《バミューダ・トリガー》裏・十二幕 アビリティ・ラッシュ

今は八月だというのに、今日は妙に涼しい。

だから僕は今うれしい。

暑い日に涼しくてうれしい、っていうのは、まあ、普通のことかもしれない。

でも僕はべつに、涼しいことに対してうれしいとじているわけではない。単純に言うと、冬が好きで、夏が嫌いなだけだ。

だから今日は、何だか秋が―

―冬が近づいているようで、うれしい。

僕の名前は武石 秀雅たけいし しゅうが。

一年ほど前に、怪事件《バミューダ》に巻き込まれたってことを除けば、普通の高校一年生だ。

僕は怪校にって一年が経つわけだが、今日になって、ちょっとした行事が行われた。

その行事の名は、「能力検定」。

《バミューダ》から生きて助かり、《トリガー》を持つ僕たちは、「能力」ってのを使える可能を持ってるらしい。

最近、怪校に通う生徒を狙った事件が起きたこともあり、自衛の意味でも「能力」を使えるに越したことはないということらしい。

結論を言うと、僕は能力を使えなかった・・・・・・。

僕の學年は三人しかいない。

そのうち、能力を覚醒することが出來なかったのは僕だけだ。

そう言えば、後で來た高校生二年部の擔任である永井先生の話では、他の學年では全ての生徒が能力を覚醒したらしい。

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