《No title_君なら何とタイトルをつけるか》過去❷

ガヤガヤとしたこの中華街の主とも呼ばれている里音家 先代の曽祖父(臣啓)が造り上げた一際目立ちながらも日本らしい趣がある中華料理店「幽玄」。

扉が開いた。

「あら、明胡(メコ)ちゃん おはよう」

「おはようございます。千代子さん」

千代子と呼ばれた向かいの店の主の婦人は優しく微笑んだ。

「今日も元気だねぇ…」

「千代子さんもいつも通り綺麗ですね」

メコは鬼燈に水をあげながら足元に近寄ってきた野良犬をでた。

「凪 今日も來たのかい?」

「ワンワン!」

「私は店の手伝いが今日は無いんだ。一緒に遊んでくれるかい?」

「ワン!」

犬は路地裏へと走って行きメコはそれを追いかけた。

「よし!凪!隠れんぼをしよう…!私が隠れるから見つけてな」

「ワン!」

メコは全速力で路地裏を走り回った。すると丁度いい空のロッカーがあった。メコはロッカーにり凪が探しに來るのを待っていたがすぐ近くで悲鳴が聞こえた。メコはロッカーから飛び出て聲のした方向へ向かうと驚いた。

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「ど、どうしたんですか?」

「い、犬!!」

は高い塀に登りメコに助けを求めてきた。

メコがに向かって吠える凪を抱えるとは塀から降り疲れた顔をした。

「いやぁ助かったよ…有難う」

「犬嫌いなの?」

「うん」

メコが凪をに近付けるとは驚き後退りし逃げる制を構えた。

「…!い、嫌だ!!」

「あははは、對不起 對不起」

は皮な笑いをされイラついた様子ながらもメコに問いた。

「…ねぇ君、此処の街に住んでいるの?」

「そうだよ。生まれてからずっと!」

「そっか、じゃぁ教えて貰いたい事があるだ」

「どうしたんだい?」

里音 臣啓という人を探しているんだ」

「…!その人 知ってるよ」

「そうなの?じゃぁ居場所を案してよ」

「なんで?」

「んー…仕事?かな?」

「…?まぁ、いいけど…アンタ名前は?」

「…私はグレイ」

「私は明胡(メコ)」

メコが凪に「帰って」と一言言うと凪は走り去って行った。グレイは気が抜けた様に溜息をついた。

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「さて、里音さんの所へ案してくれ」

「わかった」

複雑な路地裏を通り抜けるとたくさんの人々が観していた。

「賑やかでしょ?」

「そうだな…楽しそうだ」

幽玄に著くとメコはグレイを店の裏路地にある古民家へ導した。

「此処に住んでる…お邪魔します!」

メコが古民家へ無斷でるとグレイはし戸ったがメコについて行くと襖の前で止まった。

「臣啓爺さん!」

「…おりなさい」

部屋にると紳士そうな老人が1人 縁側に置いてある椅子に座っていた。

「お爺ちゃん!!」

「おや、明胡ちゃんじゃないか」

「…お爺ちゃん!?」

グレイは心驚いたが顔にも聲にも出さずに真剣に臣啓を見つめ封筒を臣啓へ渡した。

「…お嬢さんはどなたかね?」

「私はグレイと申します。里音 臣啓さん…団に戻る気は座いませんか?」

臣啓の目はグレイを探るようにいた。

「…海上団には戻らないよ。引退した時から戻らないと決めたんだ」

「どうしてそこまで…?貴方にとっては大きな利益じゃないですか。我々も貴方が戻って來るなら大きな利益を得るんです」

「…大切ながあるんだ。それを守るためには戻れない。お嬢さんにも守りたいはあるだろ?」

グレイは返された封筒を強く握った。

「……団には臣啓さんの意思を報告しておきます。…私の守りたいは海上団の中樞人なんです」

「お嬢さんの守りたいは私の意思が変わらない限り守れないんだね…済まないね。お詫びになるかは分からないが1つ占ってあげよう…」

「…占い?」

臣啓は目を瞑り、開いた。

「お嬢さんの守りたいはこれから先もっとたくさん増える…だから心構え給え」

「勝手な事を言わないでください」

「……」

グレイは部屋を出て行き殘されたメコに臣啓は返した封筒とは別の封筒をメコに渡した。

「明胡、私からのお願いだ。海上団に団しなさい」

「…!?何言ってるの?私は…店を継ぐつもりなんだよ?お爺ちゃんが戻れないから私に行けと?」

臣啓は微笑んだ。

「蟲のいい話だと思うが…明胡、幽玄を継ぎたいなら修行として行きなさい。慶も近いに見習いとして働き始めるだろう」

「なんで私なの…?」

「明胡には歳の近い子が周りに居ないからね…學校もろくに行ってないそうじゃないか?しは人との関わりを學んで來なさい」

メコは俯き冷靜になり考えた。

「…分かった。私 修行として団する…店を継ぐために」

「有難う。頑張っておいで」

メコはグレイを探しに街に行った。人の流れの中 1人だけ止まっているグレイが見えた。

「グレイ!」

グレイが振り向くとメコは腕を摑み路地裏へ引っ張った。

