《Astral Beat》ストーカーとしっぽと日常の間隙

 朝日がカーテンの隙間からこぼれる。

 

 昨日は警察の人達が家に來て、いm…弟が無事(?)だったと伝えに來たんだった。

 「そういえば、昨日は々異次元だったなぁ。」

 (いや、昨日のは悪い夢だ。俺はとても疲れているんだ。だって)

 「兄貴ー!飯ー!出來たー!」

 (はて、近隣に兄妹なんていたかな?)

 

 「………起きるか。」

 覚悟を決め、寢室を出て、仕事に向かう準備をしようと気合いをれる青年。

 嶺夜の実の兄で有り、唯一人の親である

神崎 樹逸(カンザキ キイチ)は、支度を整え、寢室を出た。

 「お、起きたな。飯は出來てるから。」

 ダイニングスペースにると、見知らぬ……

もとい、異能解除狀態の嶺夜が食卓に朝食を並べていた。

 この神崎家は、両親がいない。

 と言うのも、數年前、“何らかの原因”で殺し合ったのだ。

 

 いわく、それは本人達の意思ではないらしいが、今となっては真相は分からない。

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 それから、他に頼れるもいなかった神崎兄弟は、特殊災害関連事案被害者として、國から保護をけて、樹逸が大學を卒業して就職するまで施設にっていた。

 施設にっていた時から家事の類いは嶺夜がやっていた。

 なので、家事スキルがかなり高い。

 ………。

 「いや、ちょっと待ってくれ。何かがおかしい。」

 樹逸はビシッと嶺夜を指差して

 「お前元に戻れるだろ、何で散々嫌がってたらしいアルビノモードになってんだ。」

 「だってあれ、すーげー疲れるし。」

 「いや、こっちは調子狂うんだよ!」

 「知らんな。いいからさっさと食え。」

 そう言われ、仕方なく席につき、食事を始める。

 久しぶりに食べた弟(子)の料理は、いつもの馴染み深い味がした。

 とある住宅街の路地裏に、異形の影が一つ。

 その影を確認して、男は近づく。

 その瞬間鈍いが迸る。

 ガッと鈍い音がなる。

 「いきなり刃尾でご挨拶とは、また隨分と歓待されてしまいましたねぇ。」

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 「…なんだてめぇ。」

 「此れは失禮致しました。私は、とある方の眷屬の者で座います。」

 

 初老の頃だと思われるその男はそう名乗った。真名を明かす気は無いようだ。

 その男は刃尾を素手でけ止めたと言うのに、傷一つ負っていないようだった。

 「チッ糞が。何の用だ。」

 「実は、貴方が今狙っている彼の者。それの核を持ち帰り、此方に引き渡して頂きたいので座います。」

 「はぁ?」

 「我が主の意向なので座います。どうか此方の要を聞きれては頂けないでしょうか。もちろん、謝禮はいくらでもお出し致します。」

怪しい。

 この男は胡散臭い。それに、話が上手過ぎる。

 メインターゲットが自分のものと一致していて、おそらく自分よりも実力のあるであろう者が協力を要請して來ているのだ。

 単に自分の手を汚したくないだけかもしれないが、特災の連中だと言う可能もある。

 

 「心配して頂か無くても結構ですよ。我々もいわば貴方と同じ種の者ですから。」

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 その男が言う。

 信用は出來ない。………だが、利用されてやるのも悪くはない。………?

 「………良いぜ。請けてやるよ。出來たらだがな。」

 「では、契約は立で座いますね。其れでは、依頼が完了しましたら、此方にご連絡下さい。」

 そう言ってその男は一きれの紙を渡した。

 家を出た嶺夜は、久しぶりの學校へ向かう。

 

 無論、男モードだ。

 ちなみに、このモードだと、一切の異能行使が出來なくなる。

 ………………?

 今視線をじたような?

 (まあ、いつもの事か。)

 実は、嶺夜は、時折視線をじる。

 いつ頃からかはもう忘れたが、時々あるのだ。

 「まあ良い。學校へ行こう。」

 教室の戸を開け、教室にる。

 「うぉぉ!嶺夜がきたぞ!」

 「お前無事だったのか!?」

 「え!?大丈夫だったの!?良かったね!!」

 「いや、お前らちょっと黙れ。」

 騒がしいクラスメートを牽制して席に著く。

 「何だよつれねーなー。」

 「此方は疲れてんだよ。靜かにせい。」

 「ちぇー。久しぶりに會ったってのに相変わらず冷てーのな。」

 まだ絡んでくるうざったい奴は放っておく。

 そいつが何か文句を垂れていたその時、戸が開き、先生がってきた。

 放課後、クラスメートの話題になった以外は何事もなく學校生活を送り、帰宅部のエースである嶺夜は、復帰そうそう活を再開した。

 「そういえば、買いしてかなきゃな。晩飯どうすっかなー。」

 そんなことを考えてスーパーにる。

 考えてる事がおかんのそれなのはごだ。

 「タイムセールの卵も手にったし、ひきとかも安かったし、今日はハンバーグにしよう。」

 もうの子のがよいんじゃね?というのは法度だ。

 夕飯の獻立が決まったとこで、家路を急ぐ。

 兄が帰ってくるまでに、支度を済ませたい。

 とその時、 嶺夜はまた視線をじる。

 (…またか。最近多いな。このじ、近いな。)

