《No title_君なら何とタイトルをつけるか》本土へ帰省
決して小さくはないが大きくもない戦爭が終わってから2日がたった。空はずっと曇りで今日は雨が降りそうな日だった。
「団長、天皇陛下から手紙が…」
アイクはハイネに紫花の絵が小さくった手紙を渡した。ハイネは手紙を読み終わると目をゆっくり閉じて開いた。
「明日 艦に全団員を乗せ京都へ向かう。各基地にも向かわせるため伝えろ」
「了解致しました」
「サラ指揮、何をしているんですか?」
「紫花」
「…はい?」
「紫花の葉には毒があるんだよ。綺麗な花には毒がある…か」
「その通りですね、紫花…綺麗です」
イグニスは不思議な顔をしながらも紫花をみて微笑んだ。
「はぁ…嫌なじがする」
小雨が降り始めた頃 ヴェルザは食堂で晝食をとっていた。
「アンタ、本當によく食べるね。私 そういう奴好きだよ」
メコはヴェルザが味しそうに大盛り咖喱を食べているのを見て嬉しそうに笑った。
「ご馳走様でした。メコさんの作った料理が味しくて…つい沢山食べてしまうんです」
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「あはは、そうかい」
「メコの作ったものは味しいからな…メコ、僕も咖喱を頼む」
急にやってきたハイネは早々と注文した。
「団長もそう思うのかい?…仕方が無いねぇそんな嬉しい事言われたら私 張り切っちゃうなぁ」
メコはご機嫌そうに笑い料理所に戻って行った。
「団長、何故來たんですか?」
「その言い方は失禮だな。ははは、お腹空いただけだよ?それに君は僕の護衛役だ、僕を守ってくれよ」
「…はい。期間限定の護衛役、頑張ります」
ハイネは薄笑いをした。
「その言葉が聞きたかった。実はね 急だが明日 から3日間京都へ全団、各基地の団員は向かう事になったんだ」
「そんな…5000人ほどいる兵がですか?」
「あぁ、だから君には僕の護衛役として近くで行してもらう」
ハメられた。ヴェルザはそう思いながらも護衛役として務めを果たそうと心に決めたためけれた。
「分かりました」
ハイネは微笑み屆いた咖喱を食べ始めた。
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ヴェルザは窓の外から歩いているグレイとイグニスを見つけた。
「指揮…!」 ヴェルザは窓を開け呼ぶとグレイとイグニスは気付き手を振り此方へ近付いてきた。
「やっほーヴェルちゃん」 「ヴェルザ、メコ…と団長?」2人は食堂にり腰掛けた。
「ヴェルちゃんから呼んでくれるとは思わなかったよ…どこか打った?」
グレイは意外そうな顔をしてヴェルザを見つめた。
「打ってませんよ…ただ2人が見えたので呼んだだけです」
イグニスは何だか嬉しそうに笑った。
「えー私だけ仲間外れ?」
ヴェルザが振り返るとアイが來ていた。
「…アイ」
「皆どうしたの?集まっちゃって」
ハイネは困ったように答えた。
「どうしたんだろうね。たまたま來たら會っただけさ。そしたら君達3人が來た」
「なにそれー、ヴェルちゃん招き貓?」
グレイは笑いながらそう言った。
「貓は中國では食べられていたんだよ」
メコはホラーに近いも駄目なイグニスに悪戯顔で話しかけた。
「や、やめなさいっ!」
イグニスはし怖がった顔をして椅子から反的に立った。それを見た全員は、クスクスと笑った。
「本當に怖がりだよね。それで良く私の補佐が務まったねぇ」
「…そういえば、イグニスって如何して指揮の補佐をしているの?」
ヴェルザは疑問に思って問いた。
「あぁ~それ聞いた事ないなぁ」
「私もだ」
アイとメコがイグニスをじっと見た。
「僕は知っているが詳しくは知らないや」
「お、教えませんよ?そう簡単に説明出來ないんです。々と思い出したくない事もあるんです」
イグニスは顔を悪くし答えた。
「あははははは」
それを見たグレイは笑い出した。
「まぁあれは確かに君にとっては酷かったね」
「本當…勘弁してしいです…」
食堂から聞こえてくる6人の楽しそうな聲は副団長の靜かな部屋に聞こえていた。
