《エルフさんが通ります》へっくち
膝をつき、白ノ華シロノハナで魔ノ華マノハナの刃をけ止め、苦悶に歪めていた表が驚愕へと変わったシェリーの顔を放出し続ける魔力越しに見た私はどことなく心が晴れやかになるのをじました。
「いい! いいですよその表! 信じてたものが崩れたその瞬間に見せたかのようなその表かおは素晴らしくそそりますよ! シェリー!」
『うっわー、元々格が歪んでた気がしたけどさらに酷くなってるじがするよぉ』
ただの魔の欠片、いえ、私の保有する三つ分の魔の欠片が掌の上で円を描きながら回っているだけならばシェリーもここまで驚愕に歪んだ貌を浮かべることはなかったでしょう。
ですが、私の掌の上で回る魔の欠片の數は五つ・・。シェリーの予想より二つ多いわけなんですからね。
「なんで…… なんであなたが五つも所有していますの!」
「ははは、そんなの簡単ですよ! と答え合わせのその前にシェリー、あなたに聞きたいことがあるんですよね」
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私がしばかり上から話をするとシェリーはをビクつかせ、オドオドとした様子で私を見上げてきます。
「な、なんですか」
「なに、簡単な質問ですよ。あなたが初めて魔の欠片を手にしたのオリハル山でのことですか? それとも他の場所ですか?」
「その質問になんの意味が……」
「へっくち!」
言い返そうとしたシェリーでしたが私がくしゃみと同時に鋼の加護を用いて作り出した大量の針に魔力を込め、周囲に撒き散らし軽〜く破壊活を行って上げます。音が響き周囲にはただでさえが開きまくっていたのが、さらに増えました。
「すいません、くしゃみがでました。で、質問の答えを知りたいんですが? それ以外の言葉を聞くとまたくしゃみが出て今度は狙いを違わず貫きかねませんがいいですか?」
「くっ」
   悔しそうに顔を歪めながらも肯定するかのようにシェリーは靜かになります。
   今の魔ノ華マノハナの魔力放出をけ止めるのが一杯のシェリーでは全方位に自在に攻撃できる鋼の加護に対応はできないでしょうからね。
『ねえ、リリカ。対話って言葉を知ってる?』
「もちろんですよ。今まさにしていることですよね」
『刃で押さえつけてき取れないような相手にさらに攻撃の手段を見せつけるのが対話⁉︎ 今リリカがやってるのは脅迫って言うんだよ⁉︎』
見解の相違ですね。
「へ〜 今私がしてるのが脅迫だと? どう思いますか? シェリー、今のこの狀況は対話だと思いますか? それとも脅迫だと思いますか?」
再び鋼の加護で魔力を込めた大量の針を作り上げ、それらを宙に展開、その先端全てをシェリーに向け質問してみます。
今の私はどこからどうみても文化的に対話をこなしているという自負がありますよ。
「さて、どこまで話しましたかね? ああ、そうですそうです。質問していたところでした。さ、答えをどうぞ」
わざわざ答えやすいように笑顔を浮かべながら尋ねてあげます。
ああ、いい顔です。屈辱にまみれた実にいい顔ですよ!
「…… オリハル山でが初めてですわ」
「なるほどなるほど」
「さあ、答えましたわ! なぜあなたが五つも魔の欠片を保有しているんですか⁉︎」
「せっかちですねぇ、ちゃんと教えてあげますよ」
あなたの馬鹿さ加減と間抜けさをね。
「あなたの言う通り私が保有する魔の欠片はゼィハのとこで見つけたもの、ヴィツーから奪ったもの、そしてあなたが寄越したものの三つでしたよ。ですがね」
そこで言葉を止めた私は口元だけを歪めて笑みを作ります。
「殘りの二つはオリハル山・・・・・で手にれたですね」
『どういうこと?』
「なに、簡単な話ですよ。シェリーがとった魔の欠片を私が手にれただけなんですから」
「ど、どういうことですの⁉︎」
ふむ、ここまで言ってもわからないんですか。普通に答えをいっているんですがね。理解ができないんでしょうか。
「言葉通りです。いや言葉足らずでしたね」
正確には違いますからね。
「あなたがとったつもり・・・でいた魔の欠片ですね」
「とったつもり……」
ここまで言っても理解していない。これは気付いていなかったようですね。
「そうとったつもりですよ。私がこの殘りの魔の欠片を手にれたのはあなたと同じオリハル山です。そしてあなたと出會った時に何があったのか? ここまで言えば判るでしょう?」
ニヤニヤとした笑みを変わらずに浮べながら私はシェリーの反応をうかがいます。するとシェリーの顔には全くと言っていいほどに何も表が浮かんでいませんでした。
「私がこの魔の欠片を手にれたのはオリハル山のあなたが放置して去った自稱四天王の死のうち二つからなんですからね!」
『えっ、死からとってたの!?』
まぁ、手にれたのは偶然でしたけどね。シャチク同様の人形を作ろうとしていたらたまたま見付けてそれを魔ノ華マノハナが吸収したときに気づいたんですから。
「しかし気づかないというのには驚きました。魔の欠片を手にしたとき確実に魔力が増えたことがわかったでしょうに」
ため息を付き、やれやれと言ったようなじで告げてやります。四天王の一人から奪った時には魔力の上昇を必ずじていたはずです。それを二つも取り殘すなんてバカとしか言いようがありません。
「で、ですが以前は勝てたはずですわ!」
ええ、その通りですよ。數がなくても勝てると言うことを知っていたからこそそうなってしまったからこそ気づかなかった可能はありますからね。
「私がシェリーやアリエルと闘った時、魔の欠片の力を完全には引き出せてませんでしたからね」
白ノ華シロノハナを持っただけのアリエルにもいいようにされてしまいましたからね。
「さて、おしゃべりは終わりです。今や欠片の數も私が上。さらには欠片の力を完璧に引き出した私、どちらが強いと思います?」
魔ノ華マノハナを握る力をさらに込めてシェリーの白ノ華シロノハナへと押し付けるようにしていきます。
「さて、では今から全力ですよ? 頑張ってくださいね」
「ま、まって……」
「まちませんよ?」
笑顔を浮かべ、私は魔の欠片から魔力を全力で引き出し、それを魔ノ華マノハナへと注ぎ込むと今までより度の高いリリカビームをシェリーへと叩き込むのでした。
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