《名探偵の推理日記零〜哀のブラッドジュエル〜》第2章 暗がりの黒翼 4

ジージリジリジリ___。

午前8時30分。

外のセミは鳴き始めてからかれこれ30分は騒ぎ続けている。

あまりの騒がしさに圭介は我慢の限界を迎えていた。

「うるさーーーーい!!!!!!」

月を見て大猿化したサイヤ人の如く、圭介は布団の上で両手腳を一杯に広げて立ち上がり吠えた。

「ビビッ______」

外で何が樹葉にバタバタと當たる音がした後、夏の朝には不似合いな靜寂が訪れた。

しかし安心したのも束の間、再びあの騒がしさが圭介の耳に飛び込んできた。

「あー!!もういい!!!!!!」

圭介は両手で頭を掻くと、わざと大きな足音をたてて寢室から1階への階段をバタバタと降りていった。

「どうしたの?朝から大きな聲出して」

先程の大聲で心配した母が臺所の扉から顔を覗かせた。

「そんなことよりお客さんがきてるから早くこっちに來なさい」

母は圭介の答えには耳も貸さず、早く食卓に來るよう圭介に促した。

「お客?こんな朝っぱらから俺に何の用だ?」

ブツブツ獨り言を言いながら圭介は恐る恐る臺所の扉を開けた。

「おぉ!!待っとったぞ!!」

聞き覚えのあるイカツイ聲が圭介の脳みそを揺らす。

「なんでオッサンがここにいるんだよ」

圭介は肩をがっくしと落とし、鳥羽の向かいの椅子に腰を下ろした。

「いやー、お前のお母さんの料理は最高だな」

鳥羽は皿の上に盛られた普段の朝食では絶対に食卓に並ぶことのない豪勢なサラダを大きな一口で頬張った。

「そんなこと聞いてねぇよ」

圭介はコップに注がれたオレンジジュースを一気に飲み干し、まるで刑事のドラマで刑事が犯人を問い詰めるように鳥羽を睨んだ。

「あぁ、すまんすまん。実はお前の力を借りたい事件が起きてな」

鳥羽はトーストをかじりマグカップに注がれた熱々のコーヒーを一口飲むと、急に真剣な面持ちでことのあらましを話し始めた。

「昨夜0時過ぎ、都の高層マンションで殺人事件があったんだ。殺害されたのはそのマンションの住人の建田俊樹。年齢は48歳で、赤澤グループの幹部だそうだ。死因は頸部を斬られたことによる失死、兇はまだ発見されてないが、おそらく刀のようなだろな」

「なるほど。それで犯人の目星はついてるのか?」

圭介は顎に手を置いて鳥羽の目を見た。

「あぁ、恐らくこの事件の犯人は怪盜クロウだ」

「怪盜クロウ?」

聞いたこともない名前に圭介は一瞬戸いの表を浮かべた。

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