《錬七剣神(セブンスソード)》開幕4

その寸前。男の正面の空間二か所が歪曲わいきょくすると、槍の集団が橫向きに出現した。

槍の束は星都せいとと力也りきやの攻撃をけ止める。剣戟けんげきの轟音が辺りに響き渡った。

攻撃が防がれたことにより二人は一旦距離を開けた。表は苦々しかったが、まだ諦めてはいない。

「星都せいと! 力也りきやぁー!」

聖治は未だに混していた。しかし事実として二人は戦っている。

なら、自分もなにかしなければならない。それで聖治はなにができるか考えた。

「香織かおりさん!」

自分と同じく二人を見守っている香織かおりさんをせめて守らなければ。聖治は香織かおりさんの元まで駆け寄った。

「香織かおりさん、大丈夫ですか!?」

「う、うん。私はね……」

香織かおりさんの表はとても心配そうだった。當然だ。

香織かおりさんの視線は二人を見つめており聖治も二人を見つめた。星都せいとと力也りきやの背中を祈る気持ちで見守る。

距離を空けた二人だが、またしても男が進撃してきた。

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空間に突如現れた二つの槍の群。そこから一つを手に取り二人に向かい駆けた。楽しそうに口元を三日月のように曲げ笑い聲をらしている。

「ハァッ!」

短く切られた掛け聲と共に男の刺突が星都せいとを襲う。

この男の言は野蠻やばんではあるものの、力量は間違いなく達人の域だ。

その道を極めた者が放つ槍の一突きは常人では見ることも出來ない。

死ぬ。普通なら。だが、

「うをおおお!」

そこで起こったのは星都(せいと)の反撃だった。星都せいとが握る剣が達人の槍を弾く。

それも一度だけじゃない。続いて放たれる男の刺突を、次々に払っていくのだ。

「すごい!」

聖治は駄目かと思った。しかし星都せいとはまだ生きている。それを嬉しく思うが同時に驚いた。

本來刺突という無駄のない最短最速の攻撃を払い続けるのは剣の達人でも容易ではない。

槍に剣で勝つには相手の三倍の段位が必要と例えられるほどだ。

今も攻撃を凌しのいでいる星都せいとではあるが、ただでさえ達人級の謎の男よりも三倍も優れているわけではない。

ではなぜ星都せいとは生きているのか。

「なんて」

聖治は呟く。

それは、星都せいとが振るう剣速だ。

速い。聖治の目には剣の殘像が五つも見えていた。

ぼやけた刀という不可思議な特もあるが、星都せいとと謎の男、両者の空間をの軌跡きせきが埋め盡くしていく。

二つの武がぶつかり合う音は竹のようだ。

予想外の闘だった。実際目にしていてもまだ信じられない。

まるで夢でも見ているかのように、聖治のは震えて止まらなかった。

しかし、ここで男が笑う。

「ハハァ! これで終わりだ!」

その言葉の次の一撃。謎の男からの攻撃が星都せいとに放たれた。

星都せいとはる刀で男の攻撃をけた。

その瞬間、まるでガラスが盛大に割れるような音を響かせながら、星都せいとの持つ刀が砕け散った。

「そんな!?」

その景に聖治は堪らずぶ。

「ちっ!」

「脆いんだよ!」

星都せいとも表を歪めた。

両者の間で四散した刀の欠片が舞い落ちる。星都せいとにはもう防ぐがない。そこへ謎の男も槍を打つ勢になる。

「止めぇろぉ!」

その攻撃を止めたのは力也りきやだった。頭上で大剣を一回転させながら斬り込んでいく。

星都せいとと謎の男が繰り広げていた銃撃戦にも等しい攻防から一転、追い込まれた星都せいとを救う一撃だ。

だが、そこで槍の集団がき出した。浮遊していた槍がそれぞれ重なって、十本総出で力也りきやの攻撃を防いできた。

力也りきやの放った撃にも似た攻撃は槍の六本を一太刀で叩き折ったが、七本目で大剣は止められてしまった。

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