《複垢調査 飛騨亜禮》終わりなき日常
「飛騨君、サーバーは復舊したんだけど、例の盜作事件の関係で警察に事聴取に行ってくるわ」
神楽舞は新しく買った桜のストールを首に巻いて出掛ける支度をし始めた。
もう四月だし、京都も桜がちらほら咲き始めている。
「その間、運営管理は誰がやるんですか? まあ、當然、俺なんでしょうけど」
飛騨は今日はダークブルーのサイバーグラスをしているが妙に素直だった。
というか、所屬してるIT企業の「カレイドスコープ」に連絡して、正式に「作家でたまごごはん」に出向扱いにしてもらっていた。
飛騨が申請した休暇がまだ三週間殘っていたのも好都合だったし、「作家でたまごごはん」の社員のほとんどがこの前の襲撃で亡くなっていたので急の処置でもあった。
とりあえず、小説投稿サイト「作家でたまごごはん」の再建が急務だった。
「では、お願いね。えーと、引継ぎだけど、ツイッターで相互評価依頼した作者のアカウントを規約違反で消して………あらら、もう退會してるから、それはいいわ。それから、100人規模で相互評価してるグループがあって、この調査をお願いしたいんだけど、まあ、地道にやるしかないわね。ラノベのプロ作家の作品が日間一位になった件は、運営的には全く問題でないというか、元々、小説を誰が投稿しても自由なので。あと、殘りの仕事が10件ぐらいあるけど、このメモに書いておいたので、よろしくお願いします」
神楽舞は白い帽子を被って、日除けの黒いアームカバーをして日傘を持った。
「そうだ。サイトの再建が終って仕事が落ち著いたら、カオルちゃんたちも呼んでお花見でもしない?」
ドアを開けかけた舞はふと振り返って飛騨に言った。
「いいですね、お花見。定番の円山公園、平野神社、鴨川の河川敷辺りがいいですかね。京都南部の笠置山自然公園というマニアックな選択もありですね。思い切って奈良に遠征とかもいいかも」
「奈良かあ。奈良公園、平城宮跡なんかもいいわね。でも、奈良南部は境らしいから気をつけた方がいいわ。特に十津川村とか帰って來れなくなるらしい」
「そうなんですか? それはまた。では、大変でしょうけど行ってらっしゃい」
「はい、行って來ます」
舞は飛騨にそういうと階段をとことこ降りて行った。
エレベーターも故障中で修理はもうしかかるらしい。
會社のある京都の伏見區にも桜がちらほら咲き始めていた。
舞は川沿いに咲いている桜を眺めながら、しばらく、歩くことにした。
世の中はすっかり春めいているが、舞の仕事はまだまだ続いていく。
終わりなき日常を生きろと言った人もいたけど、ほんと、これからも無限ループのような日常が続いていくだろう。
公安の仕事のカモフラージュではじめた小説投稿サイトの仕事だったけど、今では結構、気にっている。最近では天職なのではないかとも思っている。
「あ! 『お嬢様は悪徳令嬢』更新しなくちゃ!」
舞はそんな獨り言をいいながら、桜の花にしばらく酔いしれていた。
(あとがき)
ということで、ひとまずこのお話は終わりです。
ご読ありがとうございました。
第二章を書くとしたら、予定としては2015年5~6月ぐらいになりそうです。
明日からは、2015年4月のアルファポリスの第8回ホラー小説大賞用の「常世封じ道士 風守カオル」の新作「雛流しの呪法」編を書いていこうと思います。
http://ncode.syosetu.com/n2805cb/
ということでしたが、続きます。
人類最後の発明品は超知能AGIでした
「世界最初の超知能マシンが、人類最後の発明品になるだろう。ただしそのマシンは従順で、自らの制御方法を我々に教えてくれるものでなければならない」アーヴィング・J・グッド(1965年) 日本有數のとある大企業に、人工知能(AI)システムを開発する研究所があった。 ここの研究員たちには、ある重要な任務が課せられていた。 それは「人類を凌駕する汎用人工知能(AGI)を作る」こと。 進化したAIは人類にとって救世主となるのか、破壊神となるのか。 その答えは、まだ誰にもわからない。 ※本作品はアイザック・アシモフによる「ロボット工學ハンドブック」第56版『われはロボット(I, Robot )』內の、「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則「ロボット工學三原則」を引用しています。 ※『暗殺一家のギフテッド』スピンオフ作品です。単體でも読めますが、ラストが物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。 本作品のあとの世界を描いたものが本編です。ローファンタジージャンルで、SFに加え、魔法世界が出てきます。 ※この作品は、ノベプラにもほとんど同じ內容で投稿しています。
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