《フェンリル》エリートは走兵
ベルナルド「レイはやっと寢たか。」
九十九「ええ、時雨ちゃんもちゃんと寢たわ。全く、警戒態勢を張っておきながら隊長が居ないなんて、この部隊は狂ってるわ。」
ベルナルドと九十九は深夜に武庫の最終點検に向かった。
武庫は基本的に個人個人の棚があり、そこに銃をおさめておく。
使用する銃がバラバラなフェンリルフォースでは銃の數を確かめるよりも、個數を確認した方が早いのだ。
ベルナルド「こっちは大丈夫だぞ。そっちは?」
九十九「こっちも大丈夫…あれ、この棚空よ?」
九十九の目の前の棚には何も置いてなかった。
通常であれば遠征などでその日は隊員が帰ってこず、武が殘っていないということもある。
しかし、その日は誰も遠征には行っておらず、武は全て揃っているはずだった。
九十九「返すのを忘れたのかしら。」
ベルナルド「この棚誰の?」
九十九「時津風の……」
九十九の口から時津風という名が出た瞬間、ベルナルドは無線機を手に取った。
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ベルナルド「総員に次ぐ、時津風が逃走した!!繰り返す、時津風が逃走した!!」
【見張り臺】
志禮「時津風が逃走したそうだ。」
大和「まさかこんな早いとはな。行くぞ。」
志禮「分かってるよ。」
【食堂】
桜木「おい!!走兵だってよ!!」
犬神「………」
黒崎「こりゃこの勝負はドローですね。ポーカーは今度やりましょう。」
犬神「………」
犬神はプルプルと震えていた。
犬神の手札はAのファイブカードだった。
【子寮】
倉須「もう!!いまから寢るところだったのに!!」
手洗「何言ってるのよ、流石に出撃しないと減給よ。」
フェンリルフォースの隊員達はすぐさま武を手に取って基地の防壁の外に捜索に出た。
しかし、雑木林をいくら探そうにも時津風を見つけることは出來なかった。
それもそのはず、時津風は雑木林になど行っていなかった。
【北海道基地】
時津風「やっと捜索に出たか。」
???「捜索なんて面倒だと思えばとんだ収穫じゃないか。」
防壁のそばに隠れていた時津風が姿を現した瞬間、後ろから聲がした。
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時津風「流石だな、雪風志禮、俺のきを読んでいたか。」
志禮「お前は戦するときできる限り戦闘を避けようとする。戦略か気取りなのかチキンなのかは知らんが、お前ならバレないように基地に居座り、敵が姿を消したら出てくると読んでいたまでだ。」
時津風「お前のそういうところが気に食わないんだ。」
常に熱くなりやすい時津風だが、この時の怒り方はし違っていた。
時津風「任務に対する意識は低い、なのに結果は殘して優遇される。命乞いをする敵兵を捕虜にとるのを面倒だと言って殺害。なのに自分が気にった人間だけは助ける。」
志禮「俺は求に従って生きてるだけだ。俺がそうしたいと思えば実行する。」
時津風「それだ、その自己中な考え方だ、なのに貴様は死なない!!これまで俺の同僚が次々に死んでいった。みんな任務に忠実だった!!なのに死んだ!!」
志禮「単純にそいつらが弱かったのさ。」
時津風「なんだと!!」
時津風はこの前のように志禮のぐらを摑んだ。
この前とは比べにならないくらいの力だ。
志禮「そんなにキレることか?死んで49日経ってるんだろ?だったら既に死んだ人間のことを言っても関係ないだろ。」
時津風「俺の戦友の悪口は許さん!!」
志禮「許さないんだったら何?俺を殺すのか?その持ち出した銃で、俺の眉間をぶち抜くのか?」
時津風「そうだ!!」
志禮「やれやれこれだから熱い人間は…嫌いなんだよ!!」
志禮は摑まれていた手を思いっきり振りほどいた後、時津風に背負投を喰らわせた。
時津風「グハッ!!」
志禮「どうした?殺すんだろ?お前の憎悪の対象は目の前だぞ?俺は増援を呼ばない。サシの勝負だ、興するなぁ。」
この言葉に対してまた時津風は激昴した。
時津風「黙れ!!」
志禮「よっと。」
時津風の攻撃は志禮にけ流される。
どれだけ毆ろうと蹴ろうと、志禮は軽々と時津風の攻撃をけ流した。
志禮「それだ、お前は隊からずっと正義漢だった。だからこそ熱くなりやすく、周りと溫度差が生じた。それゆえ理解してくれる人間がいなくなり、やがて単調なきのみを繰り返すようになる。」
時津風「うるさい!!」
志禮「何がうるさい、散々喚いてるのはてめえだ!!」
志禮がナイフを取り出し、反撃しようとすると、時津風の手には拳銃が握られていた。
時津風「同僚を殺したくはないが、仕方ない。」
志禮「そうだな、殺すのは仕方ない。死ぬのはお前だ。」
2人は再び銃を構えた。
そして引き金を引いた。
ズドォォォン!!
