《エルフさんが通ります》戦闘狂と一緒にしないでください
「あらリリカちゃん、ベシュとの戦いは終わったのかしら?」
ヴァンとともに暗い廊下を歩き先を進んでいると大きく広がる空間にたどり著きます。そこには湯気が上がるカップを片手にお茶を楽しむフィー姉さんの姿がありました。
「ヴァン、先ほど私に鬼と言いましたが訂正を求めます」
あれが鬼です。と口には出しませんがフィー姉さんを指さします。そんな私を見てヴァンはげんなりしたようにしながら同意するように頷いています。
「で、あっちの二人はどうしたんです?」
「私が戦ってたら急にこうなったのよぉ」
カップを手にしているフィー姉さんの橫には膝を抱えたクク、そして頭を抱えを震わせているゼィハの姿があり、
「ありえないありえないありえないありえないありえない…… 人のがあんなに簡単に……」
「噓よ噓よ噓よ噓よ噓よ噓よ噓よ噓よ噓よ噓よ噓よ噓よ! これは夢! 神がククに與えたもうた試練の夢に決まっているわ!」
などとしばかり現実から目をそらしている二人の姿が眼にります。
「あれ? くーちゃんは?」
「リリカ、あっちあっち」
我が親なる相棒の姿が見えないので視線を彷徨わせているとヴァンが私の服の裾を引っ張りフィー姉さんの足元を指さします。
『きゅー』
「あんなとこにいましたか」
フィー姉さんの足元にある赤い泉・・・にぷかぷかと浮かんでいるくーちゃんは眼をぐるぐると回し気絶しているようです。
「それにしても……」
赤い泉・・・からくーちゃんを引き上げ、改めて今いる部屋を見渡します。
「どんだけ暴れたんですか?」
至る所にアリエルが倒れており、床や壁、さらには天井にまでこびりつき赤い水滴を垂らしているのを見てため息をつきながらフィー姉さんに質問します。
「さぁ? 何人潰したかしら? 途中から面倒になって數えなくなったし」
まともな神経の人が今、この部屋の慘狀を目の當たりにしたのであれば卒倒、またはショック死するような景を作り上げておきながらフィー姉さんはさしたる関心もないようです。まぁ、まともな神経じゃなくてもトラウマになるような景ですがね。実際、ククとゼィハは立派にトラウマを作られたみたいですし。
「リリカちゃんこそすぐに終わったみたいだけど瞬殺ぅ?」
「バカな、フィー姉さんみたいな戦闘狂と一緒にしないでください」
「え〜?」
なんでそこで殘念そうな聲を出すんですかね?
私は楽をして勝ちたいんですからね。楽しく戦って勝ちたいわけではありません。まぁ、最近は戦うのが楽しいという気持ちもないわけではありませんが。戦った奴が人の原型がなくなるほど戦いたいわけではありませんし。
「まぁ、どうでもいいです。それよりフィー姉さん」
「なぁに?」
「あっちです」
「はぁい」
私が指をさした方向に向けてフィー姉さんがノータイムと言えるほどの速さで闘気オーラを纏い、さらには同様に瞬きする間に腰な鞘に収まっていた聖剣を抜きはなち、その刃に闘気オーラを疾らせると振り抜き、さっき同様に刃狀の闘気オーラを放ちます。
どうやら私にビビっとくる覚は魔の欠片を持つシェリーに反応しているようです。
『みゃぁぁぁあぁ⁉︎ おさまっと思ったのニィィィィィ⁉︎』
だってやっぱり指さした方向にシェリーがいたみたいですし。たった今天井に作り上げた大からシェリーの聲がおちてきてますしね。
「ふふふ、みゃぁぁぁあぁだって! まるで貓みたいね!」
一応は悲鳴が聞こえたんですがそんなことは関係ないと言わんばかりにフィー姉さんは楽しそうに笑います。
「じゃ、私は先に行きますのでフィー姉さんとヴァンはククとゼィハを頼みますよ」
「あら? いいとこ取りかしら?」
「トラウマを作ったのはフィー姉さんでしょう? だったら最後まで面倒をみましょうね」
「ぶぅ〜」
ほっぺたを膨らまして不貞腐れてもダメです。
それになによりフィー姉さんが先に行ったら私が復讐するぶんが無くなりそうですし。
「頼みますよ」
 「しかないわねぇ、可い妹のいうことは聞いてあげるわ」
「承知」
快諾? した二人に頷いた私はフィー姉さんの開けたに向かい、全に魔力を纏いながら跳躍し飛び込んで行きました。
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