《錬七剣神(セブンスソード)》出発4
それでも、まずはちゃんとした説明をしなければ始まらない。
「聞いてくれ! 俺たちは君たちと戦う気はないんだ!」
「うるさい! この狀況で信じられるか!」
二人にしてみればだまし討ちにあったような形だ。此方こなたからこちらに向けられる敵意は尋常じゃない。冷靜な話し合いなど出來る雰囲気じゃなかった。
「お、お姉ちゃん……?」
日向ひなたが心配そうな目で此方こなたを見上げている。
「大丈夫、私がいるから。私がなんとかするからッ」
此方こなたは日向ひなたの手を力強く握った。そのまま聖治たちを互に見遣り、空いた片手を前に翳した。
その仕草が、スパーダの出現だと気が付いた。
「聞いてくれ! 違うんだ! 俺たちは――」
「黙れ! お前たちをここで倒して、私が日向ひなたを守る!」
此方こなたは激昂げっこうしたまま聖治の言葉を遮ってくる。
「大丈夫だから、日向ひなた……」
最後に一度だけ、妹に祈るような聲調で言葉を掛けて。此方こなたはスパーダを出現させた。
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「応えろ、魔皇まこう剣カリギュラ!」
此方こなたを中心に突風が吹き荒れる。砂利が弾けるように飛び散り田畑の草木が振れる。
出現の影響で周りはれ、余波でもが痺れるほどの張を覚える。
今、此方こなたの手には漆黒の剣つるぎが握られていた。刀は黒曜石を思わせる澄んだ黒をしており、柄には縦に四つの紅蓮の丸模様が並んでいる。
「くそ、抜きやがったか。出ろ、帝こうてい剣エンデュラス!」
此方こなたがスパーダを出したことにより星都せいとも帝こうてい剣を手に取った。しかし戦うために來たわけではない。
「止めろ星都せいと!」
「何言ってんだ! 向こうはもう出すもの出したんだ、殺されるぞ! 力也りきやも、お前も抜け!」
「だ、だけど~……」
まずい狀況だった。安神やすかみ姉妹を仲間に迎いれるはずが此方こなたは敵意を発し星都せいとも警戒している。
このままでは本當に殺し合いだ。
「発、暴カリギュラ!」
そこで此方こなたがスパーダの効果を発した。主の聲に応えるように魔剣が脈したかと思うと、突如聖治はが重くなったのだ。
「なんだ……!?」
がみるみる虛きょだつしていく。すぐに目眩をじ立ち眩みまでした。
見れば聖治だけでなく星都せいとや他の二人も辛そうな顔をしている。に力がらない。
聖治は視線が下がり、それで気が付いた。
道端に咲いていた花が萎れ始めている。水分を失っているのか茶に変し、仕舞には枯れ落ちていった。ここ一帯の草木が一斉に死んでいく。
「剣島、奴の屬だ!」
「これが、屬……?」
「そうよ、これが私のスパーダ。魔皇まこう剣カリギュラの能力。屬は破滅。使用者を除いた一帯の生命力を奪う魔剣。お前たちはここで枯れ落ちろ!」
生気が抜け落ちていくように衰えていく。
「聖治、君!」
聖治が今にも片膝を地面に付きそうな時、懸命に聲を張り上げる香織かおりさんが見えた。
「君も、スパーダを出して!」
香織かおりさんが見つめる。表は辛そうに歪んでおり大きく息をしている。それでも諦めず、力強い眼差しで聖治を促す。
スパーダ。セブンスソードの人間が宿す、己の分。それぞれが屬を持ち、強力な能力をめている。
戦うために來たわけじゃない。しかし、ここで殺されては元も子もない。みんなで生き殘るという約束がある!
聖治は決めた。 
前屈みになった姿勢から片手を虛空に翳す。
「……出ろ」
皆で生きようと誓った。その誓いを果たすために、ここで死ぬわけにはいかない。
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