《転生して帰って來た俺は 異世界で得た力を使って復讐する》30-2
「............」
開いた口が塞がらないとはまさに今の俺のことを指すんやろうな。半開き狀態の口を俺は閉ざせないでいる。それほどリリナの今発した言葉に衝撃をけている。
「私決めたの......我を通そうって。私がしたい、してあげたいって思うことをしようって。友聖の主張なんて知らない、聞いてあげないって...!私が一緒にいたいって思ってる...から、あなたを巻き込むわ。
もう友聖の意思とか...関係無しに私は私の勝手であなたを救う...!」
「おい......なんやそれ?“私の勝手”で、俺を孤獨から救う?俺と一緒にいたいから心中を強制やと...?お前、とうとう俺みたいにイカれたか?」
「違うよ?これは私の“わがまま”...。たとえ友聖がこのまま孤獨をんでても、私は友聖の思うようにはさせない...させてあげない。私は友聖とこのまま本當に永遠のお別れしたくないから...そう考えただけ。完全に私の願よ...」
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今まで散々好き勝手に暴れて理不盡を強いた俺が言うのも何やけど、そんな勝手が許せるかよ!?
俺の意思に関係無しに孤獨にさせない、一緒にいさせると主張してやがる。
「ざけんな。そんなもん許せるかよ...!俺はもう誰ともいたくねぇ!!味方なんかいないこんな世界に、俺の周りに人一人も視界に――」
「私は 友聖の味方よっ!!」
その力強い発言に、俺は思わず言葉を途切れさせる。を吐いて苦しいはずなのに、その言葉に強い想いが込められているのが分かる。分かってしまう...。
「この世界...誰も友聖の味方じゃなくても、私は...私だけは友聖の味方、よ...!ずっと好きだった。したいと思ってる...。側にいたいって思ってる。私がそうしたい」
「.........」
「友聖が地獄へ逝くなんて、私耐えられない。心が救われていないまま地獄へ逝くなんて許さない。友聖を救いたい...私なら、友聖を癒してあげられる...。絶対に友聖の心を癒してみせる...」
「.........」
「このままお別れなんて嫌、絶対に嫌...!あの時と同じ終わりにはさせない。神にここに來る時からずっと......決めてたから、友聖を止めてそして......側について友聖を癒すって、救うって...」
「そんな......お前に、お前なんかに俺を......っ!第一俺は今もお前なんか......」
「うん、分かってる...。それでも私は友聖と一緒にいたい。前世からずっと決めてたことだから。あれから今まで何十年間ずっと変わらないこの気持ちに噓は無い。だから......友聖が何と言っても、私の側にいてもらうから...!」
いくら言っても...もう覆らない。コイツは本気で俺と一緒に...!
するとリリナから青白い魔力が吹き出てくる。それは俺をも包み込んで......球となっていく...。
「これは忌の魔。対象と死ぬ心中魔。対象とともに魂を別の次元......この世からもあの世からも干渉できない...“無次元”へ永遠に封印する魔よ...。
これで私と友聖...二人きりになれる...わ」
もう...発してやがる...。今すぐこののを解かねぇと...!
「ぉおおおおおおおおお......っ!!」
「ダメよ友聖......逃がさない」
パァン!!「あ......え?」
全力を振り絞って熾した魔力が霧となって消え失せた...!もう、魔力が切れてしまった...。
「何で...何で魔力が...!?」
「私は、魔力を消すことができるの...。あの世で會得できるスキルよ。この時にまで殘しておいた、私の切り札」
「は......は...。この、チート、が......っ」
掠れた聲をらす俺だがすぐに次の攻撃手段...力ずくを敢行する...が、
「あ...力、が......?」
「ごめんね...友聖の力なんだけど、実はさっきからずっと吸い取らせてもらってたの。
“エナジードレイン” そのおで私はこうしてまだ生きていられる。もう力ずくでもこれを破るのは無理よ」
「......この狀況になるまでずっと、隠してたんか......っ!?お前、《《最初から》》――」
「うん。言ったでしょ?あなたを救うって」
青白いがさらに強まる。魔が発しようとしている。取り返しのつかない終わりが...迫って來る...!
「くそ...ざけんな!お前の都合で俺まで死んで...消えてたまるかっ!!俺は、俺はぁ!!」
怒りのままにぶ。その時リリナが俺をギュッと抱きしめてくる。
「ねぇ友聖...。さっきあなたは、自分には大切な人は一人もいないなんて言ってたけど...。だったら――
私を 友聖の大切な人にしてしい!!」
「―――――」
また...こいつは......っ!言葉が、出てこねぇ。
「友聖をそんな寂しい人間にしたくないから...。誰もいないなら、私が友聖の大切な人になるわ!もう、友聖を...獨りにさせたくない!私が絶対に...友聖の味方になって、優しくしてあげて、友聖の心を癒すから......っ!!」
そんな都合の良い展開への期待は、とっくの昔に捨てた。あるわけないと。
進學できず、クソッタレな會社で勤めてハブられて家族を縁を切られて...たぶんそんくらいで俺は何もかもに見切りをつけた。もう俺に救いの手は差しべられねぇ......優しい世界は訪れねぇ......味方なんて現れねぇ......。
捨てた......期待なんて捨てた。もう俺は現実で夢を見ることは諦めて止めて――
「友聖......ずっと言いたかったことがあるの」
もう要らない。誰も要らない。必要無い。必要とされてない。世界が俺を拒むなら...俺かてお前らを否定して――
「前世で魔王軍を討伐してくれて......魔王を討ってくれて......世界を救ってくれて―――」
否定 し、て―――
「 ありがとう 」
「あ............」
あの時―――壊れかけていた勇者だった時の俺が。
魔王を討って帰って來て、いちばんしていたその言葉―――
「......ざけんな......ッ 今になってそんな、そん...な――ぁ」
「本當に今さらでごめんね。でも分かってしい。この気持ちと言葉に...噓は無いって。これが私の偽り無い本音...。
言えた......やっと言えたわ.........っ」
リリナも、たぶん俺も、泣いている。俺に関しては何の涙かは知らねーけど、リリナのはたぶん...嬉しいって意味の涙なんやろうな...。
認めたくはなかった...。けどここまでくればもう認めるしかねぇ...。
青白いが強まり、球が小さくなっていく...。俺はここで終わる...。後で転生することもない、文字通りの「終わり」。
もう好き勝手は出來ない......その代わりに、
「友聖―――」
俺は...孤獨ではなくなる。俺のことを好いている...していると二人きりになる。
そのは、最後の力を振り絞って俺の頭を彼の顔に持っていき――
「 してる 」
俺にとって人生最初で最後の...想いがこもった優しい口付けをしてきた――。
そして
俺は リリナとともに この世から消えて無くなった―――。
*次回 第二部及び本作最終話。最後まで読んで下さい!
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