《エルフさんが通ります》私も約束は守りますよ?

王座に座る姿は確かにアリエルのものですが雰囲気が全くの別です。なくとも私が知っているアリエルならば主人であるシェリーをからかうことはあったとしても死んだりした場合は必ず報復に出るものだと思いましたが、今のアリエルはただ嗤うだけです。

「いや、リリカ。君は僕の期待以上の働きをしてくれたよ」

本當に楽しそうに、愉快そうにアリエルだった者、アルガンテロアが笑います。

「別に? 私はやりたいようにやっただけですよ」

「ふふ、そうだよね。君はそうやって生きてきたんだから」

組んでいた足をごく自然な作でアルガンテロアが組み替えます。するとどうやったのかはわかりませんがその姿はアリエルではなく褐に金の長髪のへと変わります。

ですねぇ」

 姿を変えた、いや戻したアルガンテロアの姿を見て私は正直な想を述べます。

「おや? 自畫自賛かい?」

「事実を言っだでですよ」

だって私は完璧なですからね。その私の姿を真似ているアルガンテロアはそれはまたしい者でしょうよ。

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『なんかリリカの違いみたいになったよ⁉︎ あれもどこでも自くんなの⁉︎ いや、よく見たらリリカよりもがあるからあれはどこでも自くんじゃないの⁉︎』

「……」

くーちゃんの言葉に私は音を鳴らすようにしてくーちゃんの方へと顔を向けます。すると怯えたように『ヒィ!』という聲を上げられました。次いでまた音を鳴らしながら顔をかし、足を組みニマニマという音が聞こえてきそうな笑みをり付けているアルガンテロアの方へと向き直ります。

いつのにかを押し上げるかのように腕を組んでおり僅かに腕をけ流すだけでが揺れています。

「ふふ、確かにリリカは完璧に近いだったけどが足りなかったからね。姿を借りる際にしばかりだけ大きくさしてもらったんだよ」

「へー……」

『リリカ、大丈夫? なんかすっごい棒読みだし、なんか目が虛ろだよ⁉︎ あとなんで両手を武に持っていってるの!』

はっ、知らず知らずのうちに両手を魔ノ華マノハナと白ノ華シロノハナに掛けていました。

危ない危ない。無意識って怖いですね。

「ま、のことはどうでもいいです。それでどうしてあなたがここにいるか聞いてもいいですか?」

アルガンテロアはあのわけのわからない空間ですしか私と話すことができなかったはずです。言わば夢のような存在、それが今は完全な実を持って目の前にいるわけですし。

「ああ、それは簡単だよ。君が魔の欠片を集めてくれただろう? それは元々は僕のなわけだ。それから供給されてる魔力が君のから溢れ出る分を僕が貰っているからこそできるわけだけど」

「ふーん」

つまり余りいてるわけですか。それはわかりましたが私の知りたい答えではありませんね。

「それは理解しました。ですが、私が聞きたい答えはそれではありませんよ?」

軽く、話をはぐらかすなという意味で発した私の言葉にアルガンテロアは苦笑を浮かべます。

「ああ、別に話をはぐらかしているわけじゃないさ。僕は契約は絶対に守る。その証拠に三カ月前の契約はちゃんと守っただろう?」

「それは確かにそうですがね」

三カ月前、魔王城から放たれた魔力砲により吹き飛ばされたかと思った私たちを救ったのが今、目の前で意地の悪そうな笑みを浮かべるアルガンテロアなわけですからね。

助けた理由が「まだ見ていて楽しそうだったから」という理由と「僕の願いを葉えてくれそうなだから」というよくわからないものでしたからね。

そしてそこでわした契約、それが……

「私の出した契約は気にらないものを叩きのめせるだけの強さを」

「僕からの契約は僕の願いを葉えることを」

これを二人が同意し、生まれた契約。

それにより私は魔王(自稱)であるシェリーを消しとばし、今、アルガンテロアの契約を満たせるだけの力を手にれました。

「僕が今、君の前に現れた理由だったね。それは簡単。僕の願いが葉う瞬間をこの目で見たいからさ」

いつの間にか王座から姿を消し、アルガンテロアは私の目の前、それもかなり近くに顔を寄せてきていました。

「ええ、私も約束は守りますよ?」

「うん、それは心配してないよ。でもねリリカ」

そこで言葉を切るとアルガンテロアはクルクルとアリエルのであるメイド服のスカートを広げながら回り私から離れます。

「彼・・たちはどうなのかな?」

その言葉とともにアルガンテロアが指を鳴らします。

すると私の背後にいきなりいくつもの気配が生まれたため私は腰の魔剣二振りを引き抜き、距離を取り構えます。

そして警戒するように見たその先には、

「あら〜? リリカちゃんじゃない〜」

気の抜けるような聲を出しながら手を振るまみれフィー姉さん、ガタガタと震えるゼィハとクク、いつも通り直立不のヴァン、肩で息をする勇者(笑)のカズヤ、そして私が作り上げた下僕四の姿がありました。

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