《エルフさんが通ります》面倒ですので、とっとと沈め!
「おー、ビタン! ってなりましたよ! ビタン! って」
『楽しそうだねぇ』
魔力の羽での空の飛び方をなんとなく摑んだ私は風魔法を発し、空を浮かびながら床で溜まりに沈んでいるベシュを指差し笑います。
あんだけ魔力で強化していた割には意外と防力が低かったことに拍子抜けしましたが、事は楽に進んだ方がいいという考え方をしている私は素直に現狀を喜ぶことにします。
「しかし、案外呆気ないものでしたね」
「りりぃぃぃかぁぁぁぁぁ!」
ため息まじりに呟いた言葉に反応したかのようにベシュが 巨大を討つ剣ヴァングラミーを杖にするようにして中からを吹き出しながら立ち上がります。
「訂正します。しつこすぎますよ」
中からを流すベシュはどう見ても生きているのが不思議なくらいの重癥です。は真っ赤ではありますが顔だけを見れば青すぎます。おそらくはを流しすぎたためでしょう。
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「 巨大を討つ剣ヴァングラミー!」
ベシュが杖にしていた 巨大を討つ剣ヴァングラミーをを振りまきながら構えてきます。そしてベシュが魔力を流し込んでいるのか 巨大を討つ剣ヴァングラミーは白く輝きを増し、さらには流し込まれた魔力が周囲の空気を震わせています。
ああ、また面倒なじがします。
直的にそうじた私は躊躇うことなく羽をかし、羽をいくつも枝分かれさし、真紅の槍を作り上げて 巨大を討つ剣ヴァングラミーを構えるベシュへとたたきつけるべく槍の穂先を全て死にのベシュへと向けますが、ベシュは全くビビリもしません。
「まぁ、終わりですけどね」
『え、なんで?』
くーちゃんの疑問に答えるように私はベシュの腕に突き刺さったままの真紅の弓矢を指さします。
「降りてこい! リリカぁぁ!」
どうやらバカは自分が指さされたと思ったのか見當違いのことを言ってきます。
しかし、そんなベシュの腕に突き刺さった真紅の弓矢は不気味な脈を行なっています。
はて、どんな効果があるのか。
いまだに罵倒を飛んでいる私に向かって放ち続けるベシュを見下ろし、高みの見を決め込みます。
「始まりましたね」
始まった変化は一瞬でした。
真紅の弓矢から巻き起されたのは黒い旋風。
それが突き刺さった弓を中心に発生したために刺さっているベシュはまともにけなくなっているようです。
「な、なによこれ!」
きが取れなくなりつつある自のに困しているような聲をベシュが上げている間にも黒い旋風は威力を増していき、ついには突き刺さった腕をねじ切るかのように回転刺し始めました。
「これはすごい!」
どうやら突き刺さった矢を中心にして普通では考えられないほどの風が発生し、それが螺旋を描くようにいているようです。
そして真紅の矢が矢の突き刺さった腕をもぎ取ろうとしていることに気づいたベシュは一瞬で判斷したのかすかさず 巨大を討つ剣ヴァングラミーを用に手元で回転さすと自の腕を躊躇うことなく肩からバッサリと切り離します。
「う、がぁ!」
『い、痛そうだよ?』
「潔いですねー」
普通はあんなあっさりと自分の腕なんて斬らないと思うんですけどね。
というか痛そうで見てられませんよ。
そう思いながら視線をベシュから逸らし、真紅の矢が突き刺さり魔力の暴風に囲まれているはずの腕の方を注視します。
…… なんというか見たのを後悔しました。
黒い魔力の暴風、というか刃の嵐とも呼べるものだったのでしょう。
それにより叩き潰され切り刻まれ続けたベシュの腕はすでに原型を全くと言っていいほどに留めていません。
どれほど切り刻まれたのがわかりませんが真紅の矢は赤とがり混じるまだらの水溜りの中にうかんでいるんですから。
「えぐい」
『うわぁ、グロい……』
口元を押さえながらくーちゃんも呟いていますが、もしくーちゃんが吐いたら私の頭にかかるのでそれは遠慮したいところです。
「り、り、かぁぁ」
しかし、驚きますよ。
ベシュの運・の強さには。
あれがとかに當たってたらベシュなんていう存在は気の悪いをした水溜りになってたんでしょうね
「あなたは本當に」
片腕がなく、出のせいですでに目の焦點もあっていないような容だというのにまだ私の名前を呼んでくるというのは腕を斬られただけでくずっていたダメ勇者とは比較にならない程の神力であることは認めましょうね。
「面倒ですので、とっとと沈め!」
魔力の羽を解除し、著地した私は勢いよく駆け出し、生のですでに立っているだけと化しているベシュの顔面へ渾の力で拳を突き刺してやります。
もともと魔力の強化がなければ子供並みの力も出せない私の拳でしたが、その拳すらも躱せない狀態であったベシュはその拳をけるとついに張り詰めていた糸が切れたかのようにそのを床へと放り投げるようにして倒れこむのでした。
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