「…な、なに?」

「私がお爺ちゃんの代わりに団する」

「は?何を言ってるんだ、君が臣啓さんの曾孫だからって上の人間が許可するかは…!!」

グレイは返された封筒を開け文章を読んだ。

「…里音 臣啓が代わりとして推薦した者も了解する…!君も臣啓さんと同じ権限がある」

「そうだよ。だから私は幽玄を継ぐために修行として団する!」

メコはグレイの肩を摑み勢い良く言い放った。

「…修行としてなら海上団に君に向いている部署がある。料理所の仕事…人手が足りないらしいんだ」

「その仕事したい!!料理作りは得意なんだ」

「そうなんだ…じゃぁ1ヶ月後に封筒を持って大阪港に來てくれ」

グレイは嬉しそうに言うとメコの手を握った。

「頼んだよ、明胡」

「えっと、グレイ?いや、…」

「…サラ」

「サラも海上団にいるよね?」

「居る…私は海上団の終わりまで居るよ」

婆ちゃんになっちゃうよ」

「あはは…それでも私の居場所は海上団しかないから」

日が暮れ中華街は晝間とは違う賑やかさが出始めた頃、グレイは街を出て沿岸に建ち並ぶ工場地帯が見渡せる展臺から海を眺めていた。

「…2人目確保」

1ヶ月後

大きな手荷を持ったアイとメコが封筒を持って現れた。200人近くいる人混みの中 2人は肩がぶつかった。

「す、すみません!」

的に謝ったアイにメコも謝った。

「…こちらこそ免なさい」

「あら、貴方も推薦団?」

「え…?あぁそうだけど?」

メコはアイの持っていた封筒を見た。

「私もだよ。お互い頑張ろうね!」

「う、うん!」

その後 艦に乗り込み団式挨拶で臺に立ったに驚いた。

「続いて指揮からの挨拶となります」

「…あー、サラ・グレイと申します。以上」

短過ぎる挨拶に揺した新兵を気にせずグレイは臺を降りた。

「え、えぇと…これで団式を終了と致します」

「サラ!」

メコとアイは団長のハイネと一緒に居たグレイの所へ向かった。

「アイちゃんとメコじゃないか…団おめでとう」

「ちゃん付けなんてしなくていいよ…団長の前でその呼び方は恥ずかしいのよ…」

「グレイ、その子達は?」

ハイネはグレイに尋ねた。

「推薦団の子ですよ」

ハイネは2人の方を向き微笑んだ。

「ようこそ、海上団へ」

アイとメコは張気味にを張って敬禮した。

「じゃぁまたね」

ハイネが去って行くとメコはグレイを見つめた。

「…メコ?ど、どうしたの?」

「サラの守りたいのって団長?」

「…今まではそうだったけど今は変わった!私の守りたいのは…それぞれ違うる綺麗なものだ」

「なにそれ?」

アイは不思議そうに応えた。

「あはは、

グレイは藍の瞳をらせた。

アイとメコはそれぞれの場所でり始めた。

アイは醫務室で見習い看護師として醫師を目指すため勵み、メコは料理所で皿洗いからの修行を始めながらも用さと分りが早いという事で艦で行われている小さな部屋で武作りと艦長を目指して猛勉強をした。

その甲斐あって2人の意思は決まった。

「お兄ちゃん…私 海上団で軍醫としてやっていくよ。これが私の意思なの」

アイは攜帯電話を耳に當ててそう言うとユウワの戸いを無視して電話を切った。

「お爺ちゃん…私はもうし海上団で働く。ここで暮らす事が楽しいんだ…戻ってきたら私は自分の店を開くために頑張るつもりだよ」

臣啓のいる快晴の空に向かってメコはそう言うと料理所へ向かった。

 

お茶を飲み終わったヴェルザは立ち上がった。

「お話…聞けてよかったです」

「いや、聞いてくれて有難う。しだけ気が楽になった…団長については本當に無知なんだ。済まないね」

「…自分は諦めません」

メコは呆れ気味に溜息をついたが笑った。

「本當にアンタは頑固だねぇ…団長の居場所は知らないがイグニスの居場所は知っているよ」

「…!イグニスは生きているの?」

「あぁ、生きていたよ。國立図書館の司書をやっている」

「そうなんですか?」

ヴェルザはイグニスの生きていた事実に安心し気が抜けたのか足に力がらず床に座り込んだ。

「だ、大丈夫かい?」

「す、すみません…足に力がらなくて…生きていたんですね…良かった…本當に良かった…」

「あははは、しっかりしな」

メコはヴェルザの腕を摑み立たせた。 

「ヴェルザ、頼んだよ…」

扉を前にしてメコはそう言いヴェルザの背中を押した。扉が閉まるとメコは顔を手で隠し、降ろした手のひらは濡れていた。

「お待たせ致しました」

「…隨分遅かったね」

青年はゆっくり顔を上げた。

「自分は貴方に何をすれば良いですか?」

「…僕は君について行きたい。目的地があってね…でも何処だったか忘れてしまったんだ…きっと行けば分かるんだよ」

「良いですよ。自分はこれから長旅になりそうなんです…」

「丁度良かったよ…有難う」

青年は杖を持ち立ち上がった。

2人は賑やかな中華街を去って行った。

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