「…」
副団長は口を噛みどこか遠くを見ていた。
日が昇る前のジメジメとした朝、艦は京都に向けて出発した。ヴェルザとハイネ、副団長は司令室から見える海を眺めていた。
「団長、ヴェルザはどうするのですか?」
「あぁ…僕の屋敷に泊まらせる」
「…!?」
「…?あ、そうだったね。君には言ってなかった…君、帰る場所はあるのかい?」
その言葉にヴェルザは揺したものの答えた。
「…ありません。自分は恩人…師匠と暮らしていたので」
「君の住所はだから不明だったのか…」
「はい…」
「ヴェルザ、お前…親族とは連絡出來ているのか?」
「いえ…自分は…その……」
「リアム。そこまでにしておいて…人に深りするなんて君らしくないよ?」
「済みません…」
「ヴェルザ、とりあえず君は僕の屋敷に泊まってくれて構わない」
「分かりました」
3人のいる司令室は空気が重たくなっていた。
大阪の港に艦がつくと600人の団員は降り陸上団が用意したバスに乗って京都にある天皇陛下の屋敷へ向かった。
「指揮、何を読んでいるのですか?」  
ヴェルザは後ろに居るグレイに話しかけた。
「これは太宰治の斜という本だよ。私 こう見えて本が好きでね…いつか戦爭が終わってゆっくり暮らせるようになったら斜館のような屋敷に住んで本を書きたいんだ…」
グレイは樓閣がそびえ立ってる街をみて何処か獨り言のように呟いた。
「…本、出來たら読ませてください」
「會うことが出來たらね…」
戦爭が無くなれば団は必要無くなり消え…そしたら皆 バラバラになってしまう。そんな事をヴェルザは考えていたが言葉を放った。
「アイ、イグニス、メコ、指揮、団長…戦爭が終わったらバラバラになってしまうかもしれないけど、自分は招き貓みたいに皆さんを呼び戻します」
それを聞いた5人は呆然としてから笑いだした。
「君、そんな凄い事 よく言えるね…僕 激しちゃったよ…、うん、呼び戻してくれよ」
ハイネは綺麗な顔をより一層綺麗にさせる笑顔を見せた。
雨が降っている中 外でたくさんの人が並んでいた。天皇陛下の所持している屋敷に到著した海上団一軍(本部)の団長、ハイネ・スピリトは先頭に立ちその両端には空団一軍(本部)団長 ウキ・アルバ 陸上団一軍(本部)団長 カル・エイダンがいた。
「お久しぶりですね、スピリト殿」
「お様で。エイダン殿もお元気そうで何よりです」
「お二人共お変わりなさそうで安心しました」
エイダンから続けてハイネ、アルバが一言挨拶をした。その頃ヴェルザは本部の列の1番最後尾から雨の音を聞いていた。いや、人が多く団長達の聲など聞こえていなかった。
「…どうぞ中へおりください」と放送が鳴ると陸上団から順にっていった。
屋敷の中はホールになっており、東京ドーム1つ分ほどの広さがあった。
「全団の団員は外套と制帽を著用してください」放送を聞いた団員達は外套を著ていった。
陸上団は濃い緑の外套と制帽。海上団は黒裝に近いが濃紺の外套と制帽。空団は白い外套に制帽であり、それぞれ形は一緒だがは団の特徴を摑んでいた。
「ヴェルちゃん似合ってるね…」
「そうでしょうか?」
制服は違うが外套や制帽の形が同じ全団は締まりがあって良いとヴェルザが思っているとステージに老いてはいるが何処か輝きがあり清楚なじがする老夫婦が現れた。
「天皇皇后両陛下からの挨拶があります」放送が終わると天皇陛下は微笑みマイクを手に取った。
「皆様、今日は遙々遠くから屋敷に來て下さり有難うございます。戦爭の荒々しい様子が最近は見られ、犠牲が出た事を深く悲しんでおります…そんな混狀態を一時休ませようと今日はお集まりして頂きました。疲れた心をお休ませくださいませ」
天皇陛下はマイクを皇后様に渡した。
「天皇陛下様が言われた通り…この日本は今 深い悲しみに溺れつつあります。皆様がどうか…どうか、立ち崩れる事がないようにと私は願っております。」
天皇皇后両陛下の話が終わると2人はステージから消えていった。あの2人が話していると自然と空気が浄化されたように呼吸がなだらかになったヴェルザは肩が軽くなっていた。
「ヴェルザ」
「…何ですか団長?」
