《フェンリル》

九十九「あ、貴方は……」

九十九はこれまでにないほどガクガクしていた。

時雨「誰なんですか?」

九十九「國防軍最高司令部參謀長、枝吉唐ノ助將!!」

枝吉『やぁ、今回の件でし話がある。』

九十九「な、なななんでしょう。」

枝吉『現在、自衛隊がやけに騒がしくなっているが、君たちが関與しているのかね?』

枝吉の威圧のある聲に九十九はひたすらビクビクしていた。

九十九「そ、それは……」

枝吉『どうなんだ?』

九十九「はい!!我々です!!」

威圧のある聲、それに対抗できずに九十九は問いかけに即答した。

枝吉『はぁー、何やってるんだ。また俺がフェンリルフォースの始末書を片付けねえといけねえじゃねえか。』

九十九「すみません。」

枝吉『お前ら、この前畫サイトのコメ欄で煽ってきた奴の住所特定して家を蜂の巣にしてきただろ。』

九十九「すみません。」

枝吉『桜木から金をぼったくりした風俗店に武裝させて桜木を投してただろ。』

九十九「すみません。」

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枝吉『火虎は公用の資金を無許可で持ち出してBARで酒飲むし、志禮は自分の銃を無許可で改造するし、桜木は言わずもがな、大和はおでんの屋臺で飲んだくれてツケ払い、犬神はそもそも喋らんから何を考えてるのかわからんし、倉須も復讐の為に勝手に尋問するし、手洗だってなんでこんな所にいるんだ。黒崎は忠実すぎてし可哀想だ。まともなのはベルナルドだけじゃないか。』

九十九「え、私は??」

枝吉『君はよく働いている、しかし志禮としょっちゅう言い合いしてるだろ?』

九十九「くっ……」

枝吉『どれだけ不祥事を隠蔽するのに手間がかかると思ってる!!新聞社やテレビ局、はてまた海外メディアへの口止め料!!國防軍が破産する!!』

枝吉の愚癡に九十九はグウの音も出なかった。

それだけ酷すぎたのだった。

枝吉『まあよい、今回は倉須のそれの件もあるしな。』

九十九「彌生ちゃんのことですか?」

【同刻、田空港】

アリア「はぁ、はぁ、化け。」

倉須「そうですね、この時のためにずっと國防軍に居座ったんです。化けと言われても仕方ありませんね。」

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もはや二人の勝負は著いていた。

アリアにとても反撃する力などなかった。

アリア「でもね、私は死なない。たとえ死んだとしてもCIAの誰が私の意思を継いでくれる。」

倉須「足が震えていますよ?」

アリア「CIAは例え最後の一人になっても戦い続ける!國の為ならいつまででも戦い……」

倉須「そういうのやめて貰えません?」

より一層眼差しを強くした倉須にアリアは一瞬だけ何かで突き刺されたかのような覚に襲われた。

倉須「最後の1人までとか、を削ってでも戦うだとか、痛みに弱い人間なのに非現実的な妄想を浮かべながら戦う意思と勘違いする。そんなのは闘志とは呼ばない、ただの悪あがきですよ。」

