「な、なんですの⁉︎」

飛び出してきた黒い影は驚き、を直さしたシェリーへと躊躇いなく飛びつき、羽締めにしています

『あれってどこでも自くん？』

「そうですよ」

から飛び出してきた黒い影の正は先ほどまで散々シェリーを破で転がし回っていた私の姿をしたどこでも自くんでした。

すでにいないものと思っていたのかシェリーの顔が驚愕、そして焦りと恐怖が混ざり合ったような非常にそそる表を浮かべてどこでも自くんを凝視していました。

「あ、あれで全部なんじゃ！」

「誰もあれで全部なんて言ってませんよ？」

シェリーが勝手に発するのはあれで最後と思っただけですよね。

「そもそもの話ですね。敵である私の言葉をやすやすと信用するのが悪いわけなんですよね」

「ぐぬぬぬぬ！ 卑怯者！ 最終決戦くらい正々堂々と戦いなさい！」

「はははは、面白いこと言いますね？ あなた魔王でしょ？ 魔王なんだったらどんな手を使っても倒すべき存在じゃないですか？ だって悪だし！」

『やっぱりリリカが魔王なんじゃないかな？』

まじまじと私を見ながら言わないでくださいよ。

「ふん！ こんな以前の私わたくしならともかく今の魔の欠片の魔力で強化された私わたくしには効きませんわ！ 先ほどだって致命傷には程遠いものでしたわ！」

そうでしょうともそれが普通のどこでも自くんであるならば先ほどと同じようにあなたの服を剝ぐくらいですんだでしょうね。ですがそれは普通のどこでも自くんではないんですよ。

「な、なんでこいつ剝がれないんです⁉︎」

さっきから必死にをかしてもがいているようですがシェリーにしがみつくどこでも自くんの腕を離すことすら功していません。

「し、しかもなんか魔力が纏えないんですけど……」

ええ、今ならば確かに目に見えてわかるほどにシェリーのを覆っていた魔力が凄い勢いで減っていってるのがわかります。そしてその魔力を吸い上げるかのように特別どこでも自くんが膨れ上がっていくのもよく見えます。

『あれ膨らんでない？』

「ええ、拘束した対象の魔力をひたすらに吸い続けますよ」

ゼィハに新しく作ってもらったどこでも自くんはれている対象の魔力をひたすらに吸い続けるといった代です。

いかに魔の欠片で魔力が増やされているシェリーといえどもひたすらに魔力を吸い続けられると防も攻撃あまわもできませんからね。

魔力があれば全を高度の魔力で纏って防したり、放出した魔力で吹き飛ばしたりすることができたでしょうね。今まで通りのどこでも自くんならば。

しかし、今シェリーにまとわりついている特別どこでも自くんはゼィハが開発に二ヶ月も費やした新作ですからね。そうやすやすと破壊されるような代ではないわけなんですよね。

『あ、悪い笑顔だ！』

「おっといけない」

ついにやにやとしてしまいましたか。

「むー！ むー！」

さてシェリーはというと膨れ上がるどこでも自くんに埋もれておりすでに姿が見えなくなってきています。聲だけが聞こえてくるような狀態ですね。

『あれどんだけ膨れるの？』

「…… 限界値はあるとゼィハは言っていましたかここまでとは」

ここまで膨れ上がるというのは聞いていませんでしたから私も驚いています。驚いてはいますがシェリーの間抜けな聲をきくと笑ってしまうのですよね。

「しかし、このまま見てても面白くありません。くーちゃん、風の魔力で防壁を張ってくれます？」

『いいけど何する気？』

尋ねながらも風の防壁を張ってくれたようで私の周りの空気の流れが明らかに変わります。

それを確認した私は手にしていた魔ノ華マノハナへと弓の形のイメージを送り、魔ノ華マノハナを刀な形から弓の形へと変化さします。

「なにって」

弓を構え、さらに魔力で弓矢を作り番えます。狙いはもちろん膨れ上がったどこでも自くんに覆われているシェリーです。

「魔力を與えて限界値を超えさして発刺すんですよ」

『え？』

魔力で作り上げ、番えた矢を手放し放たれた矢はどこでも自くんへと突き刺さり霧散します。どうやら魔力は吸われたようですね。その証にどこでも自くんはかなり膨れ上がりましたから。

「むー！ むぅぅぅぅぅ！」

『なんか悲鳴が大きくなったよ？』

「聞こえませんね」

まだ発しないとは。どんだけ限界値が高いんでしょうか？ まぁ、発するまで打ち込むだけですがね。

さらに數発、魔力の矢をぶち込んでやりますがひたすらにどこでも自くんが膨れ上がるだけです。

やがては完全にシェリーの姿は見えなくなりうめき聲も聞こえなくなっています。目の前にあるのは無様に膨らんだ私の姿をしたどこでも自くんだけです。その大きさはかなりの高さがあったはずの天井にまで屆き、ミシミシと嫌な音を響かせています。

「まだ発しませんか」

『こ、ここまで膨れ上がったのが発したらどうなるの？』

私は呆れ気味に、くーちゃんは恐怖をしたような聲を響かせます。

「全く！ どういうことなんですかね！」

いつまでたっても発しないことにしばかりイラついた私は渾の魔力を込めた魔ノ華マノハナを刀の形狀へと戻すとそのま魔力を宿した刃を全力で醜く膨らむどこでも自くんへと向かい放り投げます。

放り投げた魔ノ華マノハナはどこでも自くんへと突き刺さり、そして、目の前を白い閃が疾りました。