《No title_君なら何とタイトルをつけるか》過去❶

「おいでなぁ~!」「你好」「玩吧」「まん味しいよぉ?買ってかないかい?」店番の人々がチャイナ服や和服を著て呼びかけていた。人混みに挾まれながら結局ヴェルザは3時間ほどで倒れ込みそうになった。

「人…多すぎる!!」

路地裏にり座り込んでいるとお腹が鳴った。

「…お腹空いた。何処か店にろう…せっかく來たんだから観もしてみたい」

ヴェルザはを起こし重い足取りで店を探し始めた。數分後 中華街の店で1番豪華そうながらも趣のある中華料理店「幽玄」を見つけた。店から香ってくる懐かしい匂い…と扉付近のベンチで何かを見つめている青年がいた。ヴェルザは店の扉の前に立ち隣で座っている青年に話しかけた。

「…何を見ているんですか?」

青年はし困ったようにヴェルザを向く事無く答えた。

「僕は目が見えなくてね…ただ音を聴いているだけだよ」

「あぁ…だから包帯をしているんですね…見えるようになったら包帯が邪魔で見えないんじゃないんですか?」

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「ははは、君 面白い事を言うね…」

「何かお困りなら自分の食事が終わってから手伝いましょうか…?」

「…良いのかい?」

「えぇ、食事が終わってからなら」

青年は微笑み嬉しそうにした。

「有難う…此処で待っているよ。君が來るまで」

ヴェルザは店り目を見開いた。

「歡迎 臨!…おひと…り……ヴェルザ!?」

ヴェルザの目には以前より髪がび2つのお団子結びは無くなり変わっていない赤髪の狐目…。

「メコさん…」

「…ヴェルザ 久しぶり」 

メコは嬉しそうに笑い席に案した。

「えっと…麻婆豆腐をお願いします」

「OK し待っててね」

「…はい」

赤く金の牡丹の花柄のチャイナ服をヒラつかせながら料理所へ向かっていった。

「兄者」

「…なんだ?」

「知人が店に來たんだ。し休憩させてもらうよ」

「あぁわかった。今は人がないからゆっくりしろよ…」

「有難う」

メコの兄 ケイ(慶)は優しそうに微笑んだ。

「お待たせ、召し上がれ~」

「艦で…食べた事ある…」

「あぁレシピは同じだからな。たんとお食べ」

「いただきます」

辛口の麻婆豆腐はヴェルザの口を襲った。あまりの辛さに一気に飲み込み咳き込んだ。

「…ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...」

「あははははは、相変わらずだねぇアンタ」

悪戯顔に高笑いをしお腹を抑えた。

「ゲホッ…か、辛すぎます…!」

「對不起 對不起 あははははは。つい悪戯したくなってね…これなら甘口だから食べられるぞ」

メコはもう1皿差し出した。

「い、いただきます」

「どうだい…?」

「…味しいですよ」

懐かしい味にヴェルザはし安心した。メコはヴェルザの食べる姿をご機嫌そうに見つめていた。

「ご馳走様でした」

「…ヴェルザ し私と話をしないかい?休憩を貰っているんだ」

「…自分も話をしたいです」

店の2階の部屋からは中華街が見渡せた。

「…で?どうして急に現れたんだい?」

「…自分は宣言した事を実踐する時がきたんです。団長を探し出して 皆さんを招き戻すって…」

「それで私の所に…?」

「はい…アイに偶然會いまして…メコさんの居場所を聞いたんです…」

「そうかい…アンタは本気で団長を探し出すつもりなんだね…」

ヴェルザは真っ直ぐにメコを見ていた。

「…たださ どうするんだい?アンタだってニュースや新聞見ただろ?」

「はい…けど自分は…探し出します」

「いやいや…もし死んでいたら…!」 

メコは口を閉じ深呼吸をした。

「…なぁヴェルザ。昔話を聞いてくれないか?」

「…聞きます」

メコは話を始めた。

アイとメコが海上団に団する事になった話を…。

6年前

家が代々小さいながらも信頼を得ている病院を継いでいる栗符(グリーフ)家の(アイ)と兄の悠和(ユウワ)は訪問治療の手伝いを終え家へ帰っていた。

「お兄ちゃん 晝のご飯どうしようか?」

「んー…蕎麥がいいな」

「分かった」

アイは楽しそうに笑った。

