《No title_君なら何とタイトルをつけるか》マリー・ミラー

が暑く呼吸が苦しい…辛い。

聲が聞こえる、泣きび助けを求めているの聲。その聲も水の飛び散る音と何かの倒れる鈍い音で消え去った。

ヴェルザの視界にってきた。

映ったのはアイと遠くから黙って見ているメコだった。

「…ヴェルザ」

聲が枯れていてヴェルザは応えることが出來なかったがを起こす事は出來た。

「…っ!!」

が痛く、目眩がした。

「まだ毒が完全に無くなっていないみたいね」

アイは真剣な顔をしてヴェルザに言った。

靜寂な醫務室の扉を強く開けて走って來たのは息を切らしたイグニスだった。

「目…覚めた?!」

「イグニス!他の患者も居るんだから大きな音をたてないでくれる?」

「あ、済まない…メコからヴェルザが目を覚ましたの連絡が來たため…つい」

「……あっ」

ヴェルザが必死に聲を出そうとすると掠れた聲で聲を出す事が出來た。

イグニスとアイは何かを伝えようとするヴェルザを真剣に見た。

「…あのっ……の…が……乾いた」

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アイは水を用意しヴェルザに飲ませた。

乾いたに水が通り、に痛みが走りヴェルザはし咳き込んだ。

「大丈夫か?」

イグニスは心配そうに言った。

「だ、大丈夫」

やっと聲を出せたヴェルザを見た2人は安心したように溜息をついた。

「ヴェルザ…貴方 3日も意識が無かったのよ」

「3日も…」

「その……マリーに殺されかけたの。致死量では無かったけど毒を盛られていたクッキーが貴方の所持品から出て來て…マリーの部屋からもそのクッキーが見つかっているの」

「……」

3日前のあの日を聞く勇気はヴェルザには無かった。マリーは居なくなった、反逆者として殺されたという事実はヴェルザにとって厳しいものだった。おまけに友達と認識出來そうな人に殺されかけたとなるとヴェルザの心は酷く傷付いた。

