《転生して帰って來た俺は 異世界で得た力を使って復讐する》21-1
「友聖が、また死んだ......!?」
日本にいる友聖の様子・向を定期的に観察していたある日、彼は忌の魔を使用して、自の死と引き換えに(正確には抜け殻狀態、植狀態になるだけだが)自の魂と神、さらには魔力や戦闘系の能力などを過去の自分に引き継がせるというある意味時間遡行とも言えることをしたのだ。
「は死んでも、魂がまだ“この世”にあるから...ここには來ない......っ」
リリナはその事実を知って愕然とする。もし過去の彼も同じように魂を過去に送ることができるのならば、彼がこの次元にやって來ることはほぼ無くなるということになる。
「事実上の不老不死じゃない!友聖、あなたは......っ」
「......まずいことになりましたね...。今回彼が過去へ飛んだ機は......復讐の為」
傍で同じく友聖の様子を見ていた大神はやや渋面を浮かべてそう告げる。
「復讐...!?そんなどうしてですか?友聖はもうあの世界で憎んでいた人たちを全員殺して終わったはずじゃあ...っ」
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「理由は分かりませんが、とにかく彼はまだ彼らを殺そうと考えてのことと思われます。そしてそれが正しい予想なら、彼は何度も時間を遡って...」
「そ、んな...!友聖、あなたはまだ復讐を......人をたくさん殺すつもりなの...?」
大神による友聖の行予想を聞いたリリナはさらに悲しい気持ちになる。友聖の底無しの憎悪と殺に震えてもいる。己の心を満たす為に己の命さえ捨てるという彼の執著心を、今になって理解できた。
杉山友聖という男がどれほどまで壊れてしまっているのかを、今理解した...。
「...大神様、友聖の行いはもう看過できるものではないと、思います...。私だけでも、あの世界へ行ってはならないのですか?」
リリナの言う通り、友聖の行いは看過できるレベルではない。人の命をたくさん奪うという人道に悖る行為のこともあるが、彼が過去に行って本來その時代で死ぬはずではなかった人が大勢死ぬことで時空が滅茶苦茶になる恐れがあるのだ。
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最悪世界が滅ぶ事態に及ぶ...その可能もリリナは提示して“この世”へ転移する許可を求める。
しかし...
「リリナさん、お気持ちは察しています。けれどこの次元に魂を置く者が異なる次元へ転移するのは忌とされています。良くて今のあなたの資格と地位の剝奪、最悪あなたが次元の間へ閉ざされるという事態も起こることも考えられるのです。
次元を超えるということはそれほど危険でずるべき行為なのです。辛いでしょうが、私たちが彼に干渉するは...ありません」
「.........っ」
リリナの申し出に大神は不許可と不可能の二つ返事で拒否する。為すが無いと宣告されたリリナは悲痛な面持ちで、年の友聖を眺めることしかできなかった。そんなリリナを大神は謝罪と簡単なめの言葉をかけてその場を去った。
(あの頃...勇者として活躍していたあなたの姿に、戻ったのね。今のあなたを見てると思い出すわ......あの頃の日々を。親しかったあなたとの出來事を。今のあなたを見てるといっぱい、いっぱい思い出す...!)
の年齢15に戻った友聖。本來の人生では中學生で二度目の人生では勇者だった彼を懐かしむ一方悲しくも思いながら、リリナは何もできないこの現実を嘆くしか出來なかった。
このまま永遠に彼に會えないのなら、いっそ忌を犯してでも...つまり無斷で次元を超えて友聖に會いに行こうかという考えに至った頃、神族に衝撃的な報告がった。
「悪魔族長サタンの最後の分の潛伏先が......“この世”に!?それも人間界に...!?」
神族同じく“あの世”に魂を置く者である悪魔族...その長である“大悪魔”サタン。彼は神族を滅ぼすべく全ての悪魔を率いて戦爭を仕掛けて、今も爭いは続けている。
リリナの參戦で悪魔族は次第に勢いを失くし、終戦するかに思えた...が、追い詰められたサタンは數十年前に自の分を大量に作り出して世界中に散りばめさせた。分を全て倒さない限りはサタンは消えないということを知った彼たちは悪魔たちと戦いつつサタンの分をも討伐し続けた。
數年前に最後の一にまで減らすところまでは功ものの、最後の一だけがどうしても発見できず、ずっと捜索していたのだが、まさか忌を犯し危険を冒してこの世の次元へ侵してまでを潛めていたとは、思いもよらなかった。
「もし、サタンが率いる悪魔戦士までもが人間界に侵略したとしたら、人間界は確実に滅ぼされてしまいます...。今のサタンならやりかねません」
大神の言葉に神全員...特にリリナは戦慄する。大敵である悪魔族したことと同じことをしようと彼はついさっきまで考えていたのだから當然だ。戦慄と同時に恥じてもいた。敵と同じことをしようとした自分の未さを恥じたのだ。
「サタンは、人間界にいるある年の中に潛伏していることが分かりました。その年も、普通の人間ではありません...。サタンが潛伏しているという理由もありますが、その年は......一度死んで別の世界へ転生した者で、その後空間をわたって元の世界へ帰ってきた人間なのです」
「―――」
大神の言葉にリリナは大きく狼狽する。他の神たちも同様の反応をしていたから目立つことはなかったが、彼の場合その度合いとは大きく異なる。
大神が口にした人間に、覚えがあるからだ。
「その年を別の世界へ転生させたのは...私です。
そしていつどういう経緯でそうなったのか分かりませんが、今彼の中には、あのサタンが潛伏しているのです...。
その年の名は杉山友聖。彼を討伐すれば、悪魔族との戦爭に終止符をつけることができます―――」
ガツンと頭を毆られるくらいの衝撃的な報告に、リリナは驚愕に震える。しばらくして落ち著きを取り戻し、大神に問いかける。
「確か、なのですか...?友聖に、あのサタンが......っ」
落ち著いたとは言っても聲にまだ震えがあるリリナを、他の神たちがどうしたのかという視線を向ける。リリナの事を知っている大神だけは彼がひどく揺している理由を汲み取って対応する。
「間違いありません。私としても僅かな可能を模索しての、人間界への捜索を試みました。そして見つけたのです、杉山友聖にサタンがいつの間にか潛伏していたのを。普通の知では引っかからない彼でしたから、私の本気の知魔で捜索してやっと見つけました。まさかずっと杉山友聖の中にいたとは思いませんでしたが」
二人とも重い沈黙をしたことで神たちがオロオロするが、すぐに大神がキリっとした面持ちでリリナにある命令を下した。
「神リリナ。あなたには“この世”に転移し、日本という國にいる杉山友聖を討伐してもらいます!!彼を討てばサタンを討つことができ、そして悪魔族との戦いを終わらせることが出來ます!神族の鋭であるあなたにお願いします。
彼を、杉山友聖の兇行をあなたの手で終わらせて下さい」
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