《エルフさんが通ります》切り札は隠すだけどやっぱり使いたい時もある
走る、疾る、はしる!
ムトゥの森を私達三人は必死に走る。
後ろを振り返ると右腕が剣と化した漆黒のミノタウロスが迫って來ていた。スリル満點ですね!
「重力魔法グラビレイ!」
後ろのミノタウロスに向かいアレスはすぐさま魔法をミノタウロスに向かい発させます。ミノタウロスに黒いもやがかかりきがし遅くなる程度です。以前のゴブリン達のようにけなくなるということはないみたいですね。
「チャンスですわ!」
しかし、そのきが遅くなった隙をマリーが見逃さず反転、剣ブラディアナがマリーので作り上げた刃を漆黒のミノタウロスの首元に疾らせた。
「なぁ⁉︎」
しかし、大木をあっさりと切り裂いた剣ブラディアナも漆黒のミノタウロスの皮を貫くこともできずに鈍い音を響かせるだけに留まりました。
「⁉︎ なんですのこのさ!」
マリーが驚愕の聲を上げているとミノタウロスが右腕を橫薙ぎに振るいます。空気を切り裂きながら右腕と同化した黒剣がマリーに迫りました。
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「うわ!」
悲鳴を上げながらマリーは頭を下げ回避します。それと同時に金屬が叩きつけられたような鈍い音が周囲に響きます。
「がはぁ!」
鈍い音が響くとマリーは冒険者ギルドで見たように大量のを吐きながら転がりました。何事⁉︎
「か、躱せましたけど背中の聖剣を叩かれてが……」
「なんて不便な……」
避ける時も聖剣の分も躱せないといけないとは…… 戦士職として無駄なきが多くなるのはどうなんでしょうね?
「重力魔法グラビレイ!」
アレスが再度魔法を唱えることでミノタウロスのきが完全に止まります。
しかし、ミノタウロスが黒剣を振るう、それだけでミノタウロスを押さえつけていた重力魔法グラビレイが消え失せました。いえ、黒剣に吸い込まれた?
「ま、魔法を斬った⁉︎」
『みたい〜』
すごいですね。あの剣。
あんな剣くれるとはさすが私の友達ですね。
『すごい呪いだよ?』
あれだけの武ですし、なんらかの対価がいるものでしょう。
しかし、アレスには魔法の才能が無い気がしますね〜 言い換えるとセンスがないです。
魔法が一つしかないのにそれを応用しようともしない。
神的には強くはなりましたが技面では心もとないですね。
「ふふふ」
『なにかおかしいの?』
「エルフのえげつない魔法をアレスに使おうかとね」
必死にミノタウロスの剣撃から逃げているアレスを見て私は笑います。
その前にまずは死んでもらっては困りますからね。
魔法のカバンマジックバックから買ったばかりの鉄の矢を取り出し番えます。
先程は木の矢でしたがこれならば貫けるでしょう。
「シッ!」
私の手元から離れた鉄の矢はアレスの腕を掠りながらもミノタウロスの左手に突き刺さります。
『BAGYA⁉︎』
ミノタウロスが驚愕の聲を上げます。
ふむ、突き刺さりはしましたが致命傷ではありませんね。
おっと今度はこちらですか。そんなに睨まないでしいですね。
『BAGYAAAAAAAAA』
「うるさいですね」
標的をこちらに変えたミノタウロスが剣を振り回しながら私の方に向かってきます。こんなのとまともにやりあいませんよ。なにせ私、非力な後方支援のエルフなんで。
ミノタウロスから距離を取るべく私も走ります。剣ブラディアナで切り裂かれていない森のほうへ。
走りながら魔法のカバンマジックバックから切り札を取り出しましす。
『それなになに?』
結構危機的狀況なんですがくーちゃんは私の取り出したものに興味津々ですね。
私が取り出したのは複雑な魔法文字が描かれた黒い手袋。そして私の最大にして最強の切り札です。
「これは私が使える古代魔導アーティファクト、『全てを弓矢にオールボゥです』」
走りながら取り出した古代魔導アーティファクト、全てを弓矢にオールボゥを右手にはめながら木に向かい飛びます。木の枝に著地した私は魔法のカバンマジックバックから以前から拾ったりして溜め込んでいた武の一つ、塗れのままの大剣を取り出します。重い……
そして全てを弓矢にオールボゥを付けた右手で塗れの大剣にれた瞬間、大剣がり輝き一本の銀の矢へと変わりました。姿が矢に変わることにより持ち上げられなかったほどの重さがなくなり私でももちあげられる程度の銀矢へと変わる。
『すごい! 形が変わった!』
くーちゃんが楽しそうに、そして興したような聲を上げます。
全てを弓矢にオールボゥ
この古代魔導アーティファクトはエルフの里に大事に保管されていました。いえ、誰も使えなかったのです。古代魔導アーティファクトは使用者を選ぶ。その言葉の通り里の誰もが選ばれなかったのです。
私以外は。
全てを弓矢にオールボゥの能力は至って単純。
全てを弓矢にオールボゥで摑んだは生き以外を矢へと変えることです。
例え、剣であろうが槍であろうが斧であろうが全てを矢へと変えるのです。
ふふふ、全てを弓矢にオールボゥの真価はこれだけではないんですけどね。
『魔法いる?』
「いえ、試し打ちも兼ねるからいらないよ」
『うい』
返事をしたくーちゃんは私の頭の上に乗っかります。すでに観戦ムードですね。
『BWAAAAAA!』
木の下から咆哮が聞こえると共に私はすぐさま橫の木に移します。次の瞬間、私が先程まで立っていた木はメキメキと音を立てながら倒れていきましたぬ。
どうもあちらさんかはかなりご立腹のようですね。
右腕の大剣の威力もなかなかのものです。結構な太さがあったと思うんですがね。あの大剣が凄いのか黒化したミノタウロスが凄いのか。
「まずは試しましょうか」
私は再び數度跳躍、一気に木々を移りミノタウロスとの距離を取ります。あんな近距離で筋の塊のような魔と戦うなんて馬鹿らしいですからね。
ある程度離れると私は先程作り上げた銀矢を弓に番える。
「さ、お食べなさい」
番えた銀矢から指を離し放つ。
銀矢は今まで放った弓矢同様に一直線にミノタウロスへと向かう。
それを確認した私はニヤリと笑みを浮かべるのであった。
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