでしょ？」

手洗「絶対そうですよ。だって3人で仲良く基地出ていくところ見ましたもん。」

3人は撃訓練中に休憩がてら休んでいた。

黒崎は何故か倉須と喋るときに頬が赤くなる。

倉須「そう言えば黒崎君、ベルナルドさんのこと何か聞いてない？」

黒崎「ぇ？お、俺ですか？」

倉須「ベルナルドさんがやけに焦ったじで基地中を駆け回っていたものだから。」

その頃、ベルナルドは部屋に引きこもっていた。

ひきこもりたかった訳では無い、むしろ外に出て撃訓練したいと思っていた。

しかし、ベルナルドは部屋から出れないでいた。

ベルナルド「……お前は誰だ。」

？？？「……………。」

黒崎「はぁ、撃訓練は肩がこりますね。」

倉須「黒崎君は分隊支援火だからね。」

黒崎「そ、そうなんですよ！！ﾊﾊﾊｯ…」

手洗「そんなの私もよ、肩が凝って仕方がないわ。」

3人が世間話をしながら撃訓練をしていると、すぐ橫で撃訓練をしていた時津風が突然怒り始めた。

時津風「いい加減にしろよ！！俺たちは國を守るために戦ってるんだぞ！！」

その言葉に黒崎は怒りを覚えた。

黒崎「なんだと、お前がそんな大層な口聞けるのかよ、このビビりが。」

倉須「ちょっと、やめなさ…」

黒崎「昨晩の襲撃時もお前どこにいた？敵を撃滅したか？階級上位で前線に出てなかったの隊長とベルナルドさん除いたらお前だけだろ。」

時津風「昨晩の敵は我々の本命の敵ではないと思ったんだ。」

黒崎「雪風さんが言ってた通り、言い訳だけは一級品だな、でも前線で果を上げたのに、大の大人は基地で閉じこもって言い訳かよ。」

口喧嘩はどんどんエスカレートしていく。

倉須も手洗も止めようとするが止まる気配はない。

黒崎「あんたもう銃は必要ないだろ？416なんて高能な銃持ってても引き金ひかなきゃ意味無いんだぜ？」

時津風「うるさい！！10代のくせに知った口ききやがって！！」

黒崎「戦果も上げられない20代よりも引き金を引ける10代の方がいいと思うけどな！！」

倉須「二人ともやめて！！仲間同士でしょ？同じ部隊の人間で爭っても意味が無いわ！！」

倉須の説得によりやっと2人は止まった。

黒崎「倉須さんが言うなら仕方ない。」

時津風「ちっ……」

時津風はライフルを擔いでその場を離れていった。

手洗「なにあいつ、最近おかしくない？」

倉須「正義は人一倍強いんだけれど…」

【2034年、飛騨、森山町】

志禮「ダメだ、全くわからん。」

志禮は捜査に行き詰まっていた。

全く手がかりが摑めない、お爺さんが言っていた土砂崩れを起こしたところに行っても何も無く、本當に手がかりはゼロだった。

時雨「何を探してるの？」

志禮「関係ないだろ？」

時雨「関係あるわよ！私の友達が困ってるって言うのに！！」

志禮「これは俺の任務だ。」

時雨「いい加減にしなさい！！」

時雨は志禮の顔を両手でパシッと挾み込んだ。

志禮「ﾓｺﾞｯ、何する。」

時雨「志禮、まだ隠してることあるでしょ。」

志禮（唐突に下の名前で呼ぶなよ。）

時雨「本當のことを言って！！」

志禮「ああもう、わかったよ！！これはこの町を救うためにしている事だ！！俺は2037年からこの時代に來た！！」

時雨「……」

志禮「これから二年後に過去へを転送する裝置が発明され、俺はそれでここに來た。そして今日、この町が地図から消えることになる。」

時雨「どういうこと？」

志禮「この町で正不明の大発が起こる。俺はそれを阻止し、戦爭派の連中の悪事を表沙汰にするためにここに來た。」

時雨「なるほどね。」

志禮「この話がわかるのか？」

時雨「さっぱり分からないわ。」

志禮「だろうな。」

志禮がガッカリしていると突然、太に雲がかぶったかのように辺りが暗くなった。

志禮「なんだ？」

振り向くと、時雨の家が何故かっているように見えた、いや、っていた。

時雨「あれ、私の家が……」

志禮「まずい……走れ！！」

時雨「え？え？」

志禮の怒鳴ったような聲に戸いながらも時雨は走り始めた。

時雨「なんなのあれ！！」

志禮「そんなことはどうでもいい！！助かりたければ走るんだ！！」

やがてを帯びていた時雨の家から音が聞こえたと思うと、巨大な煙が立ち上っていた。

そして、衝撃波が二人を襲おうとしていた。

時雨「きゃぁ！！」

志禮「クソっ！！しゃがめ！！」

志禮は時雨に覆いかぶさる形で衝撃波から時雨を守ろうとした。

ドォォォォォォォォォォォォン！！！

志禮「俺は…目の前の人間も守る事が出來ないのか！！」

志禮「！！？」

気がつくと志禮はベッドに寢かされていた。

にし痛みはあるが、外傷は見られない。

火虎「気が付いたか？」

志禮「あれ、隊長、俺は…」

火虎「お前がホワールウィンドを使用してから4日経った。お前は2日間気絶していた。」

志禮「そうだ、時雨は！！」

火虎は志禮の橫のカーテンを開けた。

火虎「コレか？」

そこには呼吸を取り付けられた時雨が橫たわっていた。

志禮「無事でよかった。」

火虎「この娘はお前とれ合ったことによりこちらに転送されたようだ。」

火虎の言うことが理解出來ずに志禮は聞き返した。

志禮「どういうことです？」

火虎「お前が過去に向かうときに浴びたごく微量の放線が、お前のとれ合ったその子にしだけ付著し、それが核弾の放熱との関係がどうだこうだって九十九が言ってたぞ？」

結局のところ、火虎もその理由は知らなかった。

流石は低學歴！！

志禮「こいつが起きても適當に振舞ってやってください、軍人らしく固く行くと怯えるかも。」

火虎「わかった、みんなにも伝えておこう。お前はもう休め。しばらくは重大作戦もないんだから。」

火虎はそう言うと病室の扉を開けて出て行った。