《Astral Beat》Weigh Anchor !!

 の香りに揺られ、海洋を突き進む影がひとつ。

 「………何で俺まで…」

 「さあ?ただ、兄貴は、〝両親〟のことが関連してるらしーけど。」

 「何で死んだ親のことで今さら……というか、お前大丈夫なのか?最近は病院にも行ってないみたいだけど。」

 その甲板で駄弁るのは、嶺夜と樹逸。

 「……まあ、大分楽にはなった。昔と比べりゃな。

それよりも、今はお偉いさんの用件が気になるな。」

 「…なあ、嶺夜。一ついいか?」

 「何?」

 「フォルムそれで男の口調で話すのやめい。なんか気持ち悪い。」

 「そんなことよりおうどんたべたひ。」

 ずぞっ、 ズズズズズゾ

 「向こう著くまで暇だと思うので、ただいまより異能魔について詳しく解説したいと思います!」

 そう音頭を取るのは麻希。

 船の食堂で偶然會ったので、嶺夜がについて質問したのだ。

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 ズズズズズゾ、ちるちるちる

 「いや、聞けよ。」

 「聞いとるぞ?」

 樹逸が突っ込みをれ、それに答える。

 だが、うどんは放さない。

 「んで、この前詠唱せず撃ったけど、詠唱しなくても良かったのか?」

 「そだねー。まず、詠唱が必要なのは、バフ掛けと回復のやつだね。この前の【落水】は、攻撃技だから、詠唱が要らないの。あとは、防系も要らないね。」

 「そーなのかー。」

 「そんで屬だけど、これは異能力のそれと同じだね。」

 ここで嶺夜はふと気付く。ここまでの話と矛盾した事象を知っていることに。

 「そういえば、千奈は攻撃技でも詠唱してたよな?あれは何でだ?」

 「ああ、千奈ちゃんはアレだね。創作魔ってやつだね。〔主人フレイヤ〕は元々魔を使う異能じゃない。でも、これと言って明確な攻撃手段があるわけでもないから、スキルで創ってるの。」

 「……なんか、これだけ聞くと異世界系のラノベの話みたいですね……。」

 麻希達の會話を聞いていた樹逸が言う。

 確かに、魔だのスキルだのといった話はそういうものでしかあまり聞かないだろう。

 「まあ、異能力自がファンタジーだからね。常識的には。」

 麻希が苦笑を浮かべる。

 と、ちょうどそのときだった

 遠くから何か歌のようなものが聞こえてくる。

それはまるで、どこかにい込むような、そんなメロディーだった。

 

 「……なんだ?これ…」

 その歌は徐々に近くにくる。

 それに麻希は何か心當たりがあるようだ。

 「これ…まさか歌人鳥セイレーン!?」

 「あ?セイレーンってアレか?北歐神話の?」

 「ええ。ただ、この海域には発生しないはずだけど……。」

 その歌は、船乗り達を海へう死の歌だった。だが、そんなことはあり得ないはずだ。日本において、信仰のない神話生が能力、ましてや単一活化個になるはずがない。

 

 「とりあえず、お前らはこれを長く聴いてんのはまずい。僕が甲板に出て叩き斬ってくる!」

 そう言うと嶺夜は、甲板に出るべく食堂をあとにした。

 人間のに、四肢が鳥。そんな魔が北歐神話に存在する。

 「…なんと言うか、あれは気持ち悪いな。」

 全部で5の群れが、船を囲んで飛んでいる。

 「あら、早いのね。」

 嶺夜が數を確認していると、千奈がやって來た。

 「まあ、これにノーリスクで近づけるのは俺達だけだからな。この船じゃ。」

 「そうね。じゃ、さっさと片付けるわよ!」

 「あの」

 「はい?なんでしょう?」

 「さっきの話で、魔って出てきたんですが、それってなんですか?」

 一方その頃、樹逸は、先程の麻希達の會話を聞いて疑問に思ったことを質問していた。

 「えーと、魔っていうのは霊力をもっと扱いやすい形にして使うものね。」

 「つまりどういうことですか?」

 「自然の力とか、生命力みたいなのを霊力って言うんだけど、それ単だと普通の人や屬がない能力者は扱いにくい。」

 「ほう。」

「だから、自分にあった形に霊力を変換して、水とか火とかの恩恵を使えるようにした。それが魔よ。」

 魔とは、自然の力や、自分の生命力を使ってファイヤーとかするやつらしい。

 

 そして、基本的な使い方はゲームとかのそれと同じらしい。

 「あれ?でも、それも異能なんですよね?普通の人が使えるものなんですか?」

 「あー。私のこれは、人間を魔特化にするために造られた人工能力だから。」

 そう言って麻希は苦笑した。

 船の上を旋回して飛ぶセイレーンの群れ。その中の一が、鉤爪を向けて嶺夜に突っ込んでくる。

 それを右に避けつつ居合い抜きで首を切り飛ばす…はずだったが

 思ったより勢が低く、狙いより下、つまりセイレーンの腹を捌いてしまった。しかも、太刀筋が狂って途中で一瞬引っ掛かってしまい、変なところへ飛んでった。

 飛んでった死はそのまま……

千奈の顔面に傷口を向けてダイブした。

 (あっ、やっべ。)

 死が顔面からずり落ちると、千奈は、頭からを被って首からセイレーンの腸を提げていた。

 千奈は怒気を孕んだ眼で嶺夜を睨み付け、小刻みに震えている。

 「……あーっと、似合ってますよ?その腸アクセサリー……。」

 「ぶっ殺してやる!」

 「ごめん」

 「殺す」

 「ごめんなさい」

 「殺す」

 「許して下さい、何でもしますから!」

 「ん?今〝何でもします〟って」

 「いや、〝何でもします〟とはいっ……たな。」

 だが、セイレーン達にはそんなことは関係無い。

二人がアホな茶番をしている最中にも、突っ込んでくる。

 「テイ。」

 突っ込んできたものの一を千奈が足下の死骸で叩き落とす。それをすかさず嶺夜が仕留める。

 「…とりあえず、後で私の部屋に來なさい。」

 「うぃ、うっす…」

 「あと殘りは三。あんた殺れるでしょ?私はシャワー浴びてくるから。もう魅了耐の結界は張ったし。じゃ、楽しみにしておいてねー。」

 そう言い殘して千奈は去っていった。はてさて、どんなお仕置きが待っているのやら、嶺夜は頭を抱える。

 仕方ないじゃん。素人なんだもん。

正直、剣何か修めてないし、アニメとかの知識や、獨斷と偏見で刀を振るっているのだ。度を求められても困る。

 「っと、囲まれたな。」

 いつの間にか三のセイレーンに囲まれていた。

嶺夜は刀を構え直し、蒼桜と共鳴する。こうして、最大限武能を引き上げると

 「死にてー奴からかかってこい!」

 それを皮切りに、三同時に襲いかかってきた。

 嶺夜は、それを上に跳んでよける。が、三は互いにぶつかること無くしっかりと嶺夜を追跡してきた。…どうやら、跳んだのは愚策だったようだ。

 一が、歌を歌って神汚染をしようとするが、質が虛無の嶺夜には効かない。嶺夜はそれを踏み臺にすると、霊脈回路で強化した腳力で蹴り飛ばして頭を捻り切る。嶺夜はその反で跳び上がり、

迫ってきた一を縦に斬る。

 甲板に著地すると、追ってきた最後の一を振り向きざまに貫く。今度は上手く決まった。

 「さて、これどうしようか。」

 そう嶺夜は呟き、塊で散らかった甲板を眺めるのだった。

 

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