アリア「五月蝿い!!」

倉須「貴方みたいな人間は本當に不愉快です。自分の業を背負おうともしない、自分が犯した罪を償おうともしない。自分がどれだけ人を苦しめたかも分からない。」

倉須はナイフをアリアの首元にそっと當てた。

アリアはガクガクと震えている。

倉須「はっきり言って最低ですね、貴方のような人間はドブ水でも啜ってるのがお似合いです。」

アリア「……私を殺すのか?」

倉須「勿論。」

アリアは即答されていよいよ死ぬのだと実した。

倉須もいよいよ殺せるのだとが滾っていた。

倉須「では…さようなら。」

火虎『倉須!!撤退しろ!!』

ナイフを振り上げた途端に火虎の無線が聞こえた。

火虎『ここは自衛隊に包囲された。すぐに総戦力で突破する。』

倉須「しかし!!ここに生き殘りが!!」

火虎『無力化さえできればそれでいい!!とにかく撤退する!!』

倉須「……………分かりました。」

倉須は震える右手を抑えながらナイフを片付けた。

倉須「命拾いしましたね、でも私は諦めない………お前を確実に殺す……。」

そう言い殘すと倉須はアリアの武を取り上げて管制塔へと向かった。

アリアは最後の殺すという一言にまだ震えていた。

その様はまるで恐怖癥にかかったかのようだった。

志禮「さて、戦車大隊がいるのにどうやって抜け出すのかね?」

大和「今日は薬は持ってきてへんぞ。」

桜木「正面突破!!豬突猛進だろ!?」

志禮「お前が喋ると話が捻れるから黙ってろ。」

フェンリルフォースは全員が管制塔の真下に集合していた。

怪我人は何人もいたが、奇跡的に死亡者は居なかった。

ベルナルド「さてと、戦闘ヘリはまだ來ていないな。それなら対処出來る。」

作戦立案のプロであるベルナルドが作戦を考案した。

ベルナルド「奴らのことだ、正面突破はないとタカをくくっているはずだ、恐らく飛行場側面の方が敵は多い。」

志禮「どこにいたって一緒だろ?正面突破なんてどのみち無理だろ。」

黒崎「そうっすよ、正面が薄いからってやすやすと正面突破は出來ないですよ。」

ベルナルドはバックパックから缶を取り出した。

ベルナルド「これを使う。」

志禮「閃手榴弾?」

自衛隊「武裝勢力に告ぐ、我々自衛隊はこの空港を完全に包囲した!!直ちに降伏し、投降せよ。従わない場合は武力を持って制する!!我々は政府から武裝勢力の殺を許可されている。」

自衛隊は既に陣取りを終えてフェンリルフォースを待つばかりだった。

火虎「誰が降伏するかバーカ。」

フェンリルフォースは既に出の準備を整えていたが、志禮と桜木の姿だけが見えない。

ベルナルド「用意出來たか?」

志禮『出來た。』

ベルナルド「カウントダウン、3、2、1、今。」

ブッツン!!

突然空港の電気が全て消えた。

すぐに自衛隊は暗視ゴーグルを裝著した。

その隙にフェンリルフォース全員がコンクリートの壁から外へ一斉に閃手榴弾を投げた。

ピカッ!!

大量の閃手榴弾は恐ろしい程のを発した。

暗視ゴーグルでが増大され、自衛隊の視界は一時的に塞がれた。

火虎「今だ!!行け!!」

目を抑える自衛隊の橫をフェンリルフォース全員が走り抜けていく。

戦車には効いていなかったのか砲塔を皆の方に向ける。しかし、火虎がキャノピーから手榴弾を投げ込んで次々に制圧していく。

自衛隊「ぐぉぉ!!どこだ!!どこにいる!!」

自衛隊「糞!!目が!!」

び聲をあげる自衛隊の橫をまるで無視するかのようにすり抜けていく。

そしてフェンリルフォースは自衛隊の兵員輸送トラックを奪い取って逃げていった。

火虎「はっはっはっは!!まさかこんなのが功するとはな。」

志禮「あいつら見たか?」

黒崎「ええ勿論。目が!!目が!!とか言ってたでしょぎゃははははは!!」

手洗「面白くないですよ!!私だけ重量裝備なんですから!!」

大和「桜木だけ屋に張り付いてんぞ!!」

桜木「乗れねえ。」

皆楽しそうに話していたが、倉須だけは暗い顔をしていた。

黒崎「何かあったんですか?」

倉須「敵の中に父の仇がいたの。」

黒崎「あのですか。」

倉須「私が高校生だった頃、父は戦爭派のやり口を忌み嫌って、國防派の支援を大々的におこなっていたの。」

黒崎は倉須の話を熱心に聴き込んでいた。

倉須「支持を得るために人々に戦爭の壯絶な事実を伝え、戦爭派が間違っていることを伝えようとしていたのです。やがて父が有名になり、演説などを開くようになると殺し屋などにも命を狙われるようになりました。そして、父が國防派として最後の演説を行った日、父は殺されました。」

黒崎「それが……」

倉須「あのです。父をリモコン式の弾で殺したのです。あろう事かあのは私の父の亡骸を見て大聲で笑っていました。」

黒崎「……なんてだ。」

倉須「確かに國防派が力をつければ戦爭派とアメリカとのコネクトが途絶える危険があったため、國防派の要人を暗殺しようとするCIAの考えも分からなくはなかった。しかしあのだけは許せない。」

倉須の目には涙が浮かんでいた。

倉須「塗れになって、目を見開いて死んだ父をあのは笑って見ていた。父のために的になったのはあれが初めてでした。」

黒崎は倉須の手に自分の手を重ねて言った。

黒崎「倉須さん、もっと俺達を頼ってください。倉須さんだけじゃ解決できないことも、皆でなら解決できるはずです。」

倉須「黒崎君…」

黒崎「俺は正直に言うと馬鹿です。でも、そんな馬鹿でも人の役にはたちたいんです。」

倉須「ありがとう、黒崎君は優しいのね。」

黒崎「え、え、え…そんなことは……」

志禮「銃持って青春なんてとんでもないですね。」

火虎「まあいいんじゃねえの?自由なのがフェンリルフォースの特だろ?」

志禮「確かにそうですね。恐らくどこの世界の弱小部隊から鋭部隊を集めてもここまで個的な人間が集まってるのはここだけでしょうね。」

火虎がハンドルを握るトラックは、高速道路へと消えていった。

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