「…?…っ!!おい、アイ!あれ…」

「ど、どうしたの…?…!」

ユウワが指さした方向にはが倒れていた。

「だ、大丈夫ですか!?お、お兄ちゃん!この子 病院まで運んで!」

「わ、わかった!」

を抱え2人は急いで病院に飛び込んだ。

「わ、私!看護師さん呼んでくる!」

ユウワはの顔を見て不気味に思った。

…看護師は必要ないよ」

「え…?…!!意識あるじゃん!?」

の目は確かに開いていて笑っていた。

「クスクス…お晝寢してただけなのに君達が大騒ぎしてあっという間に病院まで運ばれたとか笑うしかないよね?あはははははは」

アイとユウワは互いに見つめ合い気が抜けたように溜息をついた。

「す、すみません…早とちりしちゃって…」

アイは申し訳なさそうに謝った。

「あーいいんですよ。私があんな所で寢てしまってた事が悪いんですから…ところで、えっと…ちゃん?」

「は、はい?」

「実は私 今凄くお腹が空いているんです…」

その場にいた3人は空腹に気付いた。

「あ、あぁ…蕎麥!作りますね 俺もお腹空いちゃってるんで」

「申し訳ございませんね。有難う」

ユウワは急いで蕎麥を作りに行った。

「貴方 お名前は何て言うですか?」

「グレイと言うんです。どうぞ気軽に呼んでよ」

グレイは微笑みアイの顔に手をばし見つめた。

ちゃんって…可い顔してるねぇ、…!」

グレイは何かを思いついた顔をして言い放った。

「ねぇちゃん…君さ 働きに出ない?」

「…え?」

「私の仕事場は今 上司が変わってから何もかも変わっているんだ…今まで働いていた人達も辭めたり出世したりしててね…人手が足りない所が幾つかあってその中に醫務室の仕事があるんだけど…働かない?」

「ちょ、ちょっと話が急すぎて…!」

アイは混して頭を抑えた。

ちゃん…將來とかってどうしたいの?」

「…私は醫者になりたいの」

「へぇなら條件付きで提案するよ…見習いとして醫務室で働き…それで醫者としての実力がつけばその後は故郷のこの病院を継いでも良し醫務室で専屬の醫者として働き続けても良し…ちゃん どうですか?」

「んー…難しいなぁ私はその條件れても良いけど…お兄ちゃんが許すか…な?」

「え…そこは普通 お父さんとかが許さない流れなんじゃ?」

グレイは不思議そうな顔をした。

「い、いや…お父さんは許すよ…けどお兄ちゃんが…ちょっとね 心配で…」

グレイはアイの背後にいつの間にかいたユウワの顔を見た瞬間 笑いが襲ってきた…が場の雰囲気を壊すのは良くないと考え必死に耐えた。

…俺は反対だよ?」

アイは背後から聞こえた聲に驚いた。

「お、お兄ちゃん…あの…今の話聞いてたよね?」

「…許さないよ?に何かあったら…俺…」

「コホンコホン…お、お兄さん?まぁ可い妹さんの話聞いてあげてくださいよ」

「は?…貴方がにそんな話持ち込まなければこうはなりませんでしたよ?…ガキのくせに!」

ユウワは激怒してグレイに言い放った。

「お、お兄ちゃん!失禮でしょ!」

「……」

グレイは無言でユウワの顔面を毆りユウワは盛大に壁にぶつかり倒れた。

「チッ…たかが兄の分際のくせに妹の將來縛るのもどうかと思いますよ?それと私はちゃんと同じ14歳のガキだよ」

アイとユウワは信じられない顔をしグレイをよく見た。

「…え」

「信じてよ!!」

グレイは悔しそうにび封筒をアイに押し付けた。

「なんですか、これ!?」

「その封筒の中に特別な書類がっているんだ、ちゃん 君の意思が決まったらその封筒を持って1ヶ月後 大阪港に來てね」

「え…あ、はい」

「おい!ちょっと待て、俺は許さないぞ!連れて行くなら俺とタイマンして勝て!」

「…さっき私に盛大に毆られて倒れたじゃないですか…妹ちゃん 私が貰いますね?」

「…っ!!!」

「…!?」

ユウワはアイの肩を摑み泣きながら言った。

「ぶ、無事に帰って來いよ…マメに帰ってこいよ…?俺 いつでも居るからな…」

「お、お兄ちゃん…まだ1ヶ月あるから…」

グレイは蕎麥を食べること無く病院を出て行き道端で1人呟いていた。

「…1人目確保」

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