《複垢調査 飛騨亜禮》闇の中の死闘

神楽舞は後悔していた。

もうし公安の戦闘訓練をさぼらずにしておけば良かったとか、せめて拳銃ぐらいはかに攜帯しとけばなあという、今更、遅いものばかりだった。

本業がデスクワークなんで、油斷していたのもあった。

足音から推測すれば、襲撃者は十人あまりである。

は全く分からないのだが、警察が到著するまでの數分、最悪三十分ぐらいの間に、この會社の人間を皆殺しにするつもりなのは明らかだった。

今も倒れてる社員たちを見分しながら、銃で止めを刺す音と悲鳴が斷続的に聴こえる。

舞の所にも男の足音が近づいてきていた。

公安への非常通報もしているが人員もないし、神沢社長というか、神沢佐もほとんど東京にいる。

そもそも、これだけの武裝勢力に対抗できる人員などなかなかいない。

飛騨君はまだ一時間はかかりそうだし、でも、警備がどうとかという変な話のお蔭で命拾いもした。

おそらく、古代飛騨一族の家系なので今回の襲撃を幻視したのだろう。

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頼みの綱はカオルちゃんだが、おそらく、下鴨神社付近に滯在してるはずで、會社のある京都南部とはかなり離れている。

さて、どうするか。

とりあえず、最初の銃撃で床に転がったのだが、左手を撃たれていて、何とか用のストールで止は済んでいた。

などないのだが、とりあえず、アルミ製の定規を確保していて、実家の神楽流小太刀の免許皆伝の腕を発揮するしかない。いや、それもここ數年ぐらい稽古もしてないのだが、今更、後悔しても遅い。

ひとりの男が近づいてきて、舞に銃口を向けて引き金を引こうとした。

闇の中で音もなく立ち上がった舞は、銃口をかわしながら男を床に投げ飛ばした。

やはり、実家の神楽流の技だが、そのまま男の口を塞ぎながら鳩尾みぞおちに當を喰らわせる。

そのままデスクの影にを潛める。

まずはひとり。

だが、不審な音で三人ぐらいの男がさらに舞に近づいてきた。

一斉撃が來るが高速移でかわす。

幸い、逃げ足は早いのだ。

結局、大した時間稼ぎもできそうもないし、舞のデスクは出り口の扉に近く、ここは思い切ってそこを目指して移していく。

神楽流獨特の歩法で音を立てずに近づく。

敵は暗視スコープは裝備してるようだが、舞も目が慣れてきていて意外と夜目も効くのでその點は問題なかった。

定規を構えて、出口の見張りに跳びかかる準備をしていたら、その男のから黒い棒狀のものが突き出てきた。

思わず聲が出そうになったがこらえる。

次の瞬間、男は音を立てて崩れ落ちた。

「お待たせ!」

當然、そんな聲を出せば、襲撃者たちの一斉撃を浴びる訳だが、聲の主はそのことには無頓著だった。

「悪丸、殺やってしまっていいわよ」

聲の主は公安というか、結社≪天アマガラス≫の風守カオルであり、悪丸というのは彼が最近、お気にりの使い魔の道神である。

師の式神のようなものだが、可い黒髪の子の姿をしているけど、理、霊的攻撃を完璧に防し、ほぼ不死で、父親は吉備の地霊で鬼神の溫羅ウラ、母親は第七代孝霊天皇の皇して、卑彌呼だとも言われる箸墓の埋葬者でもある神霊、倭跡跡日百襲姫命やまとととひももそひめのみことである。

そもそも、生きてるのか死んでるのかもはっきりしないが、人間が相手できるような存在ではない。

凄慘な景になりそうなので、舞は目を伏せた。

ということで、後は一方的な殺戮となり、襲撃者はあっさり全滅した。

神楽舞はほっとをなでおろした。

(あとがき)

風守カオルについてはこちらで活躍してますが、次話で種明かしがあります。

常世封じ道士 風守カオル

http://ncode.syosetu.com/n2805cb/

匿名捜査タグ

http://ncode.syosetu.com/n3966bx/

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