部屋に戻った炎はベッドに橫になりながら昨日の事を思い返した。

 (柑菜と闘った時、確かに俺は能力を使っていた。最初は信じられなかったけど、あの時俺の右腕に黒くてデカイ剣を付けていた。)

 炎は自分の右腕を掲げながら見る。今はごく普通の右腕。だが黒い剣を付けていた時何とも言えない覚があった。

 まるで自分のの一部になっていた様だった。

 「俺も異能力者だって事かよ！」

 『まあ、人間というのは深いものだ！力を使えるものはそれを己の為に使う。そればっかりは仕方の無い事なんだよ』

 ふと志村が言っていた言葉を思い出した。

 (俺も前は私の為に使っていたのだろうか？)

 そんな事を考えているうちに歯がゆくなってきた。

 今の自分は私利私の為に使おうとは思っていない。だが記憶を取り戻した時、自分はどんな行をとるだろうか？

 今みたいな気持ちを持ち続けられるだろうか？それとも自分ののままにくのだろうか？

 やがて炎の頭の中は疑問だらけになっていた。

「本當…の俺…は一…、どう…したい…ん…だ？」

 ベッドに橫になっていたせいかいっきに睡魔が襲ってきた。

 無論、睡魔には勝てずそのまま眠りに落ちた。

 ---燃え盛る炎。何処かで見た事ある景だった。大きな建が崩れ落ちていく。黒い煙が立ち込めている。

 「何だよ、コレ！！」

 周りを見渡して見ると沢山の人が倒れていた。

 「オイ！大丈夫か？」

 目の前に倒れている人に寄っていった炎。

 「！！」

 抱き抱えた時に手にヌメッとしたがした。

 手を戻して見ると炎の手には真っ赤なで染まっていた。

 「ハア、ハア、ハア！！」

 で染まった手を見て息が荒くなる炎。

 「---！---！」

 炎は必死に誰かの名前を大聲で連呼していた。

 誰なのか覚えていない筈なのに、顔も覚えていない筈なのに。

 すると後ろから誰か立っている気配がした。恐る恐る後ろを振り返る炎。

 グシャッ！

 後ろを振り返ろうとした時だった。その人は炎の背中に刃を突き刺した！

 「ゴフッ！！」

 その瞬間に大量に吐した炎。自分の腹部を見ると刀の様なが腹から飛び出していた。腹部は一瞬で自分ので赤く染まった。

 次の瞬間に一気に刀を背中から引き抜かれそれと同時に炎は倒れてしまった。

 『愚かな者よ！このまま己の炎と共に消えゆくがいい！』

 後ろからモザイクがかった聲が聞こえてきた。

 「だ…誰…だ！」

 腹部を抑えながら後ろを見る炎だったが痛みで目が霞んできた。

 薄っすらと聲の持ち主を見たが黒い影の様な姿が見えただけだった。

 『我は支配をむ者。貴様達はその礎にさせて貰う』

 痛みが徐々に増していき目の前も見えなくなってきた。

 「ふ…ざけ…ん………」

 そして炎の視界は真っ暗になっていった。