「…し楽になったから1人になりたい」

ヴェルザはそう言ってまだ痛むを無理矢理起こし醫務室を出ていった。

殘された2人はヴェルザの出ていく姿を見守っていた。

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「ヴェルザは大丈夫だろうか…」

「さぁね…私には分からないわ。マリーのとこの件についての事実を知ったらヴェルザは私達を……」

アイは他の患者の様子が悪い事に気付き、口を止めて患者をみた。

「アイ…この患者は?」

「一昨日、敵國から大砲が撃たれたでしょ?幸い浜辺に當たったから良かったんだけど…見回りをしていたこの人は當たった場所に近付いたの…」

「あぁ…時限弾か」

「そうよ」

アイは左足の無くなって唸っている兵を悲しい目で見つめた。

「最近、何処の団の基地でも急な攻撃が多いらしい…近いうちに戦爭になるだろうな」

「……」

ヴェルザは建の影に座り俯き、まるで人形のようにしていた…。

「……あの時」

「あの時、縄を解くことが出來た。なのにマリーを助けなかった…助けていれば何かが変わっていただろう。自分はただ現実逃避をしていただけじゃないか…」

ヴェルザは頭を抱え、今の心が分からずにいた。

「…君、はもう大丈夫なの?」

綺麗な青年の聲がヴェルザの頭を通った。

顔を上げるとそこには団長がいた。

団長は微笑んだままヴェルザの隣に座った。

「3日前の事…どう思ってる?」

「……」

「僕の事、恨んでる?」

「…分からないんです。自分の心が」

「まぁそうだよね…でも楽しかったでしょ?反逆者のマリーと短い間 君は楽しい夢を見ることができた。マリーは楽しくなかっただろうけどね」

その言葉にヴェルザは更に心が寒くなった。

「あはは…言い過ぎたね。でも事実から逃げてはならない、マリーはリアムを必死に殺そうと計畫した。何故だか知ってる?」

「…知りません」

「じゃぁ教えてあげる!実はね。マリーの寮部屋から日記が見つかったんだ…僕はそれを読んでマリーを知る事ができたよ」

団長は笑ってそう言った。

ヴェルザが心気になっていたマリーの事…ヴェルザは団長に応えた。

「マリーさんの事…教えてください」

実良(ミラー)家は代々エリート出世の者が多い家柄で勿論、厳しく 禮儀正しい所だった。勉學に特に厳しく落する事が許されなかった。

そんな家に生まれた俐亜武(リアム)と舞璃(マリー)…

「俐亜武、學園テストの総合點 前回より4點下がっていたらしいじゃないか」

長い食卓を挾んでお父様がお兄様(リアム)に話しかけた。作りたての料理は冷めているようにじる私(マリー)だが殘したらお父様に叱られるためいつも我慢して食べていた。

「申し訳ございません。私の不注意です…次は完璧にさせます」

お母様ならこういう時、お兄様を助けていた…。

「貴方、たった4點じゃないか。何をそんなに怒る必要があるだい?」

「そのたった4點が何位も落とす事になりかねない。俐亜武は1桁の位を落としてはならないのだ…いや、実良家は落としてはならない」

「はぁ…そんな堅苦しい。そんなんで呼吸困難にならないの?」

お母様は冗談らしくお父様に言い返した。

こうなればお父様もこれ以上何も言わなかった。だけどお母様はが生まれつき弱く心臓病を持病としていた。時々倒れ込んで何日も會わないことがあったりした。それでもお母様は…。

「俐亜武、完璧じゃなくったって良いのよ?完璧な人なんてこの世に居ないんだから」

お兄様と私を部屋に呼び込んでお話をしてくれた。そんなお母様は私が11歳になってから病態が悪くなっていった、毎日のように倒れ込み、痩せ細っていき…亡くなった。

その時お兄様は13歳だった。お母様の代わりとして義理のお母様が実良家に來た。

「母のいない家を作ってはならぬ。世間と同じようにする」とお父様は言い、お母様が亡くなって2日後に義理のお母様を向かいれた。その日を境にお兄様は変わっていった。お母様が生きていた頃は私ととしだけれども話してくれていた。

「舞璃、もしもお母様が居なくなったら私達2人で頑張ろう」

お兄様がそんな事言うなんて意外だったから凄く嬉しかった私は約束をした。

「約束ですよ?お兄様」

「あぁ」

けれどその約束も消えてしまった。義理のお母様は私への當たりが酷く、毎晩 叩かれた。それも顔などの目立つ所ではなくお腹や背中などを…。お兄様はその様子に気付いていた。

「何なのよ、お前は!生意気な顔だね!」

義理のお母様はそう言って私のお腹を毆った。

「……っ!!」

苦しくて吐いたり、倒れた事もあった。

お父様が仕事で屋敷に居ない日はお兄様や使用人が目の前に居てもお構い無しに當たってきた。それを見たお兄様は、

「……そこのお前、片付けておけ」黙って見たら使用人に片付けを頼んで部屋に戻って行った。

あの約束を忘れてしまったんだろうか…噓だったんだろうかと私は段々 お兄様へ怒りを覚え始めた。そして怒りを発させる出來事が起こった。

「お兄様!!やめて!」

お兄様が15歳の頃、私は14歳…お兄様はストレスが溜まっていたのだろうかお母様の部屋を燃やそうと火のついた蝋燭を持って走り込んだのだ。

「はぁ…こんな家!燃えてしまえ!!」

そう言ってお兄様はお母様のベッドに火のついた蝋燭を投げた。火は勢い良く広がりあっという間に部屋中に火がついた。

私にとってお母様の部屋は寶だった。お兄様にとってもそういうだったに違い無いのに… お兄様は火をつけた。私はその日からお兄様を殺したいくらい憎く思うようになった。

幸いお母様の部屋で火は止めることができた。

そんな私はお兄様を殺そうと殺し屋に暗殺を依頼した。お兄様の16歳の進級式、艦に忍び込むことが出來た殺し屋はお兄様が1人廊下を歩いている所を襲いかかったが近くにいた警備員に撃たれ殺された。

「舞璃様 お兄様が襲われた原因について何か心當たりはございますか?」

「無いです」

聴取をされながらもお兄様を殺す事を諦めなかった私は自ら暗殺する事を計畫した。

怪しまれないために私は自分を作り出した。優しくて謙虛なを…。あとは友達役が必要だった…普通を演じるために…団式の日 1人でいる子を見つけた。人から避けられそうな赤い目をした子…

思ったよりもその子は単純だった。馴れ合いを得意としない…つまり優しさを知らない。私はその子に優しくした。するとご飯をあげたら懐いてきた貓のようになった。

クッキーを作った…毒で暗殺を計畫した。

けれど試しが必要だった、私はその子にクッキーを明日 食べさせて見ようと思う。死んだら功…死は海に沈めよう。

ヴェルザは俯き涙を流した。

団長はヴェルザの頭をでた。

「リアムは海上団にとって貴重な人材だったんだ。だからリアムを殺そうとする者は早めに処理しておかないといけなかった、リアムが居なくなるのは大きな損失なんだ」

「マリーさんだって…自分にとっては、大きなっ……」

ヴェルザはマリーに利用されていた。それを知ってもヴェルザはマリーの居なくなった事を悲しんだ。

「ヴェルザ、これは君に渡しておくべきだね」

団長は水のネコのストラップを差し出した。ヴェルザはそれをけ取りまた涙を流した。

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