ほぼ同時に放たれた弾丸は互いの空気抵抗で狙いからしそれた。
それとともに回避行を取りながら2人はまた銃口をむける。
志禮「畜生!!ウザったくて仕方ねえ!!あんな半端な野郎が俺と互角なんてよ!!」
ズドォォォン!!
志禮「お前はいつもそうだ!!殺したくない死なせたくないの一點張り!!」
ズドォォォン!!
志禮「まるで平和を訴える主人公様様ってじが気にらねぇ!!」
ズドォォォン!!
志禮「それに邪魔な人間だけは間髪れずに殺そうとする。」
ズドォォォン!!
志禮「だが、相手が悪かったな!!俺はお前を生かさない!!」
ズドォォォン!!
互いにもつれあい、近距離の格闘戦となった。
時津風は銃をホルスターにおさめ、ナイフを手に取った。
しかし志禮は銃を片付けようとはしなかった。
時津風「死ね!!」
志禮に向かって一直線にナイフが向かってくる、しかし志禮はを橫にかして避けようとしなかった。
次の瞬間、時津風のナイフは志禮を通り過ぎていた。
いや、け流されていた。
時津風「貴様、その戦い方…」
志禮「………」
バランスを崩した時津風の眉間に銃が押し當てられた。
しかし引き金を引く前に時津風は銃を手ではらった。
時津風「ガン=カタ、映畫に影響されすぎたか?」
志禮「面白半分に得してみたが、想像以上に使えそうだな。」
そう言うと志禮は右太ももにぶら下げていたホルスターから別の銃を手に取った。
志禮「お前の首を背骨ごとひきちぎって隊長の前に差し出してやる。」
志禮と時津風はまた接近して戦闘を始めた。
今度は互いに攻撃するがどちらも紙一重でわしている。
何度も何度も銃聲が鳴り響き、時津風もほかの隊員が來ることを想定し始めた。
時津風「クソ、これ以上は…」
志禮「そろそろみんな集まってくるぞ?その前にお前を殺させてもらう。」
志禮は銃の弾倉を抜いた。
時津風は弾丸をあえて捨てるようなきを見せた志禮に切りかかろうとした。
時津風「この期に及んでマガジンを抜くとはな!!」
志禮「馬鹿め、ノコノコと近づいてきやがった!!」
ズドォォォン!!
志禮の銃は何事も無かったかのように発砲した。
時津風「ば、馬鹿な!?」
突進してきた時津風を避けることが出來ず、時津風のナイフが志禮の脇腹に突き刺さった。
志禮「グッ……」
時津風「何故だ…お前は弾を抜いたはずだ!!」
志禮「オートマチックピストルは…マガジンを抜いても薬室に1発だけ弾丸が殘る。お前は…そんな構造も…知らなかったのか…」
時津風「鉄板を仕込んでいない脇腹を狙うとは…」
志禮「これも殺すためだ…おで脇腹にが空いたが…お前のきも封じた…」
志禮は震えながらも時津風の元に歩み寄った、しかしその行に優しさは微塵もじられなかった。
志禮「じゃあな…正義のヒーロー様。」
躊躇いなく志禮は銃の引き金に指を掛けて力をれようとした。
しかし、志禮の目の前は白いに包まれた。
それは幻覚とかではなく、本のだった。
志禮「ぐぁぁ!!こ、これは!?」
時津風「閃手榴弾!!我々軍人が核と太以外に最も強いと認識するだ!!」
そのは志禮の目を一時的に見えなくした。
自分の目からを失った志禮は手を前に出し、手探りで時津風の位置を探す事しかできなかった。
志禮「どこだ!!この糞野郎!!ぶち殺してやる!!」
時津風「お前は強い、強いが故に負けないとタカをくくっていたんだ。」
志禮「黙れ!!俺はこの部隊のエースの1人だぞ!!」
時津風「お前は殺さない、いや、殺すまでもない。」
志禮「ふざけやがって!!俺を侮辱する気か!!」
時津風「さらばだ。」
その言葉だけを殘して時津風はその場から離れていった。
志禮「待て!!逃げる気か!!手前だけは必ずぶち殺すぞ!!時津風ええええ!!」
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