《エルフさんが通ります》ちっさいことを覚えてますね〜

「すぐに追いつきますよって私をバカにしてるの! リリカ!」

「バカにはしてませんよ。バカだな〜と心のうちで思ってるだけです。外には出してないのでバカにはしていませんよ?」

「それをバカにしてるっていうのよ!」

ベシュが怒ったように足をバタつかせてます。そんな足を床に叩きつけるようにしなくてもいいとおもうんですがね。

いや、だってこの戦いが神聖な決闘かと問われたらハイとは言えないでしょうよ。どう考えても逆恨みとしか言えないし被害者は完璧に私です。

「今までの數々の仕打ち、わすれてないんだからね!」

「はて、なにかしましたかね?」

正直な話、まったく覚えてないんですよね。いや、覚えきれない・・・・・・というべきでしょうか?

「まさかあれだけ々なことをやってきたのに忘れてるっていうの⁉︎」

はて? なにがありましたかね?

「首を傾げてもやってきた過去は変わらないのよ! 昔、私が怪我をした時にあんたがポーションとか言って渡してきたやつのことも忘れたの!」

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昔、傷、ポーション。

ぐるぐると頭の中で言葉が回ります。

そして頭の中でなにがカチリと音を立てながらハマるような覚がはしると同時に私は手を叩きます。

「ああ、傷口拡大薬のことですか」

傷口拡大薬。

里にいた時につくった薬ですね。

効果は名前の通りに傷口を治すのではなく広げる薬です。

里にいた頃に狩りの績が悪かった私が作り上げた小さな傷でも獲を仕留める方法として作り上げた薬です。弓矢で刺さってできた小さな傷があら不思議。この薬を塗った矢ならみるみる傷が広がるという薬です。

「あれは大した怪我でもなかったくせにあなたが機に置いてあった試作のポーションを勝手に持っていっただけじゃないですか」

完全に私のせいではないはずです。

「それめちゃくちゃ要點省いて説明してるでしょ⁉︎」

「どこがですか?」

私は真実しか語ってないというのに何が不服だというんですか。

「まずあんたが機に置いたって言うポーション! あれが置いてあったのはたしかに機の上だったわ、ただし!私・の機の上だったでしょうが!」

あれ? そうでしたっけ?

「そうよ! さらに言うとあんたが置いてあったポーション! ラベルに普通にポーションって書いてあったわ! 本と同じような文字でね!」

あー、そういえば文字をコピーする魔法とかいうのが流行ってましたからね。それで確かにそういうのを作ってもらった記憶はありますね。

「それをり付けて私の機の上においたのあんたでしょ!」

そういえばそうでしたね。

しかし、そんな古い話を思い出して言ってくるとは心が狹い奴です。

「ちっさいこと覚えてますね〜」

「ちっさくないわよ! あれのせいで傷口が広がって酷い目にあったんだから!」

そんなこと言うなら過去の私に言っといて下さい。今の私に言われても困りますし。

「私は忘れてますので水に流しませんか? 復讐は何も生み出しませんよ?」

「今まさに復讐をしに行こうとしていた奴が言っても説得力なんて皆無なのよ!」

ちっ、説得は失敗のようですね。

仕方ありません。ならば実力行使に出るしかないようです。

魔ノ華マノハナの切っ先をベシュへと向けると彼を舐め 巨大を討つ剣ヴァングラミーを構えてきます。

「以前の私と同じとは思わないことね!」

「はいはい」

軽く答えましたが油斷はできません。以前よりベシュがに纏う闘気オーラと魔力が増えているようですからね。

「今から私が習得した新たな技を見せてあげるわ! はぁぁぁぁぁぁ!」

びを上げながらベシュが全の魔力と闘気オーラを漲らせていっています。そしてそれは混ざり合うかのように別なものへと変質していきます。

「これが私の新たな技! 魔力と闘気オーラの混合技! 魔力闘気マジックオーラ!」

「そのまんまじゃないですか」

ベシュは全に黃金に輝く魔力闘気マジックオーラを纏うのではなく構える 巨大を討つ剣ヴァングラミーへと注ぎ込まれていっています。みるみる魔力闘気マジックオーラは膨れ上がり先ほどまでフィー姉さんがしまくっていた闘気オーラと同じくらいの圧をじます。

「いくよ! リリカ!」

輝く 巨大を討つ剣ヴァングラミーを上段へと構え、猛然と私へと向かいかけてきます。

私は魔ノ華マノハナを構えるだけで笑みを浮かべてやります。

そして 巨大を討つ剣ヴァングラミーを振りかざしたベシュが私と錯し、そして、

ベシュは 巨大を討つ剣ヴァングラミーを振り下ろすことなく勢いよく私の橫を通過していきました。

そのまま大きな音を立てながら転がり壁へとぶつかりました。そしてピクリともかなくなります。

そんなベシュへと鼻歌を歌いながら近づき魔ノ華マノハナで軽く突いてみますがが上下してるので生きてはいますが意識はないようですね。

「誰がまともに戦ってやるものですか」

そう私は笑みを浮かべて告げてやるのでした。

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