 嶺夜は男モードを解き、食材をウエポンバッグに収納する。

 ウエポンバッグとは、原子作の応用で開発したスキルである。

 霊脈の中に一定量収納できる優れものだ。

 そして、気配のする方へ

 最速で、最短に! 真っ直ぐに、一直線に!!

                   ドガァァァァァン!!!

 「フぎゃあ!!?」

 「おら、捕まえた。」

 組伏せた不審者を観察する。

 近くから見ても分かりにくい、背景に完全同化する服に包まれた華奢なつきに、しだけ見える橫顔から、であると思われ……?

 「あんた誰?」

 「いったぁ。ま、まず降りて下さると助かります。」

 そう言われ、不審者から降りて距離をとる。

 その不審者はゆっくり立ち上がる。

 あんなじに取り押さえて、怪我させたのでは?などと考えたが、どうやらその心配は無いようだ。

 

 相手は只者ではない。

 おそらく、異能力者だろう。

 「お前何者だ」

 嶺夜がそう問うと、不審者のきが変わった。

 嶺夜は構えをとる。

 「あ、あぁ、」

「………。」

 「あ、あぁっ。嶺夜君に押し倒されて凄まれちゃったぁ。ハァハァ。」

 

 その瞬間、嶺夜のきは早かった。

 荷の中から攜帯電話を取り出し、電話帳を開き110番。

トゥルルルルル、トゥルルルルルル。

『はい、此方、警察署です。』

 「もしもし、今僕の目の前に、変態がいます。助けて下さい。」

 「……って!ま、待って!通報待ってぇ!」

 「………です。なるべく早くお願いします。」

 警察署にて、なぜか嶺夜は轍次から不審者、もとい、変態を紹介されていた。

 「………という事で、こいつが一斑の最後の能力者。上月 彩香だ。」

 「宜しくお願いしません。」

 「辛辣!!でも、そんなとこもハァハァ。」

 彩香は顔を赤らめ、息を荒げる。

 ………なんだこいつ。

 

 「コホン。失禮。では改めまして。ご紹介に與りました上月 彩香です。以後お見知り置きを。」

 

 「ん。宜しく。」

 「さて、講和が結ばれた事だし、釣りの件でも…」

 嶺夜はそこで、あることを思い出す。

 「そういえば、晩飯作らなきゃ!!兄貴もう帰ってるよな、悪い、急がなきゃ。」

 「あっ、それなら私がゲート開けてあげる。」

 「ゲート?」

 「ゲートって言うのは、テレポートの時時空を繋げるものよ。」

 「へー。上月さんの異能はテレポートなんだ。」

 「ええ。まあ、完全にイメージ出來るとこにしか跳べないんだけど。」

 へー。なかなか制限がネックだが、それでも十分………。

 「今なんて?」

 「え?完全にイメージ出來るとこにしか跳べないって…」

 ………そういえばこいつ、初対面で僕の名前知ってたな。

 「あの、何で面識の無い人間の家を完全にイメージ出來るのかな?」

 その瞬間、彩香は顔を赤らめ

 「……だって、ずっとストーカー(見て)きましたもの。」

 次の瞬間、目の前が真っ白になった。

 「ただまー。」

 「おかりー。遅かったな。」

 「ごめん。今作るから。」

 「いや、今回は俺が作っといたから。」

 見ると、食卓にはうどんがある。

 「俺のスキルだとこれくらいしか出來ないけど。」

 「いや、全然いいよ。頂きます。」

 嶺夜は兄の作ったうどんを食べる。

 「なあ、嶺夜。今日何か會ったのか?アルビノモードになってるが。」

 「………言いたくない思い出したくない」

 「本當に何があったんだよ……。」

 其から暫くして、居間でゴロゴロしてた時に、

突然攜帯電話が鳴り響く。

 轍次からだ。

 「はいもしもし。」

 『嶺夜か!今、街の郊外で異能新生の反応があった。すぐに本部に來てくれ!』

 「お呼びだし?」

 「みたいだ。行ってくる。」

 「気を付けてな。」

 「ああ。」

 街の郊外の山の中を蠢く巨大な影。

 は丸く、後方には長い首の頭に沢山の腕があるものが生えている。

 腳が四対あり、それは昆蟲のものと酷似していた。

 

