《エルフさんが通ります》その傷は致命傷だ!

冒険者ギルド。

扉を開き、目の前に広がるのは一面の紅。

周囲には鉄の匂いが充満している。いくら拭っても取れることが無い。いや、減らない。

ぎぃぃと扉の開く音が響く。そこには武裝した二人の男がたっていた。

「な、なにがあったんだ」

男二人は中の慘狀を見て震えるながら聲をだします。

だから私は答えました。

「この中に犯人がいる!」

「主にというかどこからどう見ても主犯格は貴方です!」

ゴス! っと鈍い音が頭から響きます。頭を押さえ後ろを振り返ると握りこぶしを構えたフランが目にりました。

「リリカさん、あなたが連れてきた人! なんなんですか⁉︎ 塗れですよ⁉︎ 主に冒険者ギルドの床が!」

フランが怒り心頭で指差したのはそこいら中にあるだまりです。今現在私がモップで拭いているものでもあります。モップはすでに真っ赤っかです。

剣の突き刺さった人を引き摺り回し、冒険者ギルドにやってきたはいいんですが、吐を繰り返したりしてるので周囲はの海です。

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『……匂い気持ち悪い』

くーちゃんもぐったりした様子でカウンターの上に寢転がっています。

霊はの匂いがダメですからね。聞くところによれば自然霊は戦場には近寄らないらしいですし。

「というかですね? あの人だれです? 背中に剣が突き刺さって生きてる人なんて初めてみましたよ?」

「え、宗教狀の理由とかじゃないんですか?」

「……人のを鞘に見たてる邪教はなくとも私は聞いたことがないわね」

「宗教的理由ではないのですか」

あの剣は見たところ結構な大きさの剣です。なのに刀の七分以上が彼に突き刺さっていて剣先が貫通していないのです。

つまりあの剣は折れて突き刺さっているのかなんらかの現象で彼と一化していると考えられるのです。

「くーちゃん、なにかわかりますか?」

『んー、あの剣なんかいるよ』

くーちゃんは冒険者ギルドのソファにうつ伏せになり眠る(剣が背中に刺さってるから仰向けにできなかった)の子を気だるげに見つめながら言います。

また、曖昧な表現が來ましたね。しかし、何かですか…… 私の瞳には霊が見えませんから霊ではないでしょうけど、おとぎ話に出てくるような大悪魔でも出るんでしょうかね。それはそれで楽しみですが。

「背中に剣? それって赤髪のか?」

「知ってるの?」

先ほどってきた武裝した二人組みのうちの一人が椅子に座り注文を終えたあとに話しかけて來てくれました。

「ああ、多分だがそいつはマリーだな」

「あの『ブラッディマリー』か?」

「多分な、赤髪で背中に剣を突き刺してる奴なんて俺はそいつしか知らないな」

「ブラッディとはまた穏やかではない名前ですね」

塗れですよ。いや、今現在も塗れなんですけどね彼は。

「彼とパーティを組むと塗れによくなるからついた二つ名さ」

「ほう」

それは楽しそうですね。私のパーティに加えたい位です。

でも有名人ならパーティ組んでるんでしょうし。

「マリーさんはパーティを組んでらっしゃるんですか?」

「いや、聞いたことないな。基本的にソロだよ」

ソロ?

「ソロってなんですか?」

「クエストをけたりダンジョンに行ったりするのをパーティを組まずに一人で行う人のことです」

フランがすかさず説明してくれます。なるほど一人で戦う人のことをソロと呼ぶのですね。

なら、パーティが組めそうです。

「り、リリカさ〜ん! ひどくないですか! ボクを置き去りにして! おかげでボクいろいろとべんしょうさせられたんですよ⁉︎」

振り返るとアレスが怒っていました。がちっさいやつですね。

「それよりアレス、良い知らせですよ! 三人目が決まりました!」

「三人目よりボクの財布の心配をしてください!」

私の顔にアレスの顔が近づきます。め、目が走ってる。そこまで懐が寂しいというのも可哀想ですね。

仕方なしに私は自分の財布から貨を取り出そうとして固まります。

「どうしたんです? 銀貨八枚ですよ?」

アレスが手で催促してくる中、私は困りました。私の財布の中には銀貨二枚と銅貨が七枚しかっていなかったのですから。

「お、お金がない!」

「ええ〜」

そういえば最近いろいろと買ってたからな〜 それのせいかも。

しかし、ここまで減ってるとはお金って怖い。

「これは至急、マリーさんにパーティにっていただきミノタウロス狩りですね!」

「本當にやるんですか?」

アレス、長とは常に前を向いている者にしか訪れないんですよ? そんな嫌そうな顔するなよ。

「でも、マリーさんは了承してくれるのかしら?」

フランの疑問はもっともですね。

「とりあえず聞いてみましょう! てい!」

私はソファで眠るの子の背中の剣をけりつけます。

「がはぁ!」

の子は口から大量のを吐き出し、収まりかけていたの匂いが再びギルドフロアに広がります。

「「「お前は常識という言葉を知らないのか⁉︎」」」

みんなに怒られます。

起こして差し上げただけじゃないか。何を怒ってるんですかね。

反吐を吐いてのたうち回るマリー? を見ながら首を傾げました。

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