「君が、最後の七人目。セブンスソードは全員が出揃ってから開始しなければならないから見送られていたけれど、君が完してここに送り込まれて來た。それで、セブンスソードは開始されたの」

「そんな……。なら、俺が來たせいで……。まさかッ」

そこで聖治は思い出した。気が付いてしまった。

星都せいとが自分を廊下に呼び出して怒っていたこと。

涙を流していたこと。冗談だと言っていたけれど、あの涙は冗談なんかには見えなかった。それに、屋上でも寂しそうな表を浮かべた。

その理由が、今なら分かる。

「星都せいと、お前」

視線を星都せいとに向ける。悲痛な思いをに抱いて。

「初め、俺のことを恨んでいたのか……？」

それを聞くとき、聖治のは悲しみでいっぱいだった。

初めて出來た友達だと思っていた。相手も自分を歓迎してくれて、気にってくれていると思っていた。だけど、本當は、本當は心の中で思っていたのだ。

「ああ、恨んでた……」

「んッ……」

それを聞いて、聖治は泣きそうだった。恨まれていたという悲しみと、申し訳ない気持ちが溢れてくる。

「すまない！　すまなかた！　俺が來たせいで……！」

三人を見れば分かる。今までどれだけ仲良く過ごし、楽しく毎日を送ってきたのかを。

しかし、自分が來たせいで終わってしまった。

「ちげえ！」

だけど、星都せいとは大聲で否定した。

「誰かが悪いんじゃない！　誰も、誰だって……！」

見れば星都は泣いていた。大粒の涙を拭いもせず、両手は強く握り締められ、瞼は悔しそうに固く閉じられていた。

「お前が悪いわけじゃないんだ。誰も悪くない。俺は、それを初め誤解していた。でも、誰かが、誰かがぁ、悪いわけじゃないんだぁあ！」

「……！」

泣きながら否定する星都の聲はまるで自分に言い聞かせているようだった。

今まで星都せいとが笑顔の裏でどれだけ苦しんでいたのか。

泣きたいほど悲しんできたのか。溜めてきたを吐き出すようにその聲は苦くしょくに染められていた。

その思いにれて、聖治の頬にもひとすじの涙が落ちる。

星都せいとが落ち著くのを待ち、聖治も指で涙をすくった。そして表を切り替える。

「問題はこれからだ」

そう、聖治たちが本當に話し合わなければいけないことは。

七人での殺し合い。最後の一人になるまで終わらないバトルロイヤル。

錬七剣神セブンスソード。この悪魔のような儀式をなんとかしなければならない。

だが、聖治の問いに返ってくる聲はなかった。皆押し黙ってしまい、答えようとはしなかった。

三人とも本當はしたくはないはずだ。しかし、その選択には危険が伴う。

また槍の男が襲い掛かってくるからだ。

それに対抗する手段は今の聖治たちにはなく、放棄するという選択肢は現狀では無謀むぼうでしかない。

痛いほどの沈黙が部屋に満ちていた。

死しか用意されていない絶の未來。

友との殺し合い。

希はない。沈黙は絶の証だ。それを知っているからこそ誰しもが口を開かない。

だが、

しかし、

だとしても。

この沈黙を切り裂くように一つの聲が上がった。それは反抗の狼煙のろし。絶に屈しない希のだ。

それは誰だ？　この狀況でただ一人、セブンスソードに異を唱える者は。それは――

「俺は、絶対に參加しない」

剣島聖治だ。

聖治は立ち上がる。その表は諦めていなかった。この最恐最悪の儀式の中にいて、その瞳は力強かった。

彼の言葉に、三人が顔を上げた。