《エルフさんが通ります》拾った荷(人)

ぶっ飛ばした男は高く売れそうな上な服だけを剝ぎとってとりあえず転がしといた。そのため男は下著一枚だが。

うん、この服はり心地もいいし、きっと上なのだろう。なかなかに高く売れそうだ。

「それにしても私を見て年とは、目が腐ってるんじゃないですかね?」

『ねー』

しかし、これどうしようか。

再び気絶し、荷に逆戻りした男を見ながら私は考える。

とりあえず、金品は奪ったからこのまま放って置いてもいいんじゃないだろうか。

『ほうち? ほうち?』

「そうしましょう。かかわるのも面倒ですし」

「勝手に話を進めるんじゃない! というか誰と話をしてるんだ貴様!」

あ、起きた。

こんなに早く意識を取り戻すとは予想以上の回復力だな。

霊さんの聲が聞こえないとこを見ると魔法使いの素養は一切なさそうだけれど。そこは人間だから仕方ないか。

「よく見たらお前、人間じゃないのか?」

男の不躾な視線がどうやら私のエルフ耳のほうに集まってきている気がしますね。

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こういう視線はあんまり関心しませんね。

「そう言うあなたは人間ですね」

同じように馬鹿にしたように返事を返してあげました。すると苦蟲を潰したような顔を浮かべます。

ふふふ、ちょっといい気味ですね。

「僕を街まで連れて行け! 報酬がでるぞ!」

「報酬? あなた賞金首なんですか?」

首を持って行ったら賞金が出る人がいると言うのは聞いたことがありましたがまさかこんな冴えない人が賞金首とは……

世の中わからないものです。

「違う! 詳しいことは言えないが街まで僕を連れて行けばわかる」

「面倒ですね。でもあなたはドエムとして売ると私は心に決めたのですよ」

ドエムとして売れば多の金貨も手にるでしょう。銀貨しか見たことがないので楽しみです。

「ドエム? まさか奴隷のことか?」

「ああ、それです。奴隷です」

ドエムではなく奴隷だったようです。間違いは誰にでもありますよね。

「奴隷、そう奴隷です」

「なんで僕が⁉︎」

「戦利品だからですよ」

戦利品ならどう扱っても問題ないよね。

私の言葉に男はひどく揺しているようですが、下著一枚だからけないことこの上ないです。

「だから僕を街の騎士団まで連れて行け! そうしたら報酬で金貨をくれてやる! だから年!」

「ほほぅ」

『ほほー』

くれてやるという上から目線が気にりませんが金貨は気になるところです。しかし、こいつまた年と言いましたね。

「ちょっ! なんで頭を靴で踏むんだ! 痛い! 痛い!」

持ち上げた足で無様に転がる男の頭をグリグリと踏み潰すかのように力をいれる。

「私はお・ん・なです!」

「はぁ? お前がなわけないだろが! がないどころか抉れてんじゃいたぁぁぁぁぁぁぁぉぉぁぁ!」

私は自分での自ネタなら許すけど他人に言われるのはとても腹が立つのだ。

腕の一本や二本や三本折っても問題ないよね? ニンゲンダモノ。

「ちょっと待て! その角度は腕はまがらぁぁぁぁぁぁっぁあ!」

うん? 変な音が聞こえたような気がするけど気のせいでしょう。心なしか男の反応も鈍くなってる気もしなくもないですね。

そういえば……

「あなた名前なんていうんです?」

「いや、その前に間接を極めるのをやめてもらいたいんだが」

それもそうですね。とりあえず関節を極めるのはやめてあげましょう。

それだけで大分、楽になったのか男は小さく息を付く。

「クロードだ」

「普通ですね」

「名前に奇抜を求めてるんじゃない! あと、僕の服を返せ!」

「それは斷ります。私の戦利品です」

これは私が外の世界で初めて勝ち取った戦利品。譲る気は欠片もありませんね。

「わかった、ならばせめて上だけでも、この格好はさすがに恥ずかしいだが」

「仕方ありませんね。貸すだけです」

『ですです』

「ありがたい」

とりあえず上著だけ貸しはしたが下が下著一枚というのはなんともけないので結局下も貸してあげることにしました。私、優しい。

「それでお前の名前は? なんという」

「知らない人には話しちゃいけないってお母さんが言ってた」

「僕は名乗っただろ⁉︎」

「恩著せがましい」

「早く名乗れよ!」

なるほど。これが人間の若者という奴ですか。怒りっぽい奴らもいものです。

「リリカ」

『せいれーいです』

おお、霊さんが自己紹介を! これは凄いことです。

「ふむ、リリカか。お前は冒険者なのか?」

まぁ、目の前のボンクラには見えていないようですがね。ここまで素質がない人も珍しいんですがね。

それよりも聞きなれない単語が出ましたね。

「冒険者とは?」

「なんだ、冒険者もしらないのか? どこの田舎から出てきたんだよ」

どこかバカにされた気もしますが私は空気の読める。我慢しますとも。

しかし、確かに私は何も知らなすぎる気がしないでもないですね。

「あなたを街まで送るという話でしたけどけてもいいですよ」

「本當か!」

「ええ、但し條件があります」

「條件? 金貨では不服だと?」

クロードが怪訝な顔をしていますね。

まぁ、金貨も興味を唆られるんですがまず必要ながありますしね。

「街までの間でいいのでこの人間の里の報を教えて頂きたいのです。あと金貨も」

「金貨もか?」

貨は行くあっても困らないでしょ?」

私の言葉にクロードは苦笑するのだった。

幸いにも馬車の一臺は無事だった。さらにはそれを引く馬も元気だったため問題なくきそうだ。

馬車に問題はない。ただ、乗り手に問題がありそうなんだよね。

「僕は馬なんてれないぞ」

「私もないですね」

「「…………」」

二人とも馬をったことがないのだ。

仕方ない。

「ノリでやるしかないようですし、クロード、馬車に乗ってください」

「大丈夫なんだろうな?」

クロードの不安げな顔に私はにっこりと微笑み、業者臺に座る。そしてクロードが乗り込んだの確認した瞬間、私は備え付けられていた鞭を馬へと振るう。

「さぁ! 行くぞシルバー! 街に向かって!」

馬が一瞬だけキョトンとした顔をしていたがすぐにいななき、一気に加速。悪路をともせずに(シルバーは)疾走する。これは速い。

「いいぞ! シルバー! 風になるんだ!」

『そよそよ〜』

霊さんも大喜び、私も大喜び。

後ろではどうもなにかがぶつかりまくってる音がするけど気のせいだろう。

「このまま街まで直行よ!」

『ちょっこー』

シルバー? もヒヒーンと気分良く言ってるみたいだし、私たちは走しながら街に向かうのであった。

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