《エルフさんが通ります》いってみたいなダンジョンに

特に的な別れなどもなくあっさりとティスタニアの街を出て半日。私とマリーは馬車に乗っていた。

買ったわけではなく街から街へと商売をする商人たちの馬車に便乗しているのです。

だって馬車買うと高いんですよ。というよりこの街で売っている馬車というのがいかにも貴族用達しと言わんばかりのゴテゴテと裝飾のついたものばからだったので私とくーちゃんは見てげんなりしたものです。

そのためどうやって街を移しようかということをマリーに相談すると呆れたような口調で彼は述べました。

「なんで移するのに馬車を買うという発想になるんですの。辻馬車を使うに決まってますわ」

そこで辻馬車の存在を知りました。

お客を乗せることを商売としている馬車のことを辻馬車と呼ぶそうです。

なるほど。人間はいろいろと商売を考えるんですね。さらに冒険者を乗せることで護衛代を浮かせるとは。

どうやら街の外は危険がいっぱいらしく魔や野盜などに襲われる馬車もなくないとか。

そういうわけで私たちは商人の馬車に護衛として雇われて乗っているわけです。

「コレが商人魂というやつですか」

「さっきから何を一人でブツブツ言ってるのです?」

「獨り言です」

『おっきい獨り言だね』

私が考えてることを口に出してしまったようですね。橫ではマリーが退屈そうに外の景を眺めてます。

まぁ、することも無いですしね。

私もさっきから弓の手いればかりしてますし。特に見るものないとこですし、いっそのこと何かが襲ってきたらいいんですけどね。

「退屈ですね」

「馬車の旅はこんなものですわ、がはぁ!」

マリーが吐しながら答えてくれます。さっきからひどくゆれますからねこの馬車。背中の聖剣が振デマリーのをえぐったのでしょう。

そうはいってもですね。まともに馬車に乗るのは二回目ですし多は期待したわけなんですよ。なんというかこ、冒険者らしさっていうものをですね!

「冒険者の移なんてこんなもんですわ。例外はダンジョンくらいじゃないかしら」

「ダンジョン?」

にまみれた口元をぬぐいながら答えたマリーに私は視線を向けます。

ダンジョン。

聞いたことはありますがどういうものなのかは全く知りませんね。

「ダンジョンに興味があるのですか?」

私の視線に気づいたマリーが尋ねてきたので私はコクコクと頷きます。

また未知の言葉ですしね。

「ダンジョンとは単純に言えば迷宮ですわ」

「迷宮?」

「ええ、いつ、どこに発生するかわからない迷宮ですわ。噂では街中にダンジョンへのり口ができたこともあるそうでその町は壊滅したそうですわ?」

なかなかに危険なんですね。しかし、

「なんでり口ができただけで街が壊滅するの?」

「ダンジョンのり口から魔が出てくるからですわ」

マリーの話ではダンジョンのり口からはそのダンジョンの魔が出てくるらしい。出てくる魔もダンジョンのランクによって違うそうですがランクの低い魔でも街中に出現するとかなりの脅威らしい。まぁ、それはそうでしょう。街にいる人全員が冒険者のように戦えるわけではないのですから。

「とまぁ、ダンジョンにはデメリットもありますがちゃんとメリットもあります。それが財寶や古代魔導アーティファクトなどです」

「古代魔導アーティファクトがダンジョンで手にるの?」

「極希にですがね。ですが古代魔導アーティファクトはとてつもなく希です。しかし手にれ売り払えば遊んで暮らせるほどの大金が手にりますからね。そのためダンジョンで命を落とす人はなくありません」

まぁ、手にれば遊んで暮らせるほどの大金が手にるとなると命を賭けるものなのかもしれませんね。

「ダンジョンにもランクがあるの?」

「もちろんありますわ。冒険者と同じようにF〜SSと設定されていますわ」

ほほう。それもまた興味をそそられますね。いつか挑んでみたいものです。

「でもリリカさんは行かないほうがいいですわ」

「え、なんでです?」

私行く気満々なんですけど。何なら今から。

「ダンジョンがどこにあるかもわからないのに? それにあなたトラップとか解除するスキルとか持ってますの? わたくしは持ってませんわよ?」

いや、そんな自満々に言われても……

確かに場所も分らないしな~

「何よりダンジョンは攻略を目指すなら最低でも五人は必要と言われていますわ」

「ふ~ん」

場所がわかったら一人でも行きますけどね。今は我慢しましょう。

「ダンジョンならこれから潛ることもありますでしょうし、今は我慢してくださいね」

「そうだね」

私は弓を構え野を放ちます。

風を切る音が響き渡ると続いて魔の悲鳴のような聲が続きました。

『めいちゅー』

「しばらくは退屈しのぎで魔でも狩っておきましょう」

引きつった表のマリーを見ながら私は弓を手にしたままあくびをするのでした。

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