《錬七剣神(セブンスソード)》真相3
「私は、私たちは作られた、って言ったよね。私たちはね、新たな団長となるべく作られた人造人間、ホムンクルスなの」
「――――」
その一言に、聖治は一瞬絶句した。
「ま、待ってくれ! 本気で言っているのか!?」
背後から鈍で頭を毆られたようだった。それほどの衝撃、聖治は立ち上がった。
「俺たちが、ここにいる皆が本當の人間じゃないだと!?」
「落ち著いて、戸うのは分かる。でも、私たちが今考えなければいけないのはそこじゃないの!」
正論だ。この狀況では自分たちが何者かよりも、これからどうするかの方が重要だ。
聖治は他の二人を見るがすでにけれているのか、星都せいとや力也りきやも靜かに座り込んでいる。冷靜な二人を見て聖治の心も落ちついていく。
「……大丈夫、かな?」
「……すみません、続けてください」
聖治は続きを求めた。足が地面についていないような不安が殘るがここは無視するしかない。それよりもこれからだ。
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「魔卿まきょう騎士団はね、私たちホムンクルスを作った。數は七人。私たちには各々一つの剣が宿っていて、スパーダと呼ぶの。そして、私たちのことも。スパーダは自分自と言ってもいい。スパーダにはその剣獨自の特徴があって、同じものは一つもないわ」
「それが星都せいとや力也りきやが取り出した剣のことか」
そう言うと星都せいとと力也りきやが軽く頷き実際に見せてくれた。
星都せいとは刀が淡く輝く細長い剣を。力也りきやは大剣を。二人とも手品のように剣を出す。
「俺のスパーダがこれさ。名を帝こうてい剣エンデュラス。全的に細くて重さは軽い。また刀は子を魔力で編んで出來ている。剣にはそれぞれ屬が設けてあって、これは時間。この剣の持ち主は本人以上の速さでこれを扱える。ただ、刀が極端に脆いのが短所だけどな」
星都せいとは苦笑気味に話すが容は十分素晴らしいものだった。
帝こうてい剣エンデュラス。本人以上の速度が出せるこの剣で、星都せいとは謎の男の刺突を防ぎ続けることが出來た。
星都せいとが生きているのはこの剣のおかげだと言っていい。
「僕のが鉄塊王てっかいおう、撃鉄げきてつぅ。屬は質量。見た目は大きいし実際にはとても重たいんだけどぉ、この剣は重力の影響をけないから、重さは気にならないんだぁ」
力也りきやはそう言いながら撃鉄げきてつを片手で持ち上げたり下げたりしてくれた。
とても片手で持てる重量には見えないが、重力の影響をけないという説明を聞いていたので驚きはあるものの疑問はない。
ただ天井に當たりそうなのを心配そうに聖治は見つめた。
二人は実際に剣を取り出し見せてくれた。
魔卿まきょう騎士団が作ったホムンクルスにはこうして全員がスパーダと呼ばれる剣を出現させられるらしい。
それは、同じホムンクルスである聖治にも自分だけの剣があるということだ。
「聖治君も、念じれば出來るはずだよ」
「…………」
聖治は目線を若干下げて自分の両手を見つめてみた。ここで試してみるか。しばらく聖治は考え込んでいたが、
「いや、止めておきます」
その気にはなれなかった。それは出來なかったらどうしようという不安もあったが、出來てしまった方が恐ろしい気がしたのだ。
自分がホムンクルスだと確定した事実に平常心を保てるのかどうか。まずは話を聞くことに専念せんねんしようと決めた。
「うん、分かった」
聖治の答えに香織かおりさんは急かそうとはせず彼の決斷をけれてくれた。
星都せいとと力也りきやも優しく頷いてくれて、手に持った剣を消した。
「私たちを作った魔卿まきょう騎士団は、新たな団長を作り出すための儀式を開始した。それがセブンスソード。聖治君は、蠱毒こどくって聞いて何か分かるかな?」
「確か、壺の中に蛇やムカデやらをれて爭わせ、最後まで生き殘ったものを呪いとかに使う呪、その類だったはずだけど」
「そう。殺し合いを強要して、命がなくなることが前提の、魔の中でも外道の法。それをね……」
そこで香織かおりさんは一旦言葉を切った。深刻そうな雰囲気を滲にじませ、自然と聖治も構えてしまう。
そしてしの間を置いて、真相を話した。
「人間で、行おうとしてるのよ」
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