《複垢調査 飛騨亜禮》ランキング不正

「今日は私から報告があるの」

朝からウサギのように真っ赤な目をした坂本マリアである。

しかも、濡れネズミのように肩を落としていて、生まれたての子鹿のようにちょっと震えているように見えた。

「どうしたんですか?」

メガネ君もさすがに尋常ではないマリアの様子に聞き返してしまった。

「実はねえ、ほら、ランキング不正問題というのがあるでしょ。エッセイでも話題になってて、それでこれは検証しないとイケないと思って、ある実験をしたの………」

これはイケない流れだとメガネ君は思ったが、敢えて話を聞くことにした。

「結論からいうと、ランキング不正実験をしたけど、ブックマークが3000ぐらいしか付かなかったのよね。総合日間ランキングにったのによ。三作品を投して、まあ、ひとつは私が書いて、比較のために、あと二作品は私がお話を考えて、ライターに書いてもらったのよ。でも、3000しかつかなかった………」

言ってはイケない。

それ実験じゃないでしょ、本気でしょと思ったが。

今のライフがゼロに近いマリアに言ってはイケないと思ったが、重い口を開こうとした矢先である。

「それ、アイデアがいまいちなんじゃない?」

誰だ?と思ったメガネ君だったが、空気が読めないバイトのチャラ夫君だった。

ピアスに長髪、ホストのようなスケスケシャツにスラックス姿の仕事はできるのだが、へこんでる人に決定的なダメージを與える伝説の無神経発言で有名なチャラ夫君だった。

「みなまで言わないでください………」

反論も懇願口調で消えりそうになるマリアだった。

「マリアさん、そんなこともありますよ。ファストファッションで有名なユニシロの経営者の柳田さんの本に『1勝9敗』という著書があります。IT企業ハードバンクの孔さんの本に『あんぽんたん 孔』という自伝本があります。つまり、なんだ。功に失敗はつきもので、失敗は功の母とも言われています。マリアも筆の誤りとか、あ―――」

「みなまで………」

もはや、マリアのライフはマイナスだと思われた。

イスをくるっと回して、デスクに突っ伏すマリアであった。

今日は許そう、靜かに眠れ、坂本マリア。

(あとがき)

今日はとても悲しい話でしたね。

複垢作ってランキング不正して、ポイントびなかったら悲しいでしょうね。

自分の才能がないことを知ってしまったら、もう小説書けなくなるかもしれませんね。

と、そんな恐ろしいことはできない小市民で良かったと思う今日、この頃てす。

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