「さてさて、あちこちで始まったみたいだよ、姉さん」

「そうね。さっさと終わらして混ざろうかしら」

四方八方からの攻撃を捌き続けるセリア。攻撃の隙間で數のレビンに攻撃するが、攻撃の當たった部分が煙にれたようにダメージを與えたがない。

「大今、10対1ぐらいかな？」

「ほんとに、さっさとかかってきなさいよ。本」

散らした煙が再びの形になり、襲いかかる。散らして數を減らしては、の形に戻ってレビンの數が増える。これの繰り返しが5分以上続いている。

「姉さん、全力でき続けて5分。疲れてない？」

「こんな煙程度で疲れる訳ないじゃない」

「挑戦権の恩恵ってやつかな？」

「察しが良すぎるんじゃない？」

「いやいや、察しが悪くても流石に分かるよ」

「さて、ウォーミングアップは終わりましょうかしら」

周りを囲っていた全ての煙を一足で散らしたセリア。再び形を戻そうとする煙だが、どれもが不自然に空間に固定される。

「煙に攻撃力があるのは不思議だったけど、単純な仕掛けでしかなかったわね」

「流石にバレるか。まぁ、僕の方も姉さんの挑戦権について予想はついたよ」

「どっちの方かしら？」

空を見上げながら問うセリア。

「どっちもって言いたいけど、どっちの効果か分からないだよね」

「それはそうとして、早くおりてきなさいよ」

「あれ、場所までバレてるじかな」

「そうね。見えてはないけど、覚的なものね」

背中から羽を生やしたレビンが姿を現しながら、空から降りてくる。

しかし、羽は鳥のようなの生えたものや、語などで伝え聞く天使のような神々しいものではない。

はなく茶の皮のような皮が張り付いたような骨と、骨同士の隙間を埋めるかのように張ってあるゴムのような不明の分厚い皮の羽だ。

「私より先に人間辭めてるわね」

「飛翔の効果だよ、飛翔の」

「その羽、ドラゴンとかに近いわね」

「そういえば、このスキル、家にいる時は數回しか使ったことなかったけ」

「そうね、私は初めてみたわ」

一対の羽は片側で幅2mはあるだろう。そして、レビンが地に立つと羽は傘を畳むかのように小さくなっていく。

小さくなった羽だが、完全に消えることはなく肩からし見える程度の大きさで止まる。

「完全には消さないのね」

「まだ飛ぶからね」

「それで、次はどうするのかしら。もうあの煙は使えないけれど」

「煙でしでも姉さんが疲れてくれればと思ったんだけど、疲れすらないのは予想外だ」

「流石になめすぎよ」

「なめてないよ。ただただ、姉さんが強すぎなだけ。長しないってルールはどうなってんのさ」

「長しないじゃないわ。これまでは年齢とかステータスとかその他諸々を、挑戦権が勝手に戻していただけよ」

「不老不死というより、老いた分戻ってるってじか」

「不死がどうなって起こるかはまだ教えられてないけれど、不老は時間の流れから自分を完全に外すことで完になるらしいわ」

「それで、前段階として戻すんだ。それでも、十分すぎると思うけど」

「前段階だからこその欠點はあるわ。言わないけれど」

「なら勝ったら教えてもらおうかなっ」

數メートルはあった距離を一歩の踏み込みでめるセリア。それに合わせて自分の後ろ側の空中へと飛ぶレビン。そしてゆっくりと地へと降りてくる。

「あっぶな。直に頼ったけど飛んでよかった」

「面倒ね。スキルもなしに直が良く當たるの忘れてたわ。それと飛翔も厄介ね」

「視認できない速度が出せるステータスじゃないよね。それも挑戦権の効果かな」

「ほんと、面倒な相手だわ」

再び構えて距離を詰めるセリア。3の煙のレビンを作り一緒に攻撃するレビン。

蹴りの一撃で一の煙を散らし、煙のきが固まる。しかし、煙はすぐに消え去り、レビンの橫に新しい煙のレビンが現れる。そして攻撃に參加する。

ほぼ一方的と言える程の攻撃をしていたレビンが突如地面を転がるようにして下がる。そして、數舜遅れて攻撃していた煙たちは明な板に押しつぶされたように消える。

「障壁ってそんな使い方出來るんだ」

「かせないなんて言ったことあったかしら」

「さぁ、忘れたよ」

「なら言っといて上げる。上から下程度なら疑似進化狀態でかせるわ」

「簡単には飛べなくなった訳か」

何かに気づいたように再び斜め後ろに転がるレビン。

そしてその數舜後、半明の球がレビンのいたところを通る。

「噓よ」

「流石に信じ切ってはいないよ」

半明の球を躱し続けるレビン。半明で見えにくい球が避けられているのは、異常な直があるからこそだろう。

「防戦一方のレビン、眺めてる私。さっきまでとは逆ね」

「回避しか出來ないから、正確には逆ではないよ」

「余裕みたいね」

「余裕に見えるなら、疑似進化でおかしくなってるよ。目」

「煙でも出して防げば？」

「姉さん、人のこと言えないぐらい、格悪いよ」

數十分にも及ぶ1対多での戦いのストレス、それを解消しているかのように良い笑顔のセリア。

「実際はダメージをけていないが、ダメージをけたと誤魔化すこと。ってところから」

「その通りだよ。熱いと思いこませた狀態で、冷たいものにれると、目隠してれると火傷することの、応用だよ」

半明の球を避けながら説明するレビン。

「る程ね。だかられるだけで形の崩れる煙が、攻撃出來たわけね」

「実際は思い込みだけどね」

不規則なタイミング、不規則な速度で攻撃していた半明の球は二つになりレビンへと襲いかかる。

レビンの避けた球同士がぶつかり合い、甲高い音を響かせながら軌道を変える。

「避ける數は増えたけど、きがシンプルになってるよ。一つの方が厄介だったよ」

軌道が変わり、背後から迫る球を振り向きもせずにをし傾けて避ける。

「えぇ、そうね。だって、私が出るのも」

直に従って、右足を軸に半回転しながら左足で背後へと蹴りを放つレビン。

足同士がぶつかる鈍い音がする。

「いってぇ」

「飛んで避けるかと思ったわ」

「飛んでたら直撃コースだったからね」

「一瞬口調崩れてたよ」

「知らないね」

互いが次の一撃を構える。

「姉弟喧嘩に、嫁と妹と母追加だ」

し離れたところから聞こえる聲。

それとほぼ同時に2人の間に飛んでくる二つの人影。

なんとかけの取れたリアと琴の2人だ。

そして、笑みを浮かべながらこちらに寄ってくるレナ。

「4人纏めてこいよ」