《錬七剣神(セブンスソード)》真相6

「お前……」

星都せいとが呟く。その表はわずかに嬉しそうではあったが、しかしすぐに辛そうに歪んでいた。

それでも聖治は言い続ける。

「聞いてくれみんな。俺は絶対に參加しない。みんなを殺して手にれる未來なんて、そんなもの俺はしくない!」

聖治は吠えた。見えない敵に言うように。

「セブンスソード、それは俺が來たから始まってしまった。星都せいとも力也りきやも、香織かおりさんの生活も俺が壊したようなものだ」

「聖治君、それは」

香織かおりさんは聲をかけるが聖治は首を振る。

「なのに、俺を歓迎してくれた! こんな俺を友だと呼んでくれた! そんな優しい三人を殺さないし、殺させない! 俺は――」

いつの間にか部屋にあった絶の空気は消えていた。代わりに輝きを放つのは強い意思、そこから生まれる希の力。

聖治は思っていたのだ。これから四人で過ごす時間を。楽しい學校生活を。それはすぐに消えてしまったが終わっていない。

取り戻すんだ、日常を。

なんかには、負けられない!

「俺たちはセブンスソードを生き殘る! 誰一人死ぬことなく、また戻ってくるんだ。俺たちの日常に!」

宣言する。ここに全員が生き殘ることを。

聖治の宣言に三人共見っていたが、星都が恐る恐る聞いてくる。

「剣島、お前の気持ちは分かる。俺だって本音ではそうだ。でもだぜ、どうやってだ? 俺たちが殺し合わなければ奴らの方から殺しに來る。実力は見ての通りだ。しかも、そんなのが他にもいるんだぜ? 俺たちには無理だ」

星都せいとが言うことは正しい。

夕刻に遭遇した謎の男に二人がかりですら勝てなかったというのに、そんな相手が何人もいるのだ。

勝てるはずがない。星都せいとの弱音も分かる。

化したとはいえ魔卿まきょう騎士団に立ち向かうなど愚行ぐこうでしかない。死ぬだけだ。

それでも言えるか、生き殘れると。

覚悟が問われる。

勇気が試される。

それは奇しくも魔卿まきょう騎士団長としての、素質が試される。

「出來るさ」

それを、聖治は言った。

「『みんな』で力を合わせれば、不可能なんてない!」

聲には思いが込められていた。瞳には勇気が燃えていた。

「聖治君。私はさっき魔卿まきょう騎士団は衰退しているって言ったけれど、それでも魔卿まきょう騎士団が強大なのは変わりなくて。構員だって世界中にいるし、戦うのも逃げ切るのもとても難しいと思う」

香織かおりさんが申し訳なさそうに言うが聖治の決意は揺れない。

「関係ない。諦めることに意味なんてないんだ。なら、せめて思い描く最高の未來を選ぼう。そこに突き進むんだ! 俺たちが生き殘るにはそれしかないんだ、敵が強い弱いは関係ない。ここにいる皆が生き殘れる道がそれしかないのなら、俺はそれを選ぶ。それにだ、俺たちはその強大な魔卿まきょう騎士団の団長となるべく作られたというのなら、俺たちは奴らよりも強くなくてはおかしい」

現在の団長に見合う実力者がいないから、団長に見合うだけの人を用意するために聖治たちは作られた。

なら逆から考えれば、聖治たちよりも強い者はいないということだ。

「それはどうだけとどよ、実際には勝てなかったんだぜ?」

「うん……、僕も頑張ったんだけど、駄目だったんだなぁ。みんなで力を合わせても勝てるかどうか」

「いいや力也りきや、みんななら他にもいるだろう?」

「他にもぉ?」

力也りきやが聞いてくる。それに聖治は一回頷くと香織かおりさんを見た。

「香織かおりさん、俺たちは七人作られたと言っていたよな?」

「ええ、そうだけど……」

「剣島、お前まさか!?」

聖治の考えていることが分かったようで星都(せいと)が驚く。

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