《エルフさんが通ります》納得のいかない勝ちでしたよ

「勝った!」

完全に崩れ落ち沈黙したベシュを見下すようにしながら私は勝利を宣言します。

ああ、最後まで面倒でした。

やはりというかさすがは同族と言うべきか迷いますがエルフは危険な生きでしたね。

「悪は滅んだんです」

『見解の相違だよね。それに大多數の人が見たら多分リリカが完全に悪だよ』

「人が理解し合えるのは難しいのですよ」

『なんか適當に言ってない?』

ベシュが沈黙したからか多弁になっているくーちゃんと話をしながら床へと降りていきます。

完全に沈黙しているのかベシュは私が足音を立て近づいているにも関わらず全くきません。いや、あれだけの出量なら生きているだけでもおかしな話です。

確実に死んでいるでしょう。

それでも一応は死顔くらい見ておいた方がよいですかね。いや、首を刎ねて長老への土産として持ち帰るのもありかもしれません。発狂するかもしれませんがね。

々と考えながらベシュの死へとスキップをするように近づいていきます。

ある程度近づくとベシュのを足で軽く蹴って見ます。

やはりきはありませんね。

『死んでるの?』

「これだけのを流しておいてあれだけき回ったんですから死にますよ」

周りはすでにベシュから流れ出たで真っ赤かなわけですし、これでいきてたらまさに化けですよ。

「うーん、もう食べれない〜」

「『……』」

……おかしいですね。

死んでいるはずのベシュの死から聲が聞こえてきましたよ。

幻聴でしょうか?

『ねえリリカ、なんか聲がきこえたんだけど』

「幻聴です、幻聴に決まってます!」

『でもたしかに……』

「うーん」

再びきこえてきた聲に私とくーちゃんは黙り込みます。そしてどちらもがため息をついたところで私がベシュのを再び蹴り飛ばし顔が見えるようにします。

「こいつ!」

『すごいね』

かなり力をれて蹴飛ばしたので勢いよく転がり顔がみえるようになったベシュですが、その顔はヨダレを垂らしながらおそらくは食べの夢を見ているのか見ていて腹ただしいほどに気持ちよさそうに眠っています。

『殺しとくの?』

「いえ、もういいです」

ここまで無防備に寢られると逆に殺る気がなくなるというものです。

と言ってもすでにベシュの片腕は貰ったわけですし、ここは痛み分けということにしておきましょう。

「リリカさーん」

ゼィハの聲がきこえてきたので周りを見渡しますがどこにも見當たりません。

そういえば上に置いてきたままだったことを思い出し上を見上げると大をゆっくりとした速度で降りてくるゼィハの姿がありました。

おそらくは幻想義手イマジンハンドを使って降りてきているんでしょう。

「その様子では勝ったようですね」

「まぁ、勝ちは勝ちですがなんとも納得のいかない勝ちでしたよ」

結局殺していないわけですしね。

向こうゼィハも私を殺せてないところを考えると引き分けというのが妥當なんでしょうが立っているのは私ですので私の勝ちです。

「で、では、ついに!」

「ええ、邪魔はいなくなりましたので魔界への道を作りますよ」

鼻息荒く興しているのがよくわかるベシュが近寄ってくるのを制止しつつ、私は道を作るための道を頭の中にイメージしていきます。

そして右手を前に出し、何もない空間をつかむような仕草をするとたしかになんらかのじ取り、それを一気に引き抜きます。

私の手の中に収まるのはさっき見た柄だけの武、それに私は自の魔力を流し込んでいきます。

すると柄だけの武に真紅の刃が現れ魔力を周囲へと撒き散らし始めます。 

「空間を切り裂け、退屈を塗りつぶす刺激カーニバル!」

刃が現れ、ちゃんとした武へと変わった退屈を塗りつぶす刺激カーニバルを目の前の何もない空間へと一閃。

確実に何か・・を斬った手応えはありましたが、振り切った姿勢でしばらく様子を見ますが何も起こりません。

『リリカ、カッコつけた割にもしかして失敗?』

「そんなわけはないんですが……」

何かしらは確実に斬ったがあったんですがね。まだ魔力を迸らしている退屈を塗りつぶす刺激カーニバルの刃を眺めますがよくわかりません。

「あ……」

「ん?」

ゼィハのあげた小さな聲に反応してか彼の方を振り向くと、ゼィハは私の背後を指さします。

それを追うようにして私も再び先ほど斬りつけた空間へと振り返ると空間がゆらゆらと揺れています。

「なんですかこれは?」

『さあ?』

くーちゃんとともに首を傾げましていると、斬った空間がまるで紙を剝がすかのようにしてめくれはじめます。そしてめくれたその場所にぽっかりと人が通れるだけの大きさのが空いたのでした。

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