《エルフさんが通ります》勇者、戦場に立つ

「ワァァァァァァ⁉︎」

落ちる! 墮ちる! 墮ちてる⁉︎

突然蹴られたと思ったらすごい勢いで地面が迫ってるんだが⁉︎ というか至る所で火柱とか上がってるし!

なんだこれ? なんだこれぇ⁉︎

悲鳴を上げている間にもドンドン高度は下がっていく。

「おおお⁉︎ 魔力解放!解放!」

殘っていた魔力を下に放ち落下の勢いを削る。そのままリリカから放られた剣を振るいモンスターを切り裂きさらに勢いを削る。

「い、生きてる」

腕がビリビリと痛むがとりあえずは生きてる。

しかし、息をつく間も無く周りのモンスターが襲ってくるが一応は切り裂いておく。

「勇者さま? 勇者さまだ!」

「おお、本當だ!」

さらについでに近場のモンスターに斬りかかり襲われていた奴を救出してやるとどうやら俺を知ってる奴だったようだ。

「みんな、勇者さまが來たぞ! これで勝てる!」

「ワァァァァァァ!」

「え、ちょっと⁉︎」

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なんかすごい盛り上がってる。

だけど今の俺は聖剣もないしどうもしようがないんだが。

「勇者さま、あちらの五名は勇者さまの従者さまでしょうか?」

「へ? 五名?」

兵士の一人が指差すのは黒の大剣二本を軽々と振り回し奇聲を上げている黒騎士、リリカ曰くシャチクとかいう俺のいた世界ではよくいる名前をつけられた首なし騎士デュラハンだ。

「休日殘業! 有給流し! ハイヨロコンデェェ!」

大剣が振るわれるたびに人かモンスターが切り裂かれ周りにの雨が降っていた。

そしてし離れたところでは白い鎧を著込んだ細の騎士のようなのが何かを振り回していた。ジャラジャラと音を鳴らしながら振り回すそれは鎖のようでその先には大の大人ほどの大きさをした鋭い突起がついたものが繋がっていた。

「リストラリストラリストラぁぁ! 業績がフルワナイモノはリストラダァァァ!」

あれはモーニングスター⁉︎ なんて範囲武を使いやがるんだ! メイドと味方をまとめて吹き飛ばしてやがる!

こちらはの聲ではあるが言ってることがシャチクよりも騒だな⁉︎ よく見ると背中のマントには日本語で「ザ・シャチョウ」と書かれているし、あれはもしかして名前はシャチョウなんだろうか

「ブチョウ、カカリチョウ! 昇進シタケレバ贄ヲ増ヤセ」

『ハイヨロコンデ!』

シャチョウのその言葉に周りで戦っていた二の黒騎士が大きく返事をすると周りに死を量産していっていた。

あれを従者と呼んだら俺の勇者のイメージがダダ崩れになる!

「あ、あれは援軍だ! ただ、ドラゴンからの借りだからな、言うことを聞かないんだ。あいつらの周辺には味方を近づけないようにしてくれ」

「ドラゴンからの⁉︎ それは頼もしい! わかりました全軍に通達してまいります!」

とっさにでた言い訳みたいなものであったがなんとか信用は得たようだな。

ま、勇者って肩書きだけでも充分信用されるだけの働きはして來たわけだしな。

「では勇者さま、早速前線へお願いします」

「へっ?」

『えっ?』

こいつらなに言ってんの!

見ろよ今の俺の裝備を! 普通の剣に普通の服だぞ? 聖剣も鎧もないんだぞ?

「勇者さまに最前線で戦っていただき他の兵を鼓舞していただかなければいけませんので」

え…… この裝備で行けと⁉︎

明らかにお前らより貧弱な裝備だというのに! こいつらは勇者を便利屋かなにかと勘違いしてるんじゃないのか!

「ささ、勇者さま、早く前線に行って弾除…… じゃなかった勇敢に戦ってくださいよ」

「や、やめろ! この裝備で行っても死ぬだけじゃないか!」

こいつら無駄に力が強い!

このままでは死亡ルート確定の前線送りになってしまう。

「ま、まあ、待て! まずは武と防を整えてからだ! 急いで來たからまともな武もないんだ」

「なるほどでは早く後方へ」

どうあっても前線に送りたいらしい。仕方ない。とりあえずはまともな武と防を手にしなければ! じゃないと如何に俺が勇者でも死ねる!

後方に向けて歩き出そうとした瞬間、俺の視界を熱を帯びた赤が染め上げる。

「なっ!」

「ブレスだと!」

俺はおそらく撃ってきたであろう奴がいる空を見上げるとドラゴンが旋回しており、背中に乗るフィーが目にった。

なぜかかなりの距離があるにも関わらずフィーの笑顔が目にり、さらにその瞳が笑ってないことに気づき、さらには口がく。

『後ろに下がるなんて許さないわよん?』

聞こえないはずなのにそう言ったと確信が持てる。このまま下がれば確実にフィーは俺を殺るつもりだ。

「くそ、前線に行くぞ!」

「は? あの武などはどうするんです?」

「それはまかせる、俺は勇者だからな、ぜ、前線で戦うさ」

「勇者さま!」

もう周りの奴らが崇拝みたな目で俺をみてくるが、俺生き殘れるんだろうか?

ため息をつき、頼りない自分の手にある普通の剣を見ながらシャチク達が嬉々として戦う死地へと重い足取りで向かうのであった。

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