《BLOOD HERO'S》episode3 #15「深まる謎」

 「実は彼の事を調べる為にまず戸籍を調べてみたんだ」

 「それで何か分かったんか?」

 豪鬼は志村を急かす様に問いかけてみた。

 「それが彼の戸籍が存在しなかったんだ!」

 「えっ?」

 志村の発言に全員驚いていた。特に柑菜と涼子は聲が出てしまった。

 「それってどういう意味ですか?」

 涼子は挙手しながら志村に聞いてきた。

 「本來戸籍はこの世界で生きてる証拠として必要不可欠なものだ。その戸籍がないって事は特殊な事があるって事なんだよ」

 「特殊な事?」

 柑菜は首を傾げて聞き返した。

 「可能としては偽名を使っているか死亡扱いされているかとかがありえるね」

 「そんな…」

 涼子は悲しそうな顔で返事をした。そうやって生きている人間というのはあまりいい生き方をしてきてはいない人が多いので今の炎をみていると涼子達には考えられなかった。

 「だからあの時監察署に送っておくべきだったんですよ!」

 すると細谷が割ってってくる様に口を開いた。

 「何やと?」

 豪鬼は細谷を睨みつけながらキレ気味に言った。

 「元も分からない様な輩を置いていてもし何かあったらどう責任をとるお積りですか局長?」

 細谷はずれたメガネを直し志村を怖い顔をしながら見つめていた。

 「オイ、何や細谷!局長に文句とは隨分えろーなったやないかー」

 豪鬼は更に睨みを利かせて言った。

 「豪鬼さんも隨分彼に執著してる様ですね。可い教え子が収容されるのがそんなに嫌ですか?」

 「何やと!!!」

 すると細谷の発言にブチ切れる豪鬼は立ち上がり細谷の襟を摑んだ。

 「オイ!調子に乗り過ぎやぞ若造!そんなにブチ殺されたいんか!おお!?」

 豪鬼のドスの利いた聲にビグともしない細谷は更に挑発してきた。

 「あなたも隨分野蠻になられた様ですね」

 その発言に豪鬼の怒りは頂點にきていた。豪鬼は拳を振りかぶり毆り掛かろうとした。

 「豪鬼さん!」

 すると志村が聲をかけた。豪鬼はその聲を聞くと振りかぶった拳を降ろし元いた場所に腰かけた。細谷はメガネを上げ話を戻した。

 「今からでも遅くありません。彼を監察署に送るべきです!」

 細谷の発言に豪鬼達は何も言い返せなかった。彼の言うことは正論であったからだ。得の知れない人間を同じ職場に置くのは極めて危険だという事を全員知っているからである。しかし志村がココで口を開いた。

 「君の言うことは最もかもしれない。だが彼の処遇はもうし様子を見てからにしたい。彼が我々に害をなすものなのかどうか見極めてみたい。それでどうかな、細谷君?」

 志村の発言に溜め息をらす細谷。

 「…お好きにどうぞ…」

 細谷は諦めたかの様に返事を返した。こうして炎の処遇は免れその日の集まりはこうして終わりを迎えたのだった。

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