《シュプレヒコール》9 現実逃避

この世界なんていっそなくなれば良いのに。

そう思うことが時々ある。

それがまさに今。

まさかインフルにかかるとは…

「母さんいねえしなぁ…」

そう呟いて時計に目をやる、まだ10時か。

その時、玄関チャイムが鳴った。それと同時に扉が開く。誰かと思い無理やりを起こす。

「俊?大丈夫?」

咲良の聲だ。

足早に階段を上がってくる音が聞こえる。

勢いよく扉が開く。

「大丈夫?」

「あぁ大丈夫だよ」

「はぁ〜よかった〜」

「心配してくれたのか?」

「あったりまえじゃん。そりゃ好…ゲホンゲホン…い、インフルエンザになったなんてびっくりだよ」

「ごめん…」

「逆転狙う俊はインフルエンザ 政治家上田はインフルエンサー 私は急いでイキギレジャネーカ」

「ボケるな!あと地味にラップ上手いな!」

「スポドリ買ってきたよ」

「ありがとう、咲良」

「良いよ良いよ、私はいつもお世話になってるし」

そのあと2人で雑談をした。

久しぶりに平和をじる瞬間でもあった。

だがこの後とんでもない事態が起こるとは誰も予想しなかった。

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