《エルフさんが通ります》ぷるんぷるん

黒い閃が疾る。それに遅れるようにして白い閃も疾り火花を散らす。

その景だけを見れば綺麗なものに見えたことでしょう。そう、周りが焼け焦げていることや剣尖を繰り出すのが一方的であるということに目を瞑りさえすればですが。

『やっぱり悪魔ってリリカのことだよね!』

「そんな斷言されても私は非常に困るんですが? というか私はなんと返答すればいいんですか?」

くーちゃんとたわいのない會話をやりとりしながら私は魔ノ華マノハナを振るいます。今の魔ノ華マノハナは鋼糸狀になっており、私が振るうたびにどこかしらを容赦なく切りにしていきます。

そんないつ死んでもおかしくない舞踴の中をひたすらにシェリーは駆けています。

で。癡確定の格好で。

恐らくはとんでもない熱さになっている白ノ華シロノハナを握りしめているためか周囲にはの焦げる臭いが充満していきます。そんな中、走るたびに彼のある場所にある二つの脂肪が音を立てるように揺れます。

ぷるんぷるん

「ちっ」

『なんで押せ押せムードなのに舌打ちしてるの?』

なんとなくそんな音が耳に聞こえてきます。おそらくは幻聴。ですが腹が立ったのできやすくしてやるべく魔ノ華マノハナでシェリーのを重點的に狙ってやります。風をきるような音が響き、鋼すら容易に切り裂く糸狀の魔ノ華マノハナがシェリー()にめがけて殺到していきます。しかしそれはまるでに目が付いているかのような神がかった回避行をとるシェリーに躱されてしまいました。

ぷるんぷるんぷるんぷるん

「ちぃぃ!」

『だからなんでさっきよりも大きな舌打ちをしてるの⁉︎』

いくら攻撃をしてもだけはかすりもしませんね。他の部位には傷をしづつ増やしていっているというのになぜです! この當たりそうで當たらないというのはかなりイラっとしてしまいます。

「あの脂肪には何らかの防の加護でもついているというのですか!」

『だからなんでそんなに興してるの!』

「こうなったら串刺しです!」

鋼糸狀に展開し攻撃を繰り返していた魔ノ華マノハナを刀の形へと戻します。それを見たシェリーは好機とでも考えたのか一直線に私へ向かい駆け出します。

「切り裂くのは無理でしたが今度は串刺しです! びろ、魔ノ華マノハナ!」

魔ノ華マノハナの切っ先を駆けてくるシェリーへと向け、刃をばします。瞬きをする間も與えるつもりもない最速の一撃です。

しかし、それすらもシェリーはどうやったのかわからないほどのギリギリで幾度となく躱し、を揺らしながら疾走を続けてきます。

ぷるんぷるんぷるんぷるんぷるんぷるんぷるん

「嫌味ですかぁぁぁぁ! あのはぁぁぁぁ!」

『だからリリカは何に怒ってるのさ!』

地団駄を踏む私にくーちゃんもイラついたような聲をかけてきます。それに対して私はイラつきながらこちらに向かいを揺らしながらかけてくるシェリーを指さします。

「あいつ! これ見よがしにを揺らしながらこちらに向かってきてるんですよ⁉︎ あれはしばかり小さい私に対する當てつけですか⁉︎ 嫌がらせですか⁉︎」

『え、怒ってたのはのことだったの⁉︎』

ええ、今の私にはそれしか恨みがありませんね。全てにおいて私の方が明らかに上だというのにあのは!

「唯一勝ってるを強調してくるとはなんて格の悪い!」

『リリカに言われたくないよね多分』

音を立てながら迫る脂肪の塊にイラついている間にかなりの距離を詰められてしまいました。

ち、この距離ではもう串刺しにするにも微妙です。

「呪え、魔ノ華マノハナ」

こうなったら切り飛ばしていや、消し飛ばしてやる以外この怒りが収まる気がしません。呪いが刀に行き渡り真っ赤に染まった魔ノ華マノハナを構え、こちらに向かってくるシェリーへと振り下ろします。

その赤い刃を白い刃でシェリーはけ止めますが両手でけ止めたシェリーの方が膝をつきます。

「ぐぬぬぬぬぬ!」

「もうそのについてる醜いを見るのも腹がたつから消しとばすとしましょう」

『完璧ひがみだよね?』

「きーこーえーませーん」

呪いの刀へと魔力を注ぎ込み、紅い魔力が刀から溢れだします。

その魔ノ華マノハナに集まった真紅の魔力を見てギョッとしたような顔をしたシェリーですがそれを見て私は昏い笑みを浮かべます。

「消し飛べ、駄!ゼロ距離リリカビーム!」

魔ノ華マノハナに圧され続けていた紅い魔力を接している白ノ華シロノハナを持つシェリーへと解き放つのでした。

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