《バミューダ・トリガー》三十九幕 後日談、そして
三月一日、早朝。
先日の事件による警察署の被害は甚大であった。
襲撃を行った張本人である迫間 四月一日さこま エイプリルは、《トリガー》を沒収した後に、手足を拘束されて拘置されている。
勿論ただの刑務所にれる訳にはいかず、知りうる限りの《バミューダ》の詳細を把握している組織の元で捕らえてある。
組織の名は「超能力者陣営スキルトライブ」だ。
名前から察することができるかもしれないが、この団の構員は全員能力者だ・・・・・・。
そして、何を隠そうその構員たちは、かつて怪校の高校生三年部に所屬していた生徒たちだ。
以前、一度目の警察署襲撃があった際に怪校から獨立した彼らは、リーダー格である龍王 蓮鎖りゅうおう れんさを筆頭に組織を立ち上げ、獨自に《バミューダ》や、《トリガー》について調査をしていた。
怪異事件《バミューダ》に関係することであるため、もれなく國からのバックアップがあるらしく、拠點となる施設が霊峰町の東區に設立されているという。
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なんにせよ、怪校生にとっては安心できる。
元怪校生の高校生三年部だった人たちは皆、それぞれの能力を発現し、行使することができることを知っているからだ。
ここで事態の方あらかたを語ることにする。
最初に、初めにエイプリルに襲われた警察は駆けつけた二人の警察と救急隊によって病院へ搬送され一命を取り留めたものの、あまりにもへの被害が大きく、酷い後癥が殘るそうだ。
歩行すら困難になるとのことで、現場への復帰は不可能だという。
次に、エイプリルを取り押さえようと試みた練警察の死亡。
青石という名の彼は元「特別治安部セーフティーズ」の一員であり、怪校が現在の場所に新設される際も、生徒たちへの配慮のある充実した設備を、と、工事に攜わった人たちに言伝ことづてしてくれていたという。
さらには、エイプリルと怪校生の戦闘によって破壊された設備。
これは、人命と比べるには及ばない程些末なことであるが、修繕には馬鹿にできない費用がつぎ込まれることになるだろう。
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最後に、千葉 逸ちば すぐるの消息が不明になった・・・・・・・・・こと。
彼は以前、怪校生の一人である、高校生二年部の明日 明日香ぬくい あすかの家を襲撃し、母親を昏倒に追い込んだ上に、明日香の命を一度・・奪った男だ。
明日香自は、幸運にも自己回復の異能力を発現したことにより息を吹き返した。しかし、だからと言って簡単に許されることではなかった。
だが、逸本人は深い反省をしており、明日香も寛大な心でそれを許したため、近いに拘留を解かれる予定であったのだ。
「・・・人くん、それってちょっとおかしくない?」
淡々と述べられる事後報告を聞いて、諒太が首をかしげた。
「そこだな。俺も不思議に思ってる」
「ん?どういう事だ??」
一人、狀況を把握できずにいる翔斗が目を點にして呆ける。
現在俺たちは、新設怪校の地下にある、高校生二年部の教室にいる。
俺たち高校生二年部の生徒は時期的にもうすぐ三年生となるわけだが、元怪校生である高校生三年部の生徒は、先程説明した通りすでに怪校から獨立しているため、教室の移はない予定だ。
「ああ、だからな・・・」
ガラララ
人が説明を試みたところで、教室の扉が開かれた。
「おはようございます、みなさん」
「「「おはようございます」」」
にこやかな笑みを浮かべるのは、永井 幸四郎ながい こうしろうの裏切りが発覚した後に配屬された、高校生二年部の擔任だ。
名前は田中 也たなか しんや。
ちなみに、歳はとのこと。
しかし、外見や聲から判斷するに、恐らく二十代半ばだ。
田中先生が自己紹介の際に「年齢はです!」と言い放った時、クラスの數名による「おばさんかッ!」という聲が重なったのが印象的であった。
怪校という環境下であるということもあり、田中先生と俺たちはそう長い時間を共に過ごしているわけではない。
だが、それでも、生徒たちに対する発言や時おり見せる真剣さから、田中先生が優しく真面目な先生であるということは分かった。
実は、生徒に対しても丁寧に敬語を使う辺りが、個人的にし苦手だったりするのだが、まあそれは置いておこう。
そんな田中先生には、來たときから口癖のように言う言葉があった。
「今日も全員いますね!明日も元気に登校してきてくださいね」
朝一番に言う言葉ではないような気もするが、それが田中先生らしさである。
―気遣いに溢れた、言葉だ。
先日、警察署もとい舊怪校での一件があってから、その言葉に込められた意志がいっそう強くなったようにじる。
まあ、自分のけ持つクラスの生徒が危険な目に遭ったのだから、気持ちがこもるのも當然の事なのだろうが。
そして、その「當然」に気づいたとき、俺はとても悲しい事実に気づいてしまった。
俺は、俺たち怪校生が「雙蛇のデュアルスネイク」による襲撃事件に遭うことを、妥協し始めていた・・・・・・・・のだ。
仕方のない、ことなのだと。
それが俺の、俺たち怪校生の、運命なのだと。
―――――――――――――――――――――――――
し前から、怪校のカリキュラムに「襲撃対策」なるものが追加された。
襲撃対策と言っても、戦闘の訓練をさせたりするなど、軍隊の真似事をするのではない。
容は単純、各生徒の近況報告と、他學年との報流だ。
この「襲撃対策」の時間はかなり重寶する。
何故なら、それぞれが個人的に聞いて回るには効率の悪い事柄を、手早く効率的に知ることができるからだ。
今の時代、スマホ等を使えば生徒同士の報の換程度ならば造作もない。
それでもあえて「襲撃対策」がカリキュラムに組み込まれた理由としては、やはり生徒の結束を固めることが主だろう。
―――――――――――――――――――――――――
五限目。
今日を締め括る授業。
今日も、生徒たちの報流が始まる。
妹と兄、ぷらすあるふぁ
目の前には白と黒のしましま。空の方に頭をあげると赤い背景に“立ち止まっている”人が描かれた機械があります。 あたしは今お兄ちゃんと信號待ちです。 「ねぇ、あーにぃ」 ふと気になることがあってお兄ちゃんに尋ねます。お兄ちゃんは少し面倒臭そうに眠たそうな顔を此方に向け 「ん? どうした妹よ」 と、あたしに話しかけます。 「どうして車がきてないのに、赤信號だと止まらないといけないの?」 先ほどから車が通らないしましまを見ながらあたしは頭を捻ります。 「世間體の為だな」 お兄ちゃんは迷わずそう答えました。 「じゃああーにぃ、誰もみていなかったらわたっていいの?」 あたしはもう一度お兄ちゃんに問いかけます。お兄ちゃんは右手を顎の下にもって行って考えます。 「何故赤信號で止まらないといけないのか、ただ誰かのつくったルールに縛られているだけじゃないか、しっかり考えた上で渡っていいと思えばわたればいい」 ……お兄ちゃんは偶に難しい事を言います。そうしている間に信號が青に変わりました。歩き出そうとするお兄ちゃんを引き止めて尋ねます。 「青信號で止まったりはしないの?」 「しないな」 お兄ちゃんは直ぐに答えてくれました。 「どうして?」 「偉い人が青信號の時は渡っていいって言ってたからな」 「そっかー」 いつの間にか信號は赤に戻っていました。 こんな感じのショートストーリー集。 冬童話2013に出していたものをそのまま流用してます。 2016年3月14日 完結 自身Facebookにも投稿します。が、恐らく向こうは二年遅れとかになります。 ストリエさんでも投稿してみます。
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