《エルフさんが通ります》國家特

ソファがダメになったのでクロードは自分の書類が山積みになった機の備え付けの椅子にため息をつきながら腰をかけた。

私と霊さんは先ほどまでクロードが座っていたソファに今は大人しく座っている。

「……それでどんな報がしいんだ?」

「あれ? さっきのソファを潰した分でなにも言わないかと思ったんですが? 意外です」

「……約束は守る。金貨は諦めてもらうがな」

そこは仕方ありませんね。妥協も必要ですし。

「教えてしいのは二つです。この中央大陸の國の位置、それと國の特です」

「中央大陸ということは知ってたんだな」

「知ったのは最近ですが」

薬を売ってる時に『これを捌けば俺たちも中央大陸一のバイヤーになれるぜ』とか言ってましたからね。

「なら地図を見せた方が良さそうだな」

そう言うとクロードは機から一枚の紙を持って私の橫に移し、それをテーブルに広げ、私に見えるように広げてくれました。

なにやら図形や恐らくは文字が書かれているのでしょうが全く読めません。

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「これは?」

「これはって…… 地図だよ。エルフは地図も見ないのか?」

「森の中だと霊さんが教えてくれますからねぇ」

となりの霊さんを見ると嬉しそうに飛び回っています。彼等霊は森の中ではなんでもわかるのですが森以外ではなんとなくしかわからなくなるようなのです。

「まぁ、僕も詳しいことはわからないがわかる範囲で教えてやるよ」

「よろー」

『よろー』

「さて今僕たちがいる街、ティスタナの場所だが俗に言う三大國家と呼ばれる大國の丁度真ん中あたりにある」

そう言いながら地図の丁度真ん中を指差します。

「三大國家?」

「ああ、と言っても他にも國はあるんだが大はこの三大國家と稱さているな」

三大國家と呼ばれるのは騎士のパラディアン帝國、魔導のザンナカンド法國、商業の國オオーキーニと呼ばれる國だそうです。

騎士の國パラディアン帝國。

俗に言う軍事國家と呼ばれる戦爭で領地を広げて來た國らしい。特としてはとにかく戦爭が大好きらしく魔法よりも騎士、戦士、冒険者が権威をふるっている國らしい。

「この國は貴族ごとに獨立した軍を持つことで有名な國だからな。腕に自信がある奴は平民でも騎士、戦士の稱號が與えられるんだ」

ティスタナから西の方を指差しながらクロードが話します。國、大っきいですね。

「そんなに民が増えたら國として大丈夫なの?」

「そのために戦爭をして領土を増やすという方針らしい」

戦爭で領地を増やし続ける國か、ゾッとしますね。手にれた領土で更に國力をあげるんだろうなぁ。

次にティスタナから左の方を指差し、名前を挙げたのは魔導のザナンカンド法國。

この國は魔法道マジックアイテムの生産が盛んな國らしく魔法使いだけでなく魔法技師が集まる街らしい。

「魔法技師って?」

「魔法道マジックアイテムを生することができる技者のことだ。魔法使いや騎士の様に自に戦闘をする力はないが魔法道マジックアイテムを使うことで先の二種の職業に匹敵する戦果を上げることもできるだろう

しな」

「へー、そんな魔法道マジックアイテムもあるんだね」

「あの國はとにかく魔とつくを徹底的に研究しているからな。ああ、あとダークエルフが多いな。極稀にエルフも見るみたいだ」

ダークエルフやエルフも関心がある街か。なかなかにこの國も興味が湧くね。

『わくわくー』

そして最後の國、地図の南を指差したのは商業の國オオーキーニ。

商人たちが集まってできた國で『同盟』と呼ばれる商人達が集まった組織が國を牛耳っているらしい。

その権力は國王すら無視できないほどとか。

「先の二國は表に対して強いがこの商業の國オオーキーニは裏で強いと言われている國だ」

「裏で?」

どういう意味でしょう?

「パラディアンとザナンカンドはあくまで見える力、武力で國を維持している。だがオオーキーニは商業力を力にしているからな」

「商業力?」

また知らない言葉が出て來ました。人間は賢いですね。

流…… と言ってもわからないか。用は食料、武料品と言う生きるに必要なの値段を商人が好きな様に弄ってるのさ。しかもそれはオオーキーニだけじゃなく、他國にもだ。小國なら軽い隷國になるほどだ」

「それは怖い」

お金怖い、商人こわい。

この國にはあまり近づきたくないじがしますね。

「ただ、特産が多い國でもあるな。タコヤーキやオコノーミなどもあの國の名だな」

「聞いたこともないけど味しそうですね!」

『うまうま』

食べって魅力的ですよね!

でも、この地図北の方は真っ黒なんだけど?

「どうして北には大國がないの?」

「北は魔族領と言われている。言わば人類の敵の魔族の國だからだ。地図を作ってるのは教會だからな。魔族の國を認めたくないという意味で黒く塗りつぶされているんよ」

「いろいろと面倒なんですね」

教會という組織も頭にいれとかないとね。あんまり対立したらまずそうだし。

『メモメモ』

そこまで話すとクロードはソファにもたれ掛かり大きく息をついた。おつかれですね。

「まぁ、僕の知ってるのはこれくらいだ」

「ありがとう。參考になりました」

『ましたー』

コンコン

「失禮します。お茶をお持ち致しました」

クロードの話を聴き終え禮を言ったところで扉が叩かれ部屋の主の返事を待たずにさっきの変態執事グランがってきた。

私は警戒する。すると橫の霊さんも警戒し始めたようです。キラキラといつもよりってますしもしかして威嚇してる?

「どうぞ」

「ありがとう」

グランが置いたカップには手を付けず禮だけを述べる。

そんな私とグランを見てクロードが笑ってます。なにがおもしろい。

「いや、それで君は今後どうする予定だ?」

「とりあえずはこの街で冒険者の登録をしようかと。ここでもできるよね?」

「もちろんできる。このティスタナは初心者の街としても有名だ。ランクを上げる依頼には事欠かないだろう」

ほほう。楽しみですね。

「では、屋敷に部屋を準備しましすか?」

「そうだな。この街にいる間は屋敷に……」

「いや、それはお斷りします!」

『ます!』

こんな変態執事グランのいる屋敷にいたいわけない。早々に立ち去らしていただきましょう。

「やれやれ嫌われたものですななぁ。ロリに嫌われるのは爺、心が痛みます」

わざとらしく噓泣きをするグランを警戒しながら扉に向かう。

「ああ、待て」

呼び止められ振り返るとクロードがなにやらペンを持ち羊皮紙に何かを書いているところだった。

やがて、書き終えたクロードは羊皮紙を軽く丸め紐で括ると私の元まで歩いてくる。

「これを持っていけ。紹介狀だ」

「紹介狀?」

冒険者になるのにそんなものが必要なんだろうか?

「ここは初心者の街だ。冒険者になりたがる者が集まる街でもある。これがあれば手続きにさほど時間はかからないだろう」

「そういうこと。ありがたくもらいます」

け取った羊皮紙を魔法のカバンマジックバックに適當に放り込む。若干、クロードの顔が苦笑いな気がするけど気のせいだろう。

「じゃ、また」

「うむ、君に霊の加護があらんことを」

クロードのそんな言葉に私は笑う。

「……とっくにけてるんですけどね」

『ねー』

私は笑いながら霊さんとクロードの屋敷を後にしたのであった。

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