《BLOOD HERO'S》episode3 #13「決死の一歩」

 柑菜のびは炎には屆いていなかった。

 臓や骨が幾つか損傷していた。それがわずか一瞬の出來事だった。炎何をされたのか理解出來ていない。豪鬼の右腕が顔面スレスッレに突き出されただけの事だった。なのにその瞬間、臓やらんな発したかの様に瞬間膨張を起こしたのだ。

 「…ちとやり過ぎたかのお」

 豪鬼の顔を見ると先程までの狂気的で鬼の形相をした顔が消えいつもの強面の顔に戻っていた。

 (ああ、そうか。アレは暴走したんじゃなくって本気を見せてくれたのか)

 炎にはそう捉えられた。だがそれは栄な事かもしれない。

 実力の差が歴然としていた自分に彼は本気で戦ってくれたのだ。それならば謝をしなければいけないと炎は倒れそうになりながら思っていた。

 だがしかし炎は驚くべき行をとった。

 「…!!」

 倒れそうになった炎は右足を前に出し踏ん張ったのだ!その景を見て豪鬼を含めた全員が唖然としていた。

 もう立っているだけで一杯な筈なのに、ちょと押しただけでも倒れそうなのに…

 「…ココ…で倒れ…たら…この1ヶ月…やってきた…意味が…なく…なる…」

 炎は苦しそうな顔をしながらそう言った。その言葉は豪鬼に向けてなのかそれとも自分自に言っているのかは分からない。

 ただ、炎は決して倒れなかった。足がフラフラしているのにも関わらず全く倒れる素ぶりは見えなかった。

 (コイツ、何て執念や!手で押せば倒れそうっちゅうのに目だけは全く死んどらん!)

 豪鬼は炎を見つめながらそんな事を思っていた。

 「…ガッハハハハハ!!!!!」

 すると豪鬼は突然笑い出した。

 「その気にったで、炎!よう耐えたわい!!この勝負ワシの負けじゃ!」

 そして豪鬼は驚くべき発言をした。柑菜達はまたしても唖然としていた。

 「ええか炎。お前さんはいずれワシを超える戦士になれる。だから今の気持ちは忘れんなよ!」

 豪鬼は炎を褒め讃えた。しかし炎には聞こえているかは分からない。だが豪鬼は炎の事をたいそう気にってしまった様だ。

 「今日のところはもう休め。よう頑張ったのお」

 そう言うと豪鬼は炎を抱え醫務室に向かおうとしていた。

 「局長もすまんのお。ドアの修理代ならワシに請求しといてやー」

 そう言うと豪鬼は炎を抱えたままトレーニングルームを後にした。

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