《名探偵の推理日記零〜哀のブラッドジュエル〜》第2章 暗がりの黒翼 1

7月23日午前0時。

夏の夜の闇に紛れるように、クロウは目的地へ向かって都心上空を飛行していた。

晝間のギラギラと照りつける太がない分し涼しさをじるが、それでもまだ吹き出る汗は止まることを知らなかった。

クロウはポケットから黒いハンカチを取り出すと、額に滴る汗を拭った。

周囲の景は都心から郊外へと移り、クロウの真下には閑靜な住宅街が広がっていた。都心の忙しなく騒がしい雰囲気とは違い、ここには穏やかで靜かな印象をける。

夜の闇が手伝ってか、その印象はより一層強くじられた。

住宅街を飛行すること數分、取り囲む闇の中に一點のを見つけると、クロウはそれに向かってスピードを上げた。

に近づくと、今度は逆にスピードを落として、靜かにへと近づいていく。

「まだ起きてるのか?」

ターゲットに半ば呆れながら、クロウはドローンバイクから飛び降りた。

ドローンバイクに吊られたはまるで、空を自在に飛ぶカラスのようだった。

窓は完全に締め切られており、部屋には1人テレビに向かってコントローラーを作する高校生がこちらには目もくれず、テレビと睨めっこしていた。

『コンコン』

クロウが窓をノックすると、その高校生はこちらを一瞥すると、コントローラーで何やら作を済ませ、億劫そうに窓を開けた。

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