 「なにこれ。格好いい。」

 「「「「「どこが!?」」」」」

 嶺夜の斜め上を行くに全員が突っ込みをれる。

 確かにそれは、普通のでは悪寒を覚えるような外見だが…

 「正面にある平面的な顔面のラリった目やイカれた表がこれの異常や怪を強く引き出している。また昆蟲を連想させる外骨格の腳やらかい丸いや後ろの頭のアンバランスさが

 「「アホな分析しなくていいから!!」」

 麻希と千奈が嶺夜の熱弁を遮る。

 能力者にもれられないほど、ぶっ飛んでいるらしい。

 「さすがに、此れは無いな。」

 「……嶺夜君がアレが格好いいというならわ、私だって……!」

 「や、無理に合わせなくても良いんじゃねぇか、嬢ちゃん。」

 

 

 そんな班員達を見て、嶺夜は一言。

 「何してるのですさっさと構えて下さい。」

 「「「「「お前が原因だ!!」」」」」

  そこで、異能新生く。

 後ろの頭で攻撃を仕掛けてきた。

 勿論、正面からけてやる義理は無いので、まずはかわす。

 「嶺夜!そいつは準最強種 複合異能新生        [ノメアロD]だ!」

 

 「そいつの攻撃はあんまり食らわないほうが良いぜ。複合とあってどんな効果があるか分からないからな。」

 「その上、補食もしてくるから!前出たとき二班の人が一人食い殺されたのよ!」

  「何それ、スッゲー。」

 一匹しいな。まあ、管理大変そうだがな。

 「まずはおじさんがきを止めるから、師の嬢ちゃんとフレイヤの嬢ちゃんは後方支援。前衛組は畳み掛けろ!」

 彰弍が指示を飛ばす。

 それに従い、麻希と千奈がそれぞれを詠う

 「戦禍の下の防人に、窮地をす加護をあたえん。祈り集いしこの名の下に、今一聲の祝福を授けよ。」

 「主を冠す我が名の下に、彼の者共に祈りを捧ぐ。黃金の涙と翼を贄に、魔を打ち払う力を與えん。《オーラ》!」

 

 なんだかファンタジーな詠唱のあと、前衛組にブーストがかかる。

 「行くぜ、おじさんの十八番!

式三十二番 外殻融解】!」

 彰弍の詠唱の後、ノメアロDの腳の外骨格が溶け、自重を支えきれなくなり、倒れ込む。

 だが、それでは止まらず、自在にする後ろの頭を素早くばし、後衛組を襲う。

 

 「させません。」

 すかさず彩香が前に出て、ゲートを開く。

 「自分のでも喰らってればよろしくてよ。」

 ばされた頭をゲートで反転させて、ノメアロDのに攻撃を流す。

 『ひんぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!』

 彩香の攻撃が命中し、ノメアロDが気の悪い悲鳴を上げた。

 

 「嶺夜、今のうちに畳み掛けるぞ!」

 「了解!」

 嶺夜と轍次はそれぞれ、能力を増強させる。

 そして、ノメアロDを毆り飛ばす。

 ぐちゃぁとの潰れる音がした後、大量の飛沫が上がる。

 「……特に手応えもありませんね。」

 「今回はかなりスムーズにいったからな。」

 と、その時、木々の奧から音が聞こえた。

 「……ッ!來ます!!」

 彩香が聲をあげる。

 次の瞬間、高速で何かが飛んできた。

 全員回避には功した。

 

 「!これってもしかして…!」

 「ノメアロDの食頭(しょくとう)か!?」

 その時、木々の間からもう一のノメアロDが表れた。

 「まさか、二目のお出ましとはね…。」

 「問題無い。ぶっ飛ばす。」

 千奈の言葉に嶺夜が返す。だが、それだけでは飽きたらず、最初のノメアロDの死骸が強いを出す。

 「…おい…まさか…!お前ら!今すぐ離しろ!!」

 だが、轍次の聲が屆く前に

 ドガァァァァァン!!!、

 死骸が発を起こし、全員吹き飛ばされた。

 

 しばらくの空白の後、しずつ意識が覚醒する。

 (…いったぁ。)

 かなり遠くに煙が見える。どうやら、遠くに飛ばされたようだった。

 「たく、いきなり発するとはな。」

 嶺夜はゆっくり立ち上がる。

 その時、後ろから何かが飛んできた。

 嶺夜は素早く腕を化させて攻撃を弾く。

 「……金屬のしっぽか。ついにきたか。」

 その主が闇の中から現れる。

 「ハッ、赤目の娘ってのはそう言う事か。」

 「ついにお出ましか。榎本。」

 

 

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