《錬七剣神(セブンスソード)》出発2

聖治は砂場のある右側を見ていた。

それで左側を見てみると二人の男の子が一つのサッカーボールを取り合っている。

二人とも必死で今にも毆り合いの喧嘩に発展する勢いだ。

そこへ、慌てて駆け付けるがいた。

「こらー、何してるの二人とも~」

白い髪のの子だった。年齢は中學生くらいだろうか。型は小柄で顔もさをじる。

丸い瞳が可らしく、淡い緑に輝いていた。服裝は學校の制服姿で紺のスカートに半袖の夏服だ。

一見しただけでじさせる。ただ、本人は怒っているようだがその容姿だからか気迫はまったくじられなかった。

はボールを取り合っている子供たちの前に立つ。は頬を膨らませ、二人を前に腕を組んで叱りつけた。

「駄目でしょう。ボールはみんなのなんだから、一緒に楽しまないと。じゃないと、立派な男の子になれないよ? ね?」

そう言っては怒った表から優しい顔つきに変わった。絵に描いた優しいお姉さんだ、きっと男の子たちも仲直りするに違いない。

だが――

「うるさい!」

「黙れ!」

「「あっちいけ!」」

「そ、そんな~……」

わんぱく子供の強力なタッグ攻撃では撃沈されていた。へなへなと地面に両膝を付いて頭を垂れている。

「なんか殘念なものを見た」

年下の子供に言い負かされるなんとも不憫なの子だった。つい想を言ってしまう。

「なあ剣島、言いたいことがある」

「なんだ?」

すると星都せいとが言ってきた。

「なんか、見ていて居た堪れない子だな」

「言わない方がいい、それが優しさだ」

「お前さっき殘念なものを見たとか言ってたじゃねえか!」

「フッ、覚えてないな」

「お前なあ!」

そんなこんなで二人で言い合いをしている時だった。

「こらぁあああああ!」

さきほどとは比べものにならない本當の怒聲どせいが聞こえてきた。

その聲は當然男の子たちの耳にもり、瞬間表が強張っていた。

聲が聞こえた方向へ目をやると、孤児院の口からの子が駆けている。

渋味のある赤はワインのようで、背中までびた後ろ髪を一つに纏めていた。

なピンクの薄著を來ており、ノースリーブで黒のレースが元に付いている。またダメージ加工されたジーンズを穿いていた。

年齢はよりも高くおそらく姉だろう。鋭い目つきをらせ子供たちの前に立った。

「ねえ、これはどういうことなの?」

さきほどのとは打って変わって恐ろしい目つきで男の子を睨みつけている。

「いや、その、僕がサッカーで遊ぼうと思ったら健太けんたが」

の子からの質問に男の子がバツが悪そうに答える。視線を逸らし、これがそのボールだと両手で持ち上げた。

瞬間だった。

「ちがぁう!」

姉であろうの子は、思いっきり男の子が持ち上げたボールを蹴り飛ばした!

「ひぃ!」

その勢いに男の子は戦慄している。蹴られたボールは子供向けのサッカーネットに吸い込まれネットをえぐっている。

「私が聞いているのは、どうして日向ひなたが涙目で座り込んでいるのかよッ」

の子は今も消沈しょうちんとしているを指さし子供を見下ろす。

「……お前らか?」

「いや」

「その」

「「ごめんなさいぃいい」」

あまりの凄みに男児二人は泣きながら逃げて行った。の子はそんな背中姿をいつまでも恨めしそうに睨んでいた。

「なんか怖いものを見た」

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