「僕はエイダン殿とアルバ殿と話があるから別室で過ごす。時間が來たら団員はしづつ里帰りするだろうから、僕が戻ってくるまで待っていろ」
「分かりました…けど…里帰り?」
「休ませるために此処に來たんだ。これから先 何があるかは分からない。だからこうやって本土に降りた時は里帰りをさせるんだ…」
「そうだったんですか…」
「じゃぁ、僕は行く」
「行ってらっしゃいませ…」
ヴェルザはハイネがホールから出ていく姿を見てから考えた「……アルバ…暁?」ブツブツと呟いていると
「ヴェルザ」
振り返るとイグニスがいた。
「あぁ…イグニス」
「どうしたんだ?ブツブツと…」
「いや、1人言だ」
「そうだったのか」
イグニスはそう言うとヴェルザの後ろに回って押して行った。
「な、なにっ!」
「いーからいーから」
面白そうにイグニスはヴェルザを押して行くとそこにはアイ、メコ、グレイがいた。
「ヴェルザ!」
アイはヴェルに駆け寄り抱きついた。
「…く、苦しい」
「あ、ごめんごめん」
「ヴェルちゃんが來たね…でも済まないね。私はもう帰らないと行けない」
「…え?指揮 もう帰るんですか?」
「サラ指揮は住居が遠いらしいんだ」
「済まないね」
グレイは微笑みながら帰って行った。
「ほらほら!サラが居なくても楽しむよ!私が盛り上げてあげる!」
「よ!料理長!」
「えへへ」
たわいもない話をし続けた4人もイグニス、アイ、メコと帰って行った。他の団員も段々となくなっており最後にはヴェルザ1人が殘った。誰も居なくなったホールの椅子にヴェルザは座り団長を待っていたが眠気が出てきてとうとう寢てしまった。
「遅くなってしまった!済まないっ!」
ハイネはホールに走って戻って來たがヴェルザは椅子に座って伏せて寢ていた。
「ヴェルザ…?」
ハイネは肩を揺らすが起きる気配がないので運んで帰ることにした。
「スピリト殿…そのは?」
「アルバ殿、この子は僕の部下です」
「へぇ…面倒みがいいですね。お休みなさい」
ウキは微笑み街中に消えて行った。
「…大きくなったな、」
ハイネは自分の屋敷に帰り著くと空き部屋のベッドにヴェルザを寢かせ、部屋を出た。
「…似ている」
ハイネはアルバの姿を思い出した。
高層マンションの最上階部屋は何も無かった。リビングにソファとクッション。機にコップ1つと本2冊が置いてあるぐらいの空っぽの部屋にグレイはソファに倒れ込んでいた。
普通の一軒家に優しそうながイグニスに珈琲をれて差し出した。
「眩樓…おかえりなさい」
「ただいま、母上」
賑やかな中華街の中、中華料理店の2階ではメコが窓から中華街を眺めていた。
「明胡、明日 店を手伝ってくれ」
「うん、わかった」
小さな病院の1階 薬屋ではアイが男らしい男と若い男3人で話をしていた。
「、今のうちに聞いときな…」
「この薬はどう作るの?」
「あぁ、それはこの薬草を使うんだ」
靜かな洋館の焼けた跡のある一部屋でリアムは時計の音を目を瞑って聞いていた。
「…」
【書籍化】 宮廷魔術師の婚約者
★角川ビーンズ文庫さまより2022/06/01発売予定★ 今まで數多くの優秀な魔術師を輩出してきた名門スチュワート家に生まれたメラニー。 しかし、彼女は家族の中で唯一魔力の少ない、落ちこぼれだった。 人見知りの性格もあって、いつも屋敷の書庫に篭っているようなメラニーに、婚約者であるジュリアンは一方的に婚約破棄を申しつける。 しかもジュリアンの新しい婚約者は、メラニーの親友のエミリアだった。 ショックを受けて、ますます屋敷に引き篭もるメラニーだったが、叔父で魔術學校の教授であるダリウスに助手として働かないかと誘われる。 そこで発揮されたメラニーの才能。 「メ、メラニー? もしかして、君、古代語が読めるのかい?」 メラニーが古代魔術を復元させて作った薬品を見て、ダリウスは驚愕する。 そして國一番の宮廷魔術師であるクインも偶然その場に居合わせ、異形の才能を持ったメラニーを弟子に